脂肪溶解注射とは? | 外科医が教える、正しいダイエット

脂肪溶解注射とは?

最近、美容形成外科で、「脂肪溶解注射」が流行りらしいです。


脂肪吸引で、医療事故が起きたりして、より気軽な「注射」が人気のようです。
「注射で脂肪を溶解する」ことに効果があるのでしょうか?



脂肪溶解注射は、 ホスファチジル-コリン(Posphatidylcholine:PPC)と
呼ばれる薬剤を使用する脂肪除去治療である。

この薬剤は、もともとは高脂血症や脂肪肝などの治療薬として
使用されていたものであるが、これを脂肪を減らしたい部位の
皮膚内に注射することで皮下脂肪が減少するという。

溶け出した脂肪 は血中を経て尿や便として排出される。



と解説されています。

この解説には、2つの疑問があります。

まず、
「PPCを注射すると脂肪が減少する」と書いてありますが、
これは医学的にまだ、はっきりした証拠(エビデンス)がありません。



次に

「溶け出した脂肪 は血中を経て尿や便として排出される」

とありますが
溶けだした脂肪が血中に入ることはあっても、尿や便からは出ません。


血中の脂肪は、エネルギーとして使われなければ、
再度別のところに皮下脂肪として付くだけです。

便中に出ることもありません。
これは、生理学の基本です。


つまり、「脂肪溶解」注射とは、
脂肪を溶解させて、流動的にし、移動しやすくするだけだと思います。


流動的になった脂肪を、すかさず燃焼させるように、
エネルギーの出入りがマイナスにならないと脂肪は減りません。


「脂肪溶解注射」が医学的な根拠に
乏しいことは様々な方面から指摘されています。

また、何回も打たないと効果が実感できずに、
非常に痛みが長引くことも指摘されています。


注射した部分の脂肪を流動的にすることは、
何も注射でなくても運動や物理的な刺激でも可能です。


わざわざ、高価で、効果の疑わしい注射をすることもないように思います。