こないだ、撮影の合間に受けた、取材の記事が載った雑誌が出た。





「ずいぶんと、楽しそうでしたよね。絵・・とか、ダンスとか・・一緒にやろうって・・一回り違うオトコノコ、たぶらかしちゃってさ」

カズ・・なんか・・・変だよ?

「趣味が合うっていいですよね。誘いやすくって。口実には、事欠かないですもんね」
「そんなことしてないってば」
「どうだか??相手だって、智のこと、かなり甘えた目で見てましたよ・・」
「そんなの・・オイラ知らない」
「へ~かなり、スキンシップも取ってましたけど」


カズ、何、言ってるの?
本気でそんなこと、考えてる?


「オイラ、そんなつもりないよ」
「それにしては、楽しそうな顔、してましたけど?」
「カズってば!そんなんじゃないから」
「もう、アトリエ代わりの居間の一角、写真に撮ってもらいました?」
「家に上げるなんて・・してない」
「どうだか・・?ワタシがいない時なら、わかりませんもんね」
「カズ・・ちゃんと、聞いて」
「何をですか?ワタシといるより、楽しそうで・・いいじゃないですか」
「違うってば!」
「あ・・たぶらかすなんて智には、できないから、たぶらかされたんですか?いい男ですからね」


オイラのことなら、ともかく、共演者まで悪く言うなんて・・
カズ・・最低だよ・・
どうしちゃったの??


「カズ・・そんな風に、彼のこと悪く言わないでよ・・・」
「・・・・・」
「すごく、いい子なんだよ」
「ほら。たぶらかされてるじゃないですか」
「そんなんじゃなくって・・」
「・・・・・」
「何、考えてるの?・・オイラが大好きなのはカズだけだよ」
「・・・・・」

何も言ってくれないのに・・・
目が・・冷たくて。
自分が拒否されてることが分かる。
カズの目は・・口よりも・・カズの気持ちを語ってて。


「今度は、なんにも、言ってくれないの?」
「・・・・・」
「もういい」



何言ったって、信じてもらえなかったら、言葉なんて、意味ない。
顔も見てくれない、視線も合わせてもらえないなら、一緒にいたって意味ない。
オイラの思ってること、勝手に想像して、決めつけて。



「そんなニノ・・・嫌い。もう、来ない」

ニノの家の鍵をキーホルダーから外して、ニノに投げつけた。

「こんなもの、もういらない」




悔しくて・・・涙が出そう。
なんで、あんな風に思ってるの?
泣いてなんか・・やるもんか!

ニノのせいでなんか・・泣いてやらない!