◆“深読み”のできる商人を育てていく必要性…お客さまの感性や美意識は多岐 | 児玉千恵子アーカイヴ

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わが国に「既製服のフィッター」を誕生させたパイオニアとして知られ
VMD改善実地指導で売れるCS空間を創る「売場の庭師」とも呼ばれている
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 冷たい「麦茶」から、温かい「グリーンティ」が恋しいシーズンがやってきた。
 子供たちが主役だった夏休みも終わり、朝晩の秋涼や風の音に、心地良い秋の訪れが感じられる。
 グルメもおしゃれも、一段とおいしい時節に入ったが、各地は初秋商戦に燃えているだろう。
 遠い昔、人々は秋の「お月見」と春の「お花見」を、格別な楽しみとしていた。…そういったつつましさに思いを馳せることで、マイナーなことが多発する今日とて、楽しみへと変えられはしまいか?
 ただし、市場を取り巻く環境や人口構成をふまえた上での、MD構築の見直しを前提条件として…。
 少子高齢化の波は、じわじわと拡大していて、2050年には、国民の5人に1人が、75才以上になるだろうと予測されている。
 医学の発達や食生活の「改善・豊かさ」のおかげで、今現在でも90才以上の女性が増えている。
 だからこそ、商いのマンネリ化を見直すことで、今まで気づかなかった「ニッチ」の市場を、もっと発掘することも可能となる。
児玉千恵子@連絡簿-児玉千恵子のセミナーより (C) DOMINANT LIMITED  百貨店に期待される「コト」、SCへと流れる「ワケ」、中小個店だからこそお届けできる「モノ」…について、“深読み”のできる商人を育てていく必要性がある。
 初秋・中秋・晩秋へと移ろいゆく商戦で力を発揮していくには、「売り手」自らが、「秋物語」の主人公へとイメージトレーニングすることで、見えてくるものがある。
 日本古来からの「旬の色」を引き合いに出すなら、9月の色は「恋路十六夜」の月にたとえられるが、果たして「どんな色なのか?」は、感じる側の、心理状態や人生経験によっても多様に異なってくる。
 接客中に直感で心に響いた「色」を、あれやこれやと、お客さまとの「対話」の中で弾ませられるようになったら、リピーターの動員と、ファンづくりにもっと貢献できよう。
 「十五夜」の月の後に、ためらいながら出てくる「十六夜」の月だが、人によっては、白に見えるし、黄色と答える人もあれば、淡いブルーに見えることもある。
 そんなふうに、お客さまの感性や美意識は多岐にわたろう。
 こういった時代のマーケティングは、「データ分析」では事足りないケースが多い。迷いが生じたら、「高額品」を好まれ購入される方と、「質素の美徳」と「貴族の心」とを合わせ持つ人々の、購買心理と動機を深く読める「商人力」を養っていきたいものだ。
 「パソコン」が得意なだけで、「商人力」がついていかないスタッフも少なくない。
 かたや、商いをサポートする側でも、「パソコン」は得意だが、自らのサクセス事例や「得意分野」すら持っていないという、アドバイザーも増えつつある。
 それらとはニュアンスがやや違うが、「フィッティングアドバイザー」のバッチを取得できたら、「売上げ増」という実績を作らなければ、初心のゴールイメージからは、遠ざかってしまおう。
〔PHOTO:DOMINANT LIMITED〕
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