中国、監視装置付のテレビをチベット人に配布?
中国当局は四川省のチベット人遊牧民に対し、国営テレビの番組を流す準備を行っている。これにより、彼らは国営メディアのニュース以外の情報を得ることが難しくなりそうだ。
カルゼチベット自治県の遊牧民に対し、衛星放送付きのテレビが無償で配られているという。
「この地区の遊牧民に対し、無償でテレビが配られています。」
カルゼにある新竜郡宗教事務局の役人は、5月17日、電話取材にこう答えた。
テレビには監視装置が付いているかと尋ねると、彼は、
「知らない。」
と答えた。
ノルウェーのVoice of Tibetは、5月16日、テレビには監視装置が付いており、マイクが備え付けられていると語った。翌週は、中国人民解放軍がチベットを「解放」してから60周年にあたるため、中国当局が警戒を強めているようだ。
RFAはVoice of Tibetの情報を独自に確認できていない。亡命チベット人によると、中国政府は国営メディアのニュースを流すのが狙いだという。
「現在、中国政府が最も恐れているのは中国内のチベット人が海外から情報を入手することです。」
ダラムサラにあるチベット亡命政権の議員カルサンはこう述べた。
「それで、中国当局はテレビを設置することを思い付いたのです。」
カルサンは、テレビに監視装置が付いているという話は、「ありうる」と述べた。
監視?
ダラムサラのInternational Campaign For Tibet(ICT)の中国語スポークスマンツォゲは、テレビに監視装置がついているという話は信頼できる話だと述べた。
「中国当局がそのような行動に出ることはありえます。彼らが信用していないチベット人の役人も大勢います。」
「彼らはチベット人を監視下に置くつもりでしょう。」
中国当局は、チベット人が海外の報道を聞くことを懸念しているという。
「甘粛省シアホー郡では、Voice of AmericaやRadio Free Asiaを聞いている人々が多くいます。遊牧民は短波ラジオでそれらを聞きたがっています。」
とツォゲは語った。
「遊牧民はチューニングを行って、ラジオが聞けるようにし
ました。しかし、中国当局は受信機を押収しました。」
四川のプログラム
今月初め、四川省当局は、政府の衛星テレビがチベットのカム地方の方言で当地全域で視聴できるようになったと発表した。
「四川省当局は、4千元相当のソーラーテレビを2万人の貧しいチベット人の農民や遊牧民に配っている。」
5月1日、中国国営の新華社通信は報じた。
カム地方の方言で放送されるカンバ衛星テレビは2010年6月から1日18時間の放送を開始し、四川省のカルゼ、ンガバ、カムド、雲南省のディキン、青海省のユーシュー、甘粛省のカンナンの240万人が視聴しているという。
無償のテレビが配られているリタンは、チベット人遊牧民が多く、かつて、中国の統治に対する抗議活動が起きている。
ンガバは、最近、キルティ僧院の僧侶が焼身自殺を遂げた後、中国当局が激しい弾圧を加えている。
中国は1950年、チベットは中国固有の領土として、チベットを占領した。しかし、チベット人は言語学的にも民俗学的にも、事実上、中国とは別の国であった。
5月23日に行われる、チベット「解放」60周年記念イベントが行われることになっている。
【拙訳】