サルトリウス先生訪問その2 | 女医の国際精神保健

女医の国際精神保健

精神保健および公衆衛生を軸に、韓国、ロンドン、ジュネーブ、ニース、フィジー、赤道ギニア、東京、インド。
他にも、旅行、馬術、音楽、写真などについて記載しています。

「インターンが終わる前に、またいらっしゃい」
と、前回 仰って頂いたので、再び連絡☆
「今月は、3日しかジュネーブにいないけど、その日で都合あうかね?」
丁度、その内の一日が予定が合い、訪問の約束。

オーストラリア精神科医君とオフィスメイトちゃん も誘って、三人で向かいました。
(我らが仲間のMSF君とICRC君は、国外出張中)

サルトリウス先生がWHO入りしたのは、60年代のこと。
その頃の建物の様子、歴代のdirector generalの特徴、などなど歴史を教えていただきました。

WHOの予算を一代で100倍以上にしたDGの話しも迫力あります。

昔、食堂は8階にあって、すごい景色が良かったんだって!
(水漏れがあって、今は、1階?でサンルームみたいな感じ。)
WHOの建物は各国の贈答品でできています。
例えば、木の壁はスリランカ、部屋はインド、壁画はブラジルといった感じ。
日本は庭園、池、桜並木を贈答。
そんな中で、最上階の食堂で展開された昔のジョークは、
「フランスの贈答品は?」
「この景色、このモンブランだよ」

「NCDサミットに精神保健は取り上げられませんか?」
「それは、疾患まるごとは難しいかもしれないけど、今挙げられている危険因子と疾患の間の疾患へのなりやすさ、疾患の管理のしやすさとからめて、精神状態を語るのは良い方法かもしれないよ」

movement for global mental health summit で取り上げるのにふさわしい課題は何でしょうか?」
「stigma, 偏見だよ。それが解消されれば、価値のある疾患、ない疾患、価値のある患者、ない患者といった差別がなくなり、全体の対策がすすむよ。対策したい気分になるよ」

「精神保健専門家が仲間同士でしか話していないように思われるのですが、その点はどうですか?」
「その通りだよ。コミュニケーションがうまくなることは大事だよ。俳句みたいな感じで、短い文言に全てを納めることが大切だよ。言いたいことを一文で表現する練習を日頃からしたら良いよ」

「公衆衛生は、手洗い徹底とかコンドーム使用徹底とかの人間の行動変容を語って中々進行しない中、産業は人の購買意欲を刺激したりして、率先して化粧したり車買ったりといった行動変容につながっているように思いますが、その違いは何でしょうか?」
「産業は、目標に向かって一丸だよね。そこが目標が見えにくくなる公衆衛生との違いかな。そして、何より産業のマーケティングへの力の入れようはすごいね。公衆衛生ももっと啓発活動やプロモーションに大きな力をさくべきだよ」

「消費者の視点も大切にしないと駄目だよ。つまり、患者さんとその家族や支えになっている人達。彼らが、自分達の意見を述べる機会が多いのも大切。と同時に、効果的にそれを行うためには、患者さんのコミュニケーション能力を養うことも大切。そもそも偏見の強い中で、たどたどしいアピールをしたら、逆効果になってしまうかもしれないから。だから、コミュニケーション能力の準備が大切」

私たち若輩者のさまざまな質問に、熱く答えてくれます。
日常的な気付きから、歴史のこと、産業のこと、保健のこと、精神保健のこと。
幅広くて奥深い。
それでいて、スーパーの安売りの話しとかの庶民的な話しもできちゃう。
ご本人もそうですし、奥様もそう。
出会ってから、この5年ほど、私は常にそのwisdomeとguidanceにすっかり魅了され、御世話になっております。

そして、そして、白ワインやケーキやをすっかりごちそうになってしまいました。
(我らは、stettler のチョコを持参してみました。)

今後ともよろしく御願いいたします。
また、遊びに来ます☆