「翔くん、ピアノ聴かせて」

ピアノはただの口実になってるけど・・
でも、翔くんのピアノを聴くのが好きなのは、ホント。


ピアノ、に重みがあるんじゃない。
翔くんの、に重みがあるんだけど。


時々、翔くんの家で一晩過ごす。
その時に、ピアノを聴かせてもらう。
ソファーに寝転んで、翔くんの後ろ姿みて。
優しいピアノの音を聴く。

しあわせな時間。



僕がリクエストした曲を弾き終わると、座ったままの翔くんに抱きついて。
その日が、しあわせな時間で終わることを、感謝する。



だから・・ピアノ聴かせて、は今日、泊まりに行きたい・・って、いうこと。
それが僕の、翔くんへの愛情表現だと、思ってたのに。


言葉が足りなかったんだね。
僕の気持ちは翔くんには、伝わってなかったみたい。





ピアノ聴かせて、って言っても、断られることが出てきて。
翔くんの仕事が詰まってた時期だったから、そのせいかな・・
って、思ってて。


次第に、ピアノを聴きたい、と、翔くんに言うことも少なくなってきた。
翔くんに無理はさせたくないし。
時期が過ぎたら、また、行ける。
そう、思ってたから。