るろうに剣心伝説の最期編 | 沈みかけ泥舟のメモ

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今はネタバレなしの映画感想ブログ化してます。

映画「るろうに剣心伝説の最期編」を鑑賞しました。

前編である「京都大火編」の終盤から
大きく原作と違う展開になっていたので
後編である今作はいくつかのエピソードをのぞいて
ほとんど映画オリジナルになっていました。

原作通りを望む人は怒るでしょうが
新たな気持ちで鑑賞することが出来たとも言えます。

原作では志々雄真実の鉄甲艦「煉獄」は
出航前に相楽左之助に破壊されました。
けれど、映画では無事出航しているので
最終決戦も煉獄での戦いになってました。

原作をモチーフにしているのは
オープニングの緋村剣心と比古清十郎の出会いと
奥義伝授の場面のいくらか。
瀬田宗次郎との戦いと志々雄真実との決戦くらいでしょうか。

戦う組み合わせとしては原作通りの紫乃森蒼紫対緋村剣心や
相楽左之助対悠久山安慈という場面はありますが
原作とはまるで別物になっています。

特に左之助と安慈の場面はコミカルになってるので
安慈の廃仏毀釈による苦悩から破戒僧へという
重いテーマ込みで好きな方には
映画を見ることをオススメしにくくなってます。

また、盛りだくさんの京都編を二部作にして
展開を大幅に変えたわりには詰め込みすぎの感じがあり
キャラクターの掘り下げが甘いように見えました。
どうせ変えるなら思い切って変えて
映画ならではの見せ方にこだわっても良かったように思います。

他にもリアリティ追求の影響か
戦って息を切らしてのセリフや
ズタボロになって息も絶え絶えのセリフが多いので
聞き取りにくいシーンがあるのも難点でした。

原作では京都編ラストは剣心たちが志々雄たちに勝ちつつも
「勝った者が正しいというなら志々雄の言う弱肉強食と変わらない」
と言って武力行使は誤りだという
逆刃刀の誓いを新たにする剣心に対して、
日本政府は志々雄の弱肉強食を「富国強兵」政策として実践し
戦争の時代に突入していく皮肉を描いてました。

今回の映画ではその辺は抜け落ちてます。
教育を統括する文部科学大臣が
「集団的自衛権を否定するような授業は監視する」
というような発言を公式に行い、
日本各地で戦争の加害者としての側面を伝える看板や掲示物が
相次いで撤去されているような時代ですから
「るろうに剣心」でも殺人や戦争による平和を否定するシーンを
はっきりと描くことは出来なかったのかもしれません。

原作と切り離して考えても「伝説の最期編」は
描き足りない印象だったので
Blu-rayやDVDでシーンを加えてわかりやすくなったバージョンを
是非とも発売していただきたいと思います。

そう言えば、チケット売り場の方が
老婦人二人組に対して「こちらの作品は三部作の最後ですが」と
丁寧なアナウンスをしていました。

一応、「るろうに剣心」があって
「るろうに剣心京都大火編」「るろうに剣心伝説の最期編」が
前後編の二部作という扱いなんですが
やはり見るなら三作を順番に見るのが良いのでしょうね。