部屋を出て、ロビーに出たら。
テミンが、いた。ユノを見て駆け寄ってくる。
その隣にいたのは、セフン。私を見て、ちょっとだけ意味ありげに笑う。
ユノは、気づかない。可愛く自分を見つめるテミンに、目を奪われて。
「オッパ、帰っちゃうの?」
「ああ。・・・テミンも帰るんだろ?」
「うん。でもオッパが遊んでくれるならもうちょっといようかな」
私と腕を組んでるのに、反対側の腕にテミンがくっつくのを許す、情けない男。
ユノからしたらテミンは、ただの後輩でも。
この女、確実に狙ってきてるのが気に入らない。
ユノの足を、ヒールで踏んづける。ユノはうわっと声を上げるけど。
テミンはあえて知らん顔。ふてぶてしい女。
「離れなさい、テミン。どういうつもりなの?」
テミンはすました顔で言う。
「オッパが好きなだけよ。いけないの?」
私にそう言い放った後、ユノを見上げ。
ね、オッパ。天使の笑顔で甘えて見せる。
悔しいけど、見てくれのいい女だけにタチが悪い。それとなくセフンを見ると。
セフンは慌ててテミンに駆け寄ってきた。
「ヌナ、行きましょ。邪魔しちゃ悪いですよぉ」
「邪魔なんかしてないわ」
セフンへの目はものすごくクール。ほんっと、性格の悪い女ね。
「邪魔よ。・・・連れて行って、セフン」
わざと色目を使う感じでセフンを、見ると。
ユノ、ようやくセフンの存在を認知した。・・・鈍いんだから。
行きましょ。ユノの腕を引っ張る。
ヌナ、オッパ、お気をつけて。ギョンスの声。
不満げに手を離すテミンと、へにゃへにゃ笑ってるセフン。
引きつりながら、でも何とか笑顔を作ってるギョンス。
世話の焼ける姉でごめんなさいね。・・・でも。
ユノのことだけは譲れないの。