経絡学説 ~経別、絡脈、経筋、皮部~


(3)経別


 経別は、正経より別れて走行する経です。十二経別とも言われ、十二正経より別れ、胸腹部、頭部を走行します。その走行の法則は、離、合、出、入でまとめられます。離は、十二経別が十二経脈より四肢で分かれ出ることを言います。合は、陰経の経別が、陽経の経別と合流して、手足の六陽経に注ぐことを言います。その陰経と陽経の六セットを六合と言います。一合は、足少陰と足太陽の経別。二合は、足厥陰と足少陽の経別。三合は、足太陰と足陽明の経別。四合は、手の少陰と手の太陽の経別。五合は、手の厥陰と手の少陽の経別。六合は手の太陰と手の陽明の経別となります。そして、出はこの経別が体表に浅く出て頭面部に上がること。入は、経別が臓腑に行く事を言います。


 その働きとしては、十二経脈が循行出来ていない部位を循行し、様々な働きを強化します。まずは、十二経脈の表裏関係を体内で連絡し、強めます。そして、経絡の連絡を広げ、外部から内部に様々な信号を伝達する上で重要な作用を行います。これにより、体表と体内。四肢と体幹の繋がりを強めます。また、頭面部と十二経脈の連絡を強めます。頭面部は六陽経が循行します。しかし、望診でも活用するように頭面部は全ての臓腑の情報が集まります。これにも大きく係わっているのが経別です。


 更に診断面だけでなく治療にも効果を発揮します。基本は十二経脈が循行していない部位の治療効果は直接出にくいですが、経別が通っている部位も治療対象と出来ます。そして、足の三陰、三陽経は、経別の循行により心臓と連絡しており、心は五臓六腑の大主であるという理論に大きく関与しています。



[2]絡脈


 絡脈は経脈から分かれて走行する分枝のことを言います。そのうちの比較的大きなものを別絡と言い、別絡から分かれ出た細小な分枝を孫絡と言います。別絡には主要なものが十五本あります。十五大絡あるいは十五絡脈と呼ばれています。それは、正経十二脈から各一本の別絡と任脈、督脈および脾の大絡から各1本合わせて十五本の絡脈があります。


 その働きは、十二経脈の表裏関係にある経脈の連絡を強めます。陰経の別絡は陽絡へ行きます。陽経の別絡は陰経に行きます。その結果、四肢において表裏関係が強くなります。また、別絡は他の絡脈をまとめ、身体の前面、後面、側面と連絡をまとめます。さらに絡脈は、経脈から別絡、別絡から孫脈、更に皮膚表面にある絡脈の浮脈と出て網の目のように全身を覆います。その結果、経脈を流れる気血は絡脈の働きにより身体全体を栄養することが出来ます。

 そのそれぞれの循行は、十二経脈の別絡は、基本的に表裏関係の経脈に連絡します。任脈の別絡は、鳩尾から分かれ出て、胸骨の剣状突起を下行して腹部に散ります。督脈の別絡は、長強から分かれ出ます。脊柱の両側を上行し、後頸部に至って、頭上に散ります。下行する絡脈は、肩甲部より始まり、左右に別れて足太陽膀胱経に入ります。脾の大絡は、大包から分かれ出ます。淵腋の下に出て、胸腹部に散ります。これらを合わせて十五絡脈と言われます。



[3]十二経筋


 経絡と関連した連続部分として、身体内部では五臓六腑が経絡関係を持ちます。外部では十二経脈と属する筋肉の十二経筋があります。


 経筋は、十二経脈に属する筋肉です。経絡を流れる気血によって滋養されます。十二経脈によって調節されています。その働きは、骨格を繋いで関節の屈伸をさせます。


 十二経筋はすべて四肢末端から起こります。腕、肘、腋、肩、踝、膝、股、髀などの関節をめぐり、頭身に向かって走行します。関節や骨格の付近では細くなっています。胸腹部に向かう経筋もありますが、臓腑とは属しません。従って、経筋を治療しても臓腑の治療には結びつくことはありません。また、十二経脈が体表を走行している部位を経筋も走行しています。しかしその部位は必ず一致しません。足の三陽経筋は身体の前、横、後を走り、眼部に結合します。足の三陰経筋は陰器に結合し、手の三陽経筋はこめかみや目尻で結合し、手の三陰経筋は胸隔部に結合します。


 十二経筋はこのように体表面を走行し、十二経脈からの影響を受けることがあり、その結果、運動機能に影響を及ぼすこともあります。しかし、診断や治療に活用するには不十分と言えます。



[4]十二皮部


 体表上で十二経脈の分布区域によって区分される十二皮部があります。十二経脈とその絡脈等は、体表の一定範囲を滋養しています。その範囲を十二の皮部に分割したものが十二皮部です。


 十二皮部は、十二経脈が栄養するため、十二経脈の気が流れます。そのため、時には、皮膚の色艶や形状に変化が現れることがあります。そのため、経絡はもちろん臓腑の病変の診断の補助として役立つことがあります。梅花鍼と言われる皮膚鍼や、湿布療法は十二経脈と十二皮部との関連性を活用した治療法です。
 


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3.経絡の機能
 経絡の作用は生理面、病理面、治療面の三点に分けて考えられます。


①生理面:経脈は気血を運行させて、陰陽を栄養します。


②病理面:病気に対する抵抗力や症状を表します。


③治療面:治療による刺激や感覚を伝導し、身体の虚実を調整します


 臨床における経絡学説は、診断時には十二経弁証や六経弁証で活躍します。その疾患の出ている部位や症状より、病気の現在の状態を理解し、今後の予後や予防を判断することが出来ます。また治療面でも、経絡学説を使った治療は多く見られます。その中で子午流注法という時間治療法があります。中国の江西流の得意とする配穴法で、納甲法や納子法、専門の形で行うことがあります。


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