海外在留邦人のメンタルヘルスに関する講演会へ行きました | 女医の国際精神保健

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精神保健および公衆衛生を軸に、韓国、ロンドン、ジュネーブ、ニース、フィジー、赤道ギニア、東京、インド。
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海外在留邦人のメンタルヘルスに関する講演会へ行きました。
こういうのって、ありそうで、なさそうで、なかなかない。
だんだん増えていくのかしら?

出席者の多くは、企業関係者や医療関係者のようでした。
なかなかの人数がいて、国際精神保健でいつも人もモノもカネも少ない感じのところに慣れてた私としては、感動☆
やはり日本は資源の豊富な国なんだわー

学生時代の友人と誘いあって行ったんだけど、意外な人々とも再会しました。
そして、懇親会も含めて、いろんな人と出会いました。
やはり、出向くってすばらしいね。
そして、女子医大はいろんなところでつながるわー

半日の講演会では多くのことが語られましたが、印象深かった点を列挙します。

ー 海外在留邦人は約120万人で旅行者は約1800万人
ー 平事:情報とネットワークを構築し共有すること。各地のボランティアが主体なので、海外在留邦人用の精神保健福祉センターをつくるくらいの組織化がほしい
ー 有事:平事でつくったネットワークがあるかどうかが勝負。緊急国際医療連携体制に精神保健も加えたい
ー 支援者として適しているのは、日本人の社会様式も分かっていて、在留国の社会様式も分かっている人
ー 在留邦人のメンタルヘルスは個別性が強くて一般化ができない
ー 海外保険の中には精神保健が含まれていないものもある
ー 駐在前に本人および配偶者の健康の確認はされるが子供の健康確認はされないことも多い
ー 各地区にボランティア団体が発足しても人の入れ替わりや金銭が理由で長続きしないことが多い

話題に挙がった興味深い組織や仕組みが以下です。
http://www.jamsnettokyo.org/
http://www.tramedjsth.jp/
http://www.jstp.net/
http://www.interq.or.jp/tokyo/ystation/medical2.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/tantou.html
http://www.md-net.co.jp/

以下の本も紹介されました。

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異国でこころを病んだとき―在外メンタルヘルスの現場から/弘文堂
¥2,592
Amazon.co.jp

内容紹介

在外邦人113万人時代の
こころの危機管理・必携書

 企業の海外進出がますます増加する昨今、海外で精神疾患を発症する日本人が急増しています。慣れない食生活、商習慣の違う外国人と仕事をする困難さなどストレスを生じさせる要因が多く、ある一定期間海外にいるということは精神科的には危機にさらされている状況と言えます。その上、精神科医療は医療者と言葉が通じる、文化や社会を共有していることを治療のバックボーンとしています。しかし、海外で日本人精神科医の診察を受けられるのは欧米の大都市のみです。

 精神科医療過疎地である海外でこころを病んだとき、どうしたらいいか。その際の医療をどのように整えていくか、ケア側の方法論をまとめました。

 スーツケースの片隅に、国際人のコモンセンスとしての1冊を。

内容(「BOOK」データベースより)

在外でのメンタルヘルスの理論はもちろん、ニューヨーク、ワシントンDC、サンフランシスコ、バンクーバー、バンコク、シンガポール、ジャカルタ、コロンボ、北京、マニラ、パリ、ロンドン、ストックホルム、セネガル、アルジェリア、エチオピアの世界16都市・地域の現地情報も収録。在外邦人113万人時代のこころの危機管理・必携書。

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いろいろ興味深かったですし、医務官がかなり精神保健に取り組んでいるのを知れたのが私にとっての収穫でした。
そして、日本人は基本的には企業駐在か留学かなので、いざとなったら帰国すればよいという選択肢があってよいなと思いました。
難民とか移民はそうはいかないですし、精神科のない国から出向いた人はそうはいかないですものね。
海外に出て、最初の半年はいろいろ皆が悩むようで、これは私もあてはまりました。2年くらいすると、かなり馴染んできて、5年すると、「スパイシーな世界を知ってしまい、普通の生活では飽き足らなくなる」という状態に入るのが多いようです。で、私、まさにこれ。。。そして、10年経つと帰ってこない人になりがちらしい。。。
そんなわけで、自分の心理状況を知ることもできました。

有意義な講演会をどうもありがとうございました。