周囲(知人・後輩)を見渡すと、「介護士」になる人が増えている。
今の時代を、医療業界では「少子・高齢・多死社会」に向かっていると手厳しいコメントをする。やるせない表現だが、それが現実だから、介護士への期待を募らせると同時に、看護師不足を補うため、「ナース」の育成と確保に努めている。
団塊世代が75歳位を迎える2025年頃を見据えて、国をあげて医療と介護機能の再編も進められている。
某アパレルで、長年にわたって店長を務めてきた「H子」が、介護士になって3年になる。…その仕事は彼女にはもっとも向いていないと周りの誰しもが思っていたが、今のところはいきいきとこなしている。
一方で彼女は、介護士の育成学校で、高齢者向けの「接遇」研修の講師も担当している。
また、沖縄県の某商店街振興組合で事務職の「K」女史も、介護士資格を取り、週3回ほど個人の契約先へと出向いている。
高齢者や障害者を風呂に入れたり、洗髪をしてあげたり、衣服を着替えさせたり、食事や運動のお世話など他と諸々の職務は、腰を痛めることもある“超ハード”な仕事の一つだが、時代が求める欠くことのできない「福祉のサービス業」だ。
ナースだった姪(筆者の)は、出産・子育てとの両立がハードで退職した。…その母親である妹は、介護士だが腰を痛めて只今休養中…。
真剣に取り組めば、いずれの仕事も楽なものはそうない。
例えば声優が、「体力・声・集中力」を必須条件とするなら、「接客・販売・サービス」業は、それらに、商品知識、エチケット&マナー、そして「コミュニケーション能力」や「会話術」が期待される。
その上に、「売上げ予算」をクリアーするという使命がある。
ここ十数年を振り返ってみると、百貨店・SC・専門店の「接客力・接遇力」は、ぐーんと向上している。
しかしながら課題もある。…マニュアル通りの接客や、「心」がお客さまと共鳴していない顔に「笑顔」が張りついたような表情、ハプニングやトラブルが起きたときの機転や応用力、販売力の向上など…他。
また、「サービス」を主力商品とする一流のホテルマンになったかのような丁寧で過剰な「身ぶり・手ぶり・しぐさ」も、お客さまを疲れさせよう。
商品を売っていく「物販業」は、商人道を“まっしぐら”に進むことの意義について反芻してみよう。
近年、表層上の「接客スキル」の研修やトレーニングが蔓延しているが、商人としての「心の持ち方」は、マニュアルでは不充分だ。
「心」というものは、その道の先輩や達人の「言葉」と「しぐさ」から、自らが体得していくものだ。
肝心なことは、その場の空気を読み取り、お客さまの感情に応えられるか?…だろう。
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「作る人」「売る人」をサポートする「魅せる人」…腕にVP作業時に使うピンクッションをはめている(筆者がプレゼントした物…パリのメゾンより)