ようやく完結編。
でもその前に二つほど。

まずは、李泰鎭くんのニュースから。
論破された論理を発表しています。(笑)

在韓日領事, 明成皇后時して見て天皇に常住
「明成皇后殺害、天皇陛下に報告されていた」

そもそも、「日本人が犯人」と書いていない文書を、明治天皇が見たから何だと言うのか?(笑)
折角解説送ってやったのに、つくづく馬鹿だなぁ・・・。

polalis氏による論破
http://bbs.enjoykorea.naver.co.jp/jphoto/read.php?id=enjoyjapan_13&nid=46320

私の過去のエントリーの上奏に関する論破(解説5)
http://dreamtale.ameblo.jp/entry-fafbb385111da0f82e159fbd21b5a0c8.html


次の話題。
5月7日のエントリーで書いた、「兵学寮より申出語学教師免状云々申出(レファレンスコード:C04025372900)」の目録における「佛玉人」が、「佛国人」に訂正された。
まだ、「佛玉人」で検索可能だが、「佛国人」では検索にかからない。
疑問は相当あるが、まぁ公開史料にはお世話になっているので、これ以上はよそう。

でも、「劣」じゃなくて「方」だからな! ・゚・(つД`)・゚・

他にも間違いを見つけたら、随時淡々と書いて見よう。
では改めて、完結編。


食堂に於て宮内府大臣は、反覆数回、外門の日本巡査撤回を統監に懇請する所ありしに、統監は飽迄之を排斥して、更に同意を与へざりき。
宮内府大臣の懇請、最力たるや、統監は遂に、同大臣の斯く熱心に日本巡査を排斥せんとするは、蓋し皇帝の御希望に因らるるものならん。
果して、然らば再三再四、統監に懇請したるも、彼は執拗に其の説を主張し、到底屈服せしむるを得ざりきと復命せられて可なりと揶揄するに至れり。



表面上許可を与え臣下に撤回させる、あるいは、臣下に指示しておきながら、自分は嫌だけど部下が、というのは、高宗が良く使う手である。
まぁ、この場面では「揶揄」なのだろうが、洒落になっていないぞ、伊藤。(笑)


統監と宮内府大臣との応対中、閔度相は、日本警官を以て指揮官となし、実際宮門の警護は、韓国巡査を以て之に当らしめたしとの折衷説を提出せしも、統監は尚之を却て此の事たる人種論に非ず、又国粋論にも非ず。
韓国の為めに図りて、最も忠実なる誠意より出でたることなれば、徒に体面を装ふの説に同意することを得ず。
若し、韓国警官にして警察事務を遺憾なく執行し得たらんには、初より警務顧問の如きものは、之を置かざるも可ならずやと、丁寧反覆之を訓諭せり。



嗚呼、前々回の「そもそも韓国の警察がしっかりとした組織であるならば、警務顧問など要らない」という突っ込みを、伊藤の言にも見るとは・・・。
前半戦が面白かったから取り上げた史料なので、後半部分は書きながら精読しています。
申し訳ない。_| ̄|○


斯の如く、統監の意志到底之を翻す能はざるを観るや、閔度相は更に一説を出して、統監指揮の下に、宮内府大臣及内部大臣に於て宮中肅清の実を挙ぐることに修正せば如何と提議したるも、統監は、既に決行したることは、如何なる事情ありとも之を変更することを得ず。
但し、内部の取締に至ては、前陳の如く委員を組織して、相当の方法を講ぜしむるべしと答へたり。



統監指揮の下に?
あぁ、日本に責任を押しつけたいわけですね?(笑)


斯くして、列席大臣百方懇請するも、統監の意志牢として抜くべからざるを察するや、宮内府大臣は悵然太息宮中をして、今日の如くならしめたるは、全く自己の罪なれば、皇室及国民に対して其の責を負はざるべからずと陳述せり。


全くそのとおりですが、何か?


