ダライラマとチベット亡命政権が世界へ訴え
亡命チベット人のリーダーとその他のチベット人が、包囲されたチベット僧院の「大惨事」を防ぐため、国際社会に訴えた。
4月15日、チベット人の精神的リーダーであるダライ・ラマは、中国治安部隊により包囲されているチベット僧院のこう着状態を収めるよう呼びかけた。
一方、チベット亡命政権は国連に対し、危機的状態を解決すべく要請した。この声は、僧院近くのチベット人からも支持されている。
「チベット北東部のキルティ僧院は予断を許さない状況です。」
4月15日、ダライ・ラマは声明を出した。
「2,500人の僧侶が暮らすキルティ僧院は中国武装部隊により完全に取り囲まれています。食糧やほかの物資も僧院に運べません。」
4月11日、中国武装警察は警棒と犬を使って、僧院の外にいた武器を持たないチベット人を攻撃した。重症を負った人の数は不明である。
中国四川省ンガバチベット自治県のキルティ僧院の包囲が行われたのは、中国の統治に抗議した僧侶が自らの体に火を放った後であった。ダライ・ラマは、「一触即発の状況で、ンガバのチベット人にとって大惨事になりかねない。」と語った。
「このような状況なので、現地のチベット人僧侶と一般人に対し、当局が激しい弾圧を行う口実を与える可能性があることをしないように私は求めています。」
ダライ・ラマは、「国際機関、世界中の政府、NGOに対し、中国の指導者に問題解決のために暴力を使うのを控えるべく説得するよう」求めた。
中国が武力行使に出れば、「チベット人の憎しみと怒りは増すだけです。」
とダライ・ラマは述べた。
国連への訴え
チベット亡命政権は国連に対し、キルティ僧院のこう着状態の解決のための援助を直接訴えた。潘基文事務総長に対しては、「悪化するチベットの人権状況」に注意を向けるよう求めた。
「チベットで最も重要な僧院の1つキルティ僧院の2,500人の僧侶の安全、尊厳、人権が非常に脅かされています。」
亡命政権の副スポークスマン、ドルマ・ギャリが4月14日に国連に送った書簡にはこう記されていた。
国連に保護と支援を求める亡命政権の訴えに賛同する、と1人のチベット人女性はRFAに対し述べた。
「国連や人権組織が私たちの状況を理解して、支援してくれることを望みます。」
その匿名の女性はこう述べた。
「ここには平等などありません。」
その女性は続けた。
「ンガバ県と郡の役人は私たちチベット人を非難の標的にしています。」
もう1人の匿名の女性はこう語った。
「小さな問題であっても、彼らは当局に重大な問題として報告し、状況を悪化させようとしているのです。」
その女性はこう続けた。
米州議会「懸念」
米州議会は、4月14日、中国の役人が包囲しているキルティ僧院の問題を取り上げた。
「中国の行動は、国際的に認められた宗教、人権の原則から外れたものである。」
マーク・トナースポークスマンは記者団に語った。
「私たちは状況を注視し続けます。大いに懸念しています。」
とトナーは述べた。
4月15日には、Human Rights Watchアジア意見ディレクター、ソフィー・リチャードソンは次のように述べた。
「中国政府は、中国憲法で認められている市民の表現の自由、集会の権利、信教の自由を保障する義務があります。」
「キルティ僧院のデモのような平和的な行動に武力で応じることは、正当化できるものではなく、著しく違法です。」
とリチャードソンは語った。
【拙訳】
ここダラムサラでもキルティ僧院で焼身自殺したフンツォクのポスターが貼られています。