福岡県芦屋町が、指定暴力団・福博会(本部・福岡市博多区)系の太住会誠会から組事務所の買い取りを要請されていた問題で、町は31日、家屋の取り壊しを条件に土地を約174万円で買い取ることを決めたと発表した。

 県警によると、自治体が暴力団から直接公金で土地・建物を購入するのは異例という。

 県警によると、この組事務所では昨年8月に組関係者の男性が射殺された。その後、男性を射殺したとみられる組幹部が同県遠賀町で遺体で見つかり、組長も自殺を図った際に銃刀法違反(所持)容疑で逮捕された。組は解散状態で、事務所は空き家となっている。

 組事務所は芦屋町山鹿の住宅街にある一軒家で、土地約105平方メートルと木造平屋住宅は元組長(63)所有。町によると、組長の代理人が昨年11月、町役場を訪れ、土地・建物の買い取りを求める私有地買収申請書を提出した。これを受け、町は買収の是非を検討していた。

 周辺住民からは「このままでは不安」と買い取りを望む声が寄せられる一方で、「公金が暴力団に渡るのは抵抗感もある」との声も聞かれた。波多野茂丸(しげまる)町長は「別の暴力団に組事務所として使われる恐れもあり、周辺住民の精神的苦痛も続く」とし、買い取りを決定。元組長側と金額などの交渉を続け、31日に売買契約を締結し、町議会全員協議会で了承された。購入額は不動産鑑定士による土地評価額に基づいているという。

 福岡県では4月、全国で初めて暴力団に資金提供した場合の罰則を定めた暴力団排除条例が施行された。今回の買い取りについて、県警は「暴力団の活動を封じ、住民の安心・安全のための措置で、購入額も市場価格に基づいており、法外ではないので、利益供与には当たらない」と、条例違反ではないとする認識を示している。

 指定暴力団・道仁会の佐賀県みやき町への進出阻止に尽力した同県弁護士会の焼山敏晴弁護士(59)も「町の措置は一定の評価はできる」としながらも、「今後、同様のケースが起きた場合、暴力団に多額の公金を支払うことのないように注意が必要」と指摘する。

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