WHOフィジー事務所のWRを訪問しました | 女医の国際精神保健

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精神保健および公衆衛生を軸に、韓国、ロンドン、ジュネーブ、ニース、フィジー、赤道ギニア、東京、インド。
他にも、旅行、馬術、音楽、写真などについて記載しています。

「今後WHOに勤務することだし、フィジー に行くなら、WR(WHO representative) へ表敬訪問したら?僕の元ボスだから紹介するよ」
と病院先輩にご紹介頂きました。
「今週WRとミーティングなんだけど、君が来ること知ってたよ。一緒に行こう」
とフィジーでの上司に誘われました。

というわけで、上司の教授と地元精神科医のチームメート二人と一緒にWHOフィジーオフィスへ。

ここ最近一緒に精神保健サービス充実のために一緒に仕事をしておられるようで、早速具体的な話に入ります。
「この間のFMH(Fuji Alliance for Mental Health)の発足の会にファーストレディがいたけど、どのように呼んだの?政治的なコミットメントがあると、物事は具体的に前進するから、大事なモメンタムだよ」
ファーストレディは、チームメートの個人的なお知り合いで、元々精神保健に興味を示しておられた方とのこと。

「今度パシフィック全体での会議があるけど、どうも全ての国に一人は送るように連絡が行ってるみたいだね。でも、精神保健担当をしている訳でない人が来ると、来てる間も帰ってからも物事は具体化しないから、むしろその旅費は実際のプログラム発展に使いたいよね」
実践的な会議やプログラムの運営への鋭い指摘が入ります。

フィジーの精神科の現状を臨床の観点からチームの先生達が説明します。
手元にあるカントリーレポートと合わせて、現場の感覚も聞いておくのは大切なのだろうなあと思います。

そして、いろいろ話が発展して、精神保健をmainstreaming(主流化)するのに必要なことへの考えを伺います。
この点は上司と数日話していた内容なので、二人で聞き入ります。
「感染症対策が強いのは、ドナー国にも影響がある内容であることと、効果を説明する指標が明確である点で、短期での結果があがりやすい傾向にある点だね。それは精神保健にはあてはまらないね」
「小児保健や母子保健はそれにあてはまらないけど、MDG (milleniam development goal)の一部に盛り込まれたために政治的なコミットメントが生まれているね。精神保健はここに行き着いてないね」
「NCD(non communicable disease)は各個人の行動や趣向に入り込む話題だから、今度の秋にサミットが開かれるまでに行き着いたのは、中々の成果だと思うよ。国連としても、平和維持で存在意義を見いだそうとしてきたけど難航しているので、保健も含めた開発の視点で存在意義を示したい流れにもうまく乗れているのかもしれないね」
「精神保健はいろいろ不利な点が多い中で、偏見が強いことは独特に不利な点だろうね」
「例えば、結核対策がとった作戦は、薬剤などの値段が高いことを指摘し、製薬会社と戦い、薬剤の値段がゆえに患者の経済状態により生存率が異なることを指摘し不平等であることを示し、agenda settingにつながったね。問題がまずは会議にあがらないといけないので、議題に入り込めることはとても大事」
「精神保健はまだstrategy(戦略)が不明確だね。予防ができる、再発率が下がる、治療効果が上がるようなstarategyがstand aloneでできることは核だよ」
「business modeling, social marketingは一つの鍵だね。結核部も一度マッケンジーとかのコンサルタントを呼んで解析、対策をたててもらったことがあるよ。あれは、随分効果的だね。でも、雇用費用が高いので、NGOとかのstrategyなどをいくつか見てみるとか、本を読んでみるとかから始めても良いかもね」

「これから本部に行くんだったら、カントリーオフィスの動きが分かると参考になるかもね。ミーティングとか来てみる?」
「同世代の日本人女性がいるから、紹介しよう」
とのことで、日本人女性とその後晩ご飯をご一緒しました☆
6ヶ月の短期勤務でneglected tropical diseaseを担当されているとのこと。
疫学出身で、更に疫学の中の専門性(専門の手法、専門分野など)を高めることが大切とのこと。