彼が俺らの元を去ってしまってから、智くんは、変わってしまった。
それほどまでに、彼の存在は、大きかったんだろう。
それは、俺たちにも、わからないでもない。

彼の存在は、俺たちにも大きかったから。

でも・・智くんと彼は・・俺たちと彼よりも・・

もっと深く。
もっと強く。

繋がりあっていたんだろう。



彼の存在が消えたことを知った時。
智くんは、茫然自失だった。

その事実を認めた時。
智くんは、滂沱の涙を流した。
喚くでもなく、叫ぶでもなく、ただ・・涙を流し続けて。

涙が止まった時。
智くんは変わってしまっていた。

話さず。食べず。飲まず。眠らず。笑わず。


笑って、と言われれば笑う。
歌って、と言われれば歌う。
踊って、と言われれば踊る。


画面の向こうで見ている人には、何一つ変わらずに見えたかもしれない。

でも・・
その瞳には何も映さず。
その動きは何も意味を持たず。


彼の元へ行こうとすることすら・・あって。
俺は智くんを閉じ込めるしかなかった。





「好きにすればいい。これは抜け殻だから、誰に何をされても・・構わないよ」

彼の代わりにはなれなくても・・
俺は俺で、智くんを愛している。
智くんの空っぽになってしまった隙間に俺を埋め尽くすまで・・



俺は智くんに愛を注ぎ続ける。




(S)