接待でさんざんおべっか使った帰り道。
気を使いすぎて疲れきって。
駅からの道を足を引きずるように歩いていた。

はぁ〜
もう・・・疲れきって、ため息しか出ない。
手に持ったかばんがいつも以上に重たく感じる。


目の前にふわんと漂うように白い羽毛みたいなのが一つ。
なんだ?こんな夜遅くに?鳥?

風のせいか?落ちていくと思いきや・・・
その場でふわりふわりと行ったり来たり。
こういうものは摘もうと思っても摘めないのが常。
運試しのように掴んでみよう、と挑戦してみた。
これが掴めたら、きっと、今回の取引はうまくいく!
どうせ逃げられるだろうと思った。
今夜の接待の手応えのあまりのなさに虚しさを感じるほどだったから。
なのに・・なぜか、羽は俺の指にピタッと張り付くように・・・
俺の指先に摘まれた。

と、上から「きゃっ!」という悲鳴にも近い声。
え?なんだ?つられて上を見ると・・・


人が落ちてくる。
わ!危ない!

落ちてくる人を受け止めるなんて危険で無謀。
そんな考えは頭に浮かばず。
手を差し出した。

かなりの衝撃を覚悟した。
のに・・・俺が受け止めるちょっと前で落ちるスピードを緩めて。
ストンとおさまった。
きょとん、としていた顔が、俺を見て花開くように微笑みを浮かべる。
安心しきったかのように、俺の腕に全てを預けて。

「んふふ」って笑って、頭をポスっと俺の肩に傾けた。



俺の腕の中に落ちてきたのは・・・

天使のように可愛らしい男の子だった。