結婚について3 | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

思いついてもう私から誘わないことにした。既にその時点で、2ヶ月間隔が開いていた。この人が言い出すまで誘わない。それから2ヶ月が経過し何もなかった。生理が来るたびに憂鬱になった。私はだんだんいらだち始めた。
この人には性欲が無いんだろうか。どこかへ出かけるときに腕を組んだりすることも避けるようになってしまった。彼の体に触れるものか。それでも相変わらず毎日の生活は楽しく過ぎていく。それが哀しかった。
今から考えると生理の直前、気が立っていたのだろう。夜寝る前に彼に聞いてみた。
「最近セックス誘ってくれないね」
「あぁ、したいの?ちょっと今日は疲れて居るんだよなぁ、またにしない?」
「今するとかしないとかじゃなくて、このごろいつも私から誘ってばかり居るし、誘ってもいつも断られるし、最後にしたのいつだったか覚えている?」
「……」
「4ヶ月以上も前よ」
「したいんならしたいって言えばいいじゃないか」
「いつも私から誘ってばかり居るのがイヤなの」
「あなたは自分からしたいと思わないの」
「……」
「私のこと好きじゃなくなったの?」
「好きだよ」
「好きならしたいと思わないの」
「……」
「あんまり色気を感じないようになった?」
「そんなことないよ」
「じゃぁどうしてじぶんから言い出さないの」
「……なんでかな」
「どこかからだの具合がおかしいんじゃないの」
「そんなことはない、人のことを病気扱いするな」
「だっておかしいじゃないの。もう好きでなくなったのならハッキリそういってくれた方が良いから」
「君のことは好きだよ、大切に思っている」
こんなやりとりが何回あっただろうか。
こう言ったやりとりのあとにセックスするのは苦痛だった。でもそうでもなければ何もなかった。
こんなんじゃ子供なんか作れない。それとも、子どもが出来る前に彼と別れて新しい恋でもした方が良かったのだろう。ただ、そのときの私には彼の子ども以外考えられなかった。
外野もうるさかった。私が30を過ぎて彼の両親や、私の親から子供を作れと言われる。私に言われたって、どうしようもない。幾度声を殺してないたか分からない。昼間の生活が楽しかった分だけよけいに辛かった。
彼もそれを感じるらしく、次第に1人で夜遅くまで起きて、私と一緒に寝ることを避けるようになってきた。
辛かった、本当に辛かった。だって和也のことを愛していたから。彼の子どもが欲しかったから。3ヶ月に一度でも良かった。彼の方からたまに声をかけてくれればそれで満足できただろう。いつの間にかただの同居人、仲間としての存在としか見てもらえない。それはとても苦しかった。
誰にも相談できなかった。
出口は見えなかった。



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