女医の国際精神保健

女医の国際精神保健

精神保健および公衆衛生を軸に、韓国、ロンドン、ジュネーブ、ニース、フィジー、赤道ギニア、東京、インド。
他にも、旅行、馬術、音楽、写真などについて記載しています。

 

毎年、こちらのショートコースで精神保健の講義をしています。

今年で6年目。(最初に依頼があったとき、私はインドのアーメダバードにいましたねー。)

 

 

こちらのコースそのものが医者を対象とした感染症のショートコースで、NCDが何コマかあり、その内の2コマが精神保健という建て付けです。

今年は2コマ担当しました。(年によっては1コマです)

1コマ目は、国際精神保健、人口レベル・公衆衛生の精神保健。

2コマ目は、臨床精神保健。

 

昨年は対面でしたが、今年はzoomで講義しました。(来年は対面を模索したいな)

生徒は皆対面だったかな?zoomで参加の人はいなかったような?

録画を後で聴く人もいたかもしれません(録音されました)。

講義も質疑応答も英語です。

40名くらいの学生は世界中からきており、年によって出身国が大きく異なるようです。

いつもアジアとアフリカが目立つように感じてましたが、今年は欧州が目立ってました。

改めて名簿を見ると、イタリア、イギリス、メキシコが一番多いですね。

宣伝先の違い?奨学金の違い?為替の違い?

 

昨年のフィードバックで、精神保健のコマは、「体験談が多い」「医学部の講義みたい」「教科書的」ってのがありまして、講義の両方とも見直しました。

1コマは今時にアップデートしつつ、私の体験談を交えるのをだいぶ控えました。スライドを提出したら、主催者から体験談をもっと混ぜてほしいと言われたので、ちょっと戻しました。

2コマ目は、「他科にも役立つ精神科」「先進国でも後進国でも使える精神科」を意識して作りまして、なるべく実践的なことを目指しました。

2コマ目の準備はかなり苦労して、準備期間が1年間あったにも関わらず、なかなか進まず、思いついてググってみたり、別の仕事中に苦悩が滲み出ていろんな人のアドバイスをもらったり。

2コマ目のスライドは何度も主催者に見てもらって、より適したものに育てて行きました。お手間をおかけしました。

 

結局、下記を中心に使いながら組み立て、自分の国際保健や臨床の経験(研修医指導含む)を踏まえて完成しました。

WHO Worlde Mental Health Report

WHO mhGAP

MSF guideline

Where there is no psychiatrist

 

 

 

 

 

 

私の苦悩が滲み出る中アドバイスをくれた一人が私の永遠のメンターVikram Patel先生でもあり、その実践的なリアルな内容に、oh!ってなりました。

最近の動画を見かけましたので、貼っておきます↓。

 

 

 

当日は、主催者から「今日の講師は、このトピックを教えるのに日本で一番最適な人です」とご紹介いただいて始まり、講義への会場の反応は上々だったように思います。

参加者からのフィードバックがコース後に届くと思うので、それをみてみようと思います。

主催者からの直後のメッセージは、「良いね!来年は長崎に来てね!」という感じだったので、お役に立てたことと思います。

 

質問は「講義が響いたか?」「講義のどこが響いたか?」「今時の精神保健への理解や関心はどのあたりにあるか?」を示すものだと思うので、いつも大歓迎です。

今回も色々出まして、例を書きに列挙いたします。

 

ー 日本の病床数が増えたこと、高止まりなことに理由はありますか?

ー オーストラリアは地域により距離や人口構成やサービス内容が非常に異なります。私の勤務先は遠隔地にあり、なんでも4000kmの移動が必要です。例えば、物理的な拘束は禁止されているので、化学的拘束をすることになり、大量の薬剤を使い、安全とは言えません。最も快適な精神科救急医療とはなんでしょうか?

ー 精神症状や精神科診断を持つ人の就労制限はすべきではないでしょうか?

ー 友人がうつ病になりました。治りますか?繰り返しますか?どのような日常生活を過ごすべきでしょうか?やってはいけないことはありますか?

ー 英国では予約がなかなか取れず、心理士のカウンセリングを予約しても、1年待つこともあります。待っている間にできることはありますか?

ー うつ病は病状が変化するようで、診断基準も下記のうち2つとか4つとかいうリストには多彩な症状が記載してあります。実際に診断をつけることはできるのですか?

 

いずれも私なりにその場でできるなるべく実践な回答をしましたが、後で考えると、もう少し深い答えができたなと思ってしまいます。

それぞれの点について、文章を書き、発表しようかな。

 

来年もまた楽しみにしたいです。