さて、今日は前回の最後で述べたとおり、1918年(大正7年)2月1日『朝鮮総督府令第6号 労働者募集取締規則』を見ていきたいと思います。
史料の中では、「大正7年2月4日官報第1650号登載」とか言われていましたが、実際には「大正7年1月29日官報第1642号登載」だったりします。
施行日が2月1日なのに、2月4日の官報に載ってたら手遅れなわけで。(笑)

労働者募集取締規則2労働者募集取締規則1
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それでは、早速中身の方を見ていきたいと思います。
長いので分割しながら。

朝鮮総督府令第6号

労働者募集取締規則

第1条
朝鮮外に於ける事業に従事する労働者を募集せむとする者は、左の各号に掲げたる事項を記載したる願書に、雇入契約書案を添附し、募集地警務部長に願出て許可を受くべし。

1 本籍、住所、職業、氏名及生年月日、法人に在りては名称、業務、主たる事務所所在地、代表者の住所、氏名
2 労働者の従事すべき事業の種類及場所
3 男女及労務別募集人員
4 募集すべき労働者の年齢の範囲
5 募集区域及期間
第2号乃至第5号の事項及雇入契約の条項を変更せむとするとき、亦前項に同じ。
募集出願人又は出願代理人にして、朝鮮内に住所を有せざる者は、朝鮮内に仮住所を定め、警務部長に之を届出づべし。
之を変更したるとき亦同じ。
朝鮮以外で仕事する労働者を募集しようという者は、次の各事項を記載した願書に雇入契約書案を添附して、募集地の警務部長に願い出て許可を受ける事、と。
その、願書の記載事項は、1が募集する者についての情報。
2~5が、募集に関する内容についてになってますね。

特徴的なのは、5の募集区域と期間。
どの程度の範囲を「区域」とするのか分かりませんが、取りあえず、許可を受けたからといって勝手にあちこちで募集できないんですね。

で、募集に関する内容や雇入契約書案を変更する場合も、同様に募集地の警務部長に願い出て許可を受けなければならない。
まぁ、届出内容の変更ですので、当たり前。

募集を願い出た者やその代理人で、朝鮮内に住所を持っていない者は、朝鮮内に仮住所を定めて警務部長に届け出る。
変更した場合も同様、と。
何か連絡とか、違反行為が起きた場合、連絡つかないとどうしようも無いですからねぇ。

第2条
前条の雇入契約書案には、左の事項を記載すべし。

1 労務の種類
2 雇傭期間
3 就業時間及休養の方法
4 賃金及其の支給方法
5 貯金の方法
6 労務に関する奨励方法
7 収容設備
8 賄料、入浴料、寝具其の他日常生活に要する費用の負担方法
9 往復旅費の負担方法
10 傷痍、疾病の場合に於ける医療及其の費用の負担方法
11 傷痍、疾病者休業中に於ける賃金及其の支給方法
12 傷痍、疾病の為不具と為り、又は死亡せし場合に於ける扶助料、慰藉金、弔慰金等及其の支給方法
13 傷痍、疾病又は死亡に因り、父兄其の他の者の往復に要する旅費の負担方法
第1条は願書の中身について述べられていましたが、第2条はそれに添附する契約書案の内容。
冷静に考えれば当たり前の内容なんですが、「悪辣な日帝」にはそぐいませんね。(笑)

7~9、13なんかは、朝鮮半島から離れて全く違う環境で仕事するわけで、仕事の内容について決めたからオッケーというわけにもいかず。
その日常生活や、旅費の負担にも踏み込まないと駄目なんですね。
つうか、医療費負担、休業補償、傷病手当的な扶助料・慰藉金・弔慰金等、死亡時の親族の旅費とか、契約内容によっては今の派遣より恵まれてる予感。

ま、日常生活にしても、旅費にしても、傷病関係の規定にしても、契約内容次第ですけどね。

第3条
募集者、募集従事者を使用せむとするときは、願書に其の本籍、住所、職業、氏名、生年月日を記載し、警務部長に願出て許可を受くべし。
募集者、募集従事者を使用するときは、許可証を携帯せしむべし。
募集者が地理も言葉も良く分からない場合には、募集を行う者を別途雇う場合もあるわけで、その場合には、実際に募集に当たる者についても、願書に本籍、住所、職業、氏名、生年月日を記載して、警務部長から許可を受けないと駄目なんですね。
募集者が法人の場合に該当が多くなりそうな規定です。

で、募集従事者は募集許可証を携帯していなければならないんですね。

第4条
募集者は、左の各号を遵守すべし。

1 事実を隠蔽し、又は誇大若は虚偽の言動を用いて募集を為さざること
2 14歳未満の者を募集せざること
3 父母又は之に代はるべき監督者の承諾書を有せざる20歳未満の者及夫の承諾書を有せざる婦女を募集せざること
募集従事者は、事実を隠蔽し、又は誇大若は虚偽の言動を用い募集を為すべからず。
第4条は募集者の遵守事項。
事実を隠したり、誇大・虚偽の言動を使って募集しないこと。
14歳未満の者を募集しないこと。
保護者の承諾書が無い20歳未満の者や、夫の承諾書の無い婦女を募集しないこと。
で、第2項として、募集従事者についても事実隠蔽、誇大・虚偽言動によって募集してはならない、と。


取りあえず、今日はここまで。



労働者募集取締規則(一)