平岡秀幸 ・ ブログで読む演技論

京都を中心に演劇活動をしています。
演劇、特に演技について、
また世の中のことなど気になること、
考えたこと、思ったこと、見たこと、やったこと…。
色々発信していきます。


テーマ:

 不条理劇というジャンルがある。

 少し前に書いたベケットの作品がそうだし、イヨネスコ、日本では別役実の作品もそう呼ばれている。

 それらの作品は、時代も場所も不明瞭である。

 そこで不条理な出来事が巻き起こる。

 時代も場所も不明瞭であるからこそ、いつの時代でも人々の心に、人生の不条理を訴えることができる。

 イギリスのノーベル賞作家H. ピンターの作品も不条理劇にジャンル分けされるが、場所はロンドン近辺に特定されることが多い。

 何番のバスに乗ってナイツブリッジに行くとか、地名がはっきりと出てくる。

 だが、会話はちぐはぐで、なんだか不条理だ。


 もう30年ほども前、ピンターの「管理人」に出たことがある。

 演出は、秋浜悟史氏。

 関西に移動して最初の仕事だったかと思う。

 もちろん私は「若手」だった。


 台本を読んだときは、良くわからず、若者の性向として、つい抽象的な解釈に向かってしまったが、秋浜さんは現実にとどまることを要求した。

 舞台美術もリアルな屋根裏部屋が再現された。


 実の所記憶があいまいなのだが、この上演の直前だったと思う。

 ピンター演出の「管理人」の映画の上映会があり、英国文化センターでそれを観たのだ。

 演劇と違い、映像はリアルだ。

 戯曲は、アパートの屋根裏部屋だけで進行していたが、映画では屋外のシーンもあった。

 屋外のシーンがあることで、場所や時代がよりリアルになる。

 しかし、内容は、なんとも不条理だ。


 考えてみれば、舞台は人間が作り出すものであり、現実の方がよっぽど不条理だ。

 舞台で不条理を成立させるには、よりリアリティーが必要ということになる。


 不条理というのは観念ではなく現実であるということを、ピンターの作品から学んだ。

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