前回は「虚」と「実」ということにひっかけて、状況と状態について書いた。
稽古場で「状態」という言葉を使ってダメ出しをしたときに、しっくりと来たからだ。
「状況」はウソでも「状態」は本当でなければならない。
もちろんそんな書き言葉のようなダメだしではありませんが。
「そのセリフ言うときに、その状態になってないやろ!」
台本を読み込めば、状況は把握できる。
一人ではただの思い込みということもある。
読み合わせの後で、ああでもないこうでもないと議論になる。
「お前の解釈は間違っている。」「いいや、お前こそ違う!」
大いに議論すればよろしい。
しかし大方の議論は状況についてで終わってしまう。
解釈ができたとして、その解釈通りに演技ができたのかどうか。
それが一番の問題だ。
つまり、解釈通りの状況に置かれたときの「状態」になっていたかということだ。