フロイト博物館でシュールレアリズムとの関連性講義 | 女医の国際精神保健

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精神科女医のロンドン大学大学院進学/卒業からWHOインターンへ

ちょっと(大分?)前になりますが、フロイト博物館 へ行きました。
精神分析の創始者である彼は、ユダヤ人であり、第二次大戦を生き抜いた人であり、波乱に満ちた人生であったようです。人生の最後の部分はロンドンで過ごし、その自宅が現在は博物館になっています。


精神科女医のロンドン大学大学院進学/卒業からWHOインターンへ

静かな高級住宅街にその建物はあります。
(おそらく私が踏み入れたロンドンのどの地区よりも高級!おそらく日本からの駐在員はこのあたりに住んでおられるのでしょうか?)


精神科女医のロンドン大学大学院進学/卒業からWHOインターンへ

これはあの有名なカウチです。


精神科女医のロンドン大学大学院進学/卒業からWHOインターンへ

こんな眼鏡かけてたかけてた!


精神科女医のロンドン大学大学院進学/卒業からWHOインターンへ

踊り場が格好よい。
広くて太陽がそそいで書斎になってます。


精神科女医のロンドン大学大学院進学/卒業からWHOインターンへ

今回はバービカン主催(毎度!)の「フロイトとシュールレアリズムの関係」の講演会でした。
オーストラリアの大学教授が発表です。
イギリスからすると正に地球の裏?おそらく成田乗り換えで、12時間+9時間とかの飛行ではないかしらん?


精神科女医のロンドン大学大学院進学/卒業からWHOインターンへ

聴衆は国際色豊な感じですが、圧倒的な白人の人数。
しかも裕福そうさ満々。

フロイトはダリやブルトンとも交流があったようです。
どの頃どの土地でどんな風な交流のあと、シュールレアリズムの絵画にどんな影響がみられるなどの例が挙げられました。
なるほどなるほど。

でも、少々違和感。
教授は例をたくさん挙げてくれますが、そこに共有される法則が見いだされる訳でも、統計的な差が表現される訳でもありません。
「それは先生がそうゆうふうに解釈しているだけでは?本人達が自ら語ってる訳でもないし」
という「独りよがりな感じ」が拭いきれません。
まあ、ネタとして聞いておけば面白いかな?と私が考えていたところ、前に座っていたスペイン人が、
「それは先生の独自の論点に限られたものではないでしょうか?」
ワクワクとそれへの教授の解答を待ちました。
しかーし、教授は大きな高い声でそれらの例の大切さを強調するのみでした。
やはり発表者は質疑応答も上手であることは大事ですね。

「フロイトも絵を描くことはありましたか?」
こんな質問もありました。
フロイトが表現したがった夢は描写的ですが、フロイトの手法は文章や分析でした。
しかし、そこに画家との交流があれば描写の技能が更に広がるわけです。
なるほどな着眼点です。
残念ながらフロイトが絵を描く事はなかったようです。

精神分析は大切な手法だと思いますが、西洋的な発想に傾いたものである印象がぬぐえません。
分析医を育てるのに時間もかかりますし、分析自体も時間がかかります。
また、問題は特定できたとしても、解決法が提示されないように思います。
こうなると非常に制限の多い手法のように思われ、「全員が活用できる治療法」ではないように思われます。
人格障害の治療などには有効かもしれません。
とはいえ、大事な治療道具の一つと思いますので、気に留めておきたいとは思います。

精神分析はフランス、ドイツなどの欧州でさかんで、戦争中に分析医が移住した先の米国東海岸や南米でさかんな印象です。