統監は之に対し、其は統監の与かり知る所にあらず。
若し過あらば、今後に於て之を改むるの策を講ずべきなり。
而も現に其の策を講じつつあるにあらずや。
宮内部大臣及内部大臣の如き直接関係者は、宜しく宮禁取締方法調査委員となり、自ら其の衝に当り、大に盡さざるべからずと慰撫奨励せり。



ほら、伊藤にも「知らねぇーよ。」と言われた。(笑)

さて、この宮禁取締方法調査委員は、伊藤の提議に基づいて、下記のとおりに決定された。

宮内府大臣 李載克
内部大臣 李址鎔
主殿院卿 李根澔
警務顧問 丸山重俊
統監府書記官兼統監秘書官 国分象太郎


委員の撰定あるや、統監は、委員たる大臣は勿論、各大臣に於ても充分宮中肅清に盡瘁するや否やを再問し孰も奮つて之に膺るべしとの確答を得たる後、懇切熱心に宮闕取締の方針を開陳し、日本及諸外国の例を参照して、起稿すべき法規の大要を訓示せり。

宮中肅清問題一段落を告ぐるや、統監は農商工部大臣に向ひ、鉱業法及移民保護法は既に陛下の御裁可を経たりや否やを問ひたるに、権農相は、本日頃御裁可あるべきなりと返答せり。

次に統監は、佐藤軍医総監は今夕到着すべき旨を告げ、速かに適当なる土地を選定して、病院の敷地となすべきことを、内部大臣及度支部大臣に注意し、両大臣は直ちに相当の処置を取るべき旨を確答せり。

又東京高等師範学校教授三土忠造傭聘の件に関し、統監は学部大臣に対し、三土は幤原と同じく、其の名称は学部参与官と為すべきも、別に契約を要せず。
辞令を以て任命して可なりと告げ、尚当分主として教科書編纂に従事せしむべき旨を、当人に直接申聞けたることを語れり。
則行午後三時散会

附記

散会に先きだち、内部大臣は、明四日は皇太子妃冊主の為、処女を揀択せらるべき当日なるを以て、大臣自ら許多の婦女子を伴ひ入闕すべきに付、予め了承せられんことを請ふと述べ、統監は、此等は勿論妨なきことなれば、其の旨前以て貴大臣より警務顧問に通逹し置かるべしと注意せり。



佐藤軍医総監、東京高等師範学校教授三土忠造の傭聘の話は、梅謙次郎と同時に傭聘の話が出ており、佐藤については、4月12日のエントリーで少し記載した、官立病院の設立に関連している。
三土については、幤原参与官(恐らくは後の総理大臣幣原喜重郎)の後任という事である。

ちなみに、その時(第六回韓国ノ施政改善ニ関スル協議会)における伊藤の言によれば、「幤原参与官の、当国に於ける成績を見るに、教科書の如き脱稿せるもの、甚だ僅かなり。彼は、教官としては或は適任ならんも著述家としては不適任と認めたるが故に、更迭せしめたるなり。」というわけで、更迭でした。(笑)

それにしても、目賀田を初め、梅に佐藤に三土に幣原・・・。
財政・法律・医学・教育の近代化。
真面目な話、力入れすぎだっつうの。
単純に植民地化が目的なら、これほど良い人材を投入する必要は無い思いますが、皆さんはどう思いますか?


(完)


第七回韓国施政改善ニ関スル協議会(一)
第七回韓国施政改善ニ関スル協議会(二)
第七回韓国施政改善ニ関スル協議会(三)
第七回韓国施政改善ニ関スル協議会(四)
第七回韓国施政改善ニ関スル協議会(五)
第七回韓国施政改善ニ関スル協議会(六)
第七回韓国施政改善ニ関スル協議会(七)
第七回韓国施政改善ニ関スル協議会(八)
第七回韓国施政改善ニ関スル協議会(九)
第七回韓国施政改善ニ関スル協議会(十)
第七回韓国施政改善ニ関スル協議会(十一)
第七回韓国施政改善ニ関スル協議会(十二)