○ン・キホーテの罠 | 秘密の扉

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ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

ブログネタ:6時間以内に10万円使わなくてはいけなかったら何に使う? 参加中

「たかしー、今日はこのまま府中の○ン・キに行こう」
「○ン・キ?何買うの」
「CDコンポ」
「○ン・キで?」
「CDコンポは○ン・キじゃなくても良いんだけど、ちょっと○ン・キで見なくちゃならないものがあって、ついでにー」


車がなくてやっぱり不便だ。○ン・キみたいに車で行くような立地の場所がひたすら遠い。オデッセイは府中街道を下ってあっという間に○ン・キに着いた。黄色に黒文字の看板。
「うわ、やっぱりこの店下品だよね」
「ははは」
「ダメやっぱり独りじゃ入れない。私○ン・キって苦手なの、たかしはどう?」
「doorでも一人で行けない場所があるのか~」
「大抵は大丈夫だけど、ここは…」
「うん、僕も好きじゃないな」
「やっぱり?良かった~私も2年振りだよ。車がないと行けないし。
 前はさ~香港の友達が。ほら忙しいから変な時間にお土産を買わなくちゃいけなくて、それで夜中に連れて行ったらそれ以来○ン・キが気に入っちゃってさ~」
「へぇ~」
「3時間で10万くらい買い物するんだよ、信じられないよ」
「向こうの人好みなのかな~」
「ツボにはまっちゃったみたいね」


手を繋いで店内に入る、と何もかもが襲い掛かってくるようだ。CDコンポは種類がなく、目的のものを見た後は早く帰りたくて仕方が無くなった。その間たったの10分。
「くる途中にコジマ電気があったでしょ。あっちで買おう
 やっぱりここで電化製品買う気がしない」
たかしは私について周りの品物を見ていた。熱帯雨林方式だかで嫌でも品物が顔の前に来る。
「30分までなら駐車料金無料だから何も買わないで帰ろう、もう疲れた」
「僕も疲れた」
そう言いながらたかしの眼はあちこちを見て引っかかっている。
そうなのだ。友達に付き合ってしばらく店内にいると棚にあるへんてこなものを買ってもいいような気になってくるのだ。
過剰な色、大量の物量、ごちゃごちゃとある中に引きずり込まれる、○ン・キホーテの罠。


結局コジマ電気でネットで下見しておいたCDコンポを買う。いつもお譲さんたちの買い物につき合わされているたかしは、私の買い物が余りにあっさりしているので拍子抜けした様子。

CDコンポを運んでもらって配線をしてもらう。

「こういうのが楽しみなんじゃないの?」

私にもそれぐらいは簡単に出来るって知っているからたかしはそう言う。

「出来るけど、楽しみってわけじゃないし」

花を持たせているつもりだったのだけど。




10万円くらい使うのは簡単だ。デパートに入って良い靴とバッグを選んだらそれでおしまい。食器を全部入れ替えても良い。多分3時間。

これで100万となると少しは楽しくなってくるんだけど。

この間から買い物をしたくてたまらない。でも必要なものは全てあるし、買い物に費やす時間が今は惜しい。