「商品・サービス・器」の同質化が及ぼす影響については、何度もふれてきた。
百貨店の生き残り策は、「他業態との差別化を図り、百華の商品を揃え、お客さまを選んで欲しくない」とは、長年にわたる私の持論だ。
しかし、経営の効率化を図るためには、時代に沿ったシステム活用は避けられないだろう。
しかし、個人情報の秘守が盛んに謳われているご時世に「買い物歴・購買行動」の分析が、本人が知らないうちにされていることを好ましく思わないユーザーは、我が国には多いだろう。
また、その店舗のみに、忠誠をつくしているわけでもないだろう。
バーチャル時代だからこそ、求められているのは、「五感」でキャッチした温もり感のある「アナログ的」サービスが切望されてはいまいか?
ところで今年に入って、“時代の流れを変えるような”唄い手が現れた。…チョコレート色の肌を持つ、米国人歌手「ジェロ」である。
彼は、斜陽だった映画産業が復活したように、ずっーと低迷していた「演歌」の世界に新風を巻き起こし続けている!
「演歌」に目を向けなかった人や世代にまで、日本人が忘れかけた「和の心」と「情念の世界」を思い知らせてくれたようだ。
沢山の人々に衝撃をもたらしている要素の一に、「視覚」と「聴覚」のギャップがあろう。
アメリカの心理学者「アルバート・メラビアン」が、1971年に提唱した「メラビアンの法則」によれば、人の第一印象は、会ってからたった6秒で決まり、外見(服・印象・表情)…55%、聴覚(声の質・トーン・話し方)…38%、話の中身…7%という構成比のうち、実に「外見」が93%を占めているという。
しかしながら「ジェロ」は、その理論を見事にくつがえした。
売場の商品(衣料)にたとえるなら、素材が彼の「声質」、仕立てや縫製の良さが「歌唱力」、色・柄・デザインは、「ベースボールキャップに、ヒップホップスタイルの容貌」か?
彼の才能(商品価値)にほれこんだレコード会社が、実話の家族物語(人々の共感を呼ぶ)を添えてデビューさせた結果、彼の類いまれな才能が開花したのである。
限られたパイの中で、あらゆる業態が「綱引き合戦」の時代だからこそ、「ジェロ」のような、時代の流れを変える人や、魅せられる「商品」が求められているのではないだろうか?
〔ILLUST:C.KODAMA〕
「ストアーズレポート」百貨店プロセールス資格制度フィッティングアドバイザーより
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