中医学とは?


 数千年の歴史を持つ、漢方の本場、中国において、漢方医学のことを「中国伝統医学」と呼びます。略して、中国医学または中医学と呼びます。
 中医学は古い漢方医学ではありません。現在においてまで、数千年の経験があり、始終絶えることなく、臨床応用されてきております。西洋医学に勝るとも劣らない、優れた医学であります。現在も中国では西洋医学と同じくらいの割合で病院内で使用されています。
 豊富な臨床経験を蓄積し、又一定の科学性、実用性、有効性、先進性が認められており、中医学の学習、研究、応用と普及は現在世界規模で押し進められています。
日本の漢方も中国から伝わったものですが、長い漢方の歴史の中のほんの一部分でしかありません。この歴史については、後に詳しくお話しします。中医学には、人体の生理、病理などの基礎概念、および疾病の診断と治療などいくつかの特徴があります。
 この中医学のもつ特徴は、生理、病理については、「整体観念」、診断と治療については「弁証論治」の2つの面に分けられます。


1、整体観念


 中医学は人体をそれぞれが関係し合って出来る統一性を重視します。身体を構成している各器官を切り離して考えることは意味がないとし、互いに助け合い健康や成長を維持し、病気の際には互いに影響があるとします。また、人体は自然からも大きく影響を受けており、時には自然に任せ、時には自然と闘うことで人体の正常な生命活動を維持していると考えました。これら身体の内外の環境を統一し、人体そのものを整体(全体が一体で、ここに切り離してはいけない物)と考える思想を整体観念と呼びます。
今、ちまたでよく言われる整体とは意味が異なります。
この整体観念は診断から治療まで、全ての場面で考え方の基礎として使われています。


・人体内部の整体観念
 人体は気・血・津、液・精という物質を基本にして構成されており、肝、心、脾、肺、腎の五臓とこれに付随する六腑が機能系としての構成単位となり、これらの間を経絡・三焦が一定の法則を持って連絡することによって、一個の統合体(整体)として機能していきます。人体の様々な組織、器官の機能や代謝を先に挙げたの基本物質と五臓六腑の間の互いに助け合ったり、互いに抑制しあったりする関係を通じて、統一体としての生命活動や様々な機能が維持できると考えます。人体の局部と局部、局部と全面、表面と内部、上部と下部、腹面と背面といったすべての関連性が示されています。難しく書きましたが、わかりやすく言うと肝臓の血をたくわえる働きが弱くなると循環器の心臓の働きに問題が出たり、胃が悪くなると口内炎が出来たりすると言うことです。一見関係の無い場所が実は経絡などにより繋がっていたりすると言うことです。ちなみに耳ツボや足裏マッサージもこの関連性を使っています。が、それらは反射区を使ったものでツボとはまた違います。
 このほか、臓器・気血の不調が精神面に反映され、逆に精神的ストレスや感情の変動が臓腑・気血にも影響を与えます。ストレスが多いと胃がやられたり、肝臓が悪いと怒りっぽくなったりします。
 これらも全て身体を一個の整体として考えるから納得がいきます。西洋医学ではここに考えるため例えば口内炎でも細菌のためとか、ストレスが脳に影響を及ぼし、ホルモン分泌に影響が出るという風に説明することもあります。ここは、ミクロとマクロの考え方の違いなので、その対比は後に歴史の項で詳しく説明します。


・人体と自然環境の間の統一体観
 人間は自然環境のなかで暮らしています。正常状態においては、人体は体内の調節によって、自然環境の変化に対応して正常な生理的活動を保持しています。しかし、環境の変動がその人の適応能力を超えた場合、あるいは人体内部に機能失調や機能低下があるために外界の変化に対応できない場合には、病理変化が発生します。
 重要なことは、病変が発生する根本の原因は人体の『内因』、すなわち自身の体調にあり、環境の変動による『外因』は単に発病の条件と考えられています。ウイルス、細菌などの発病性因子が病変の根本原因であると考える西洋医学に挑戦状の如く、全く逆の学説となります。
 また発病後は、人体の正気(抵抗力)と病邪との力関係によって経過が決まるとかんがえます。ここで中国医学の治療は正義を助け悪をくじく、原理原則通りに扶正袪邪という治療原則を持ちます。正気を助け、邪気を追い払うのです。その方法は様々な方法がとられます。漢方、鍼灸、整体。どれでも同じ結果が得られるのは中国医学の面白いところです。


2、弁証論治


 弁証論治とは中医学の根幹の一つです。
中医学において疾病を治療する場合、必ずこの「弁証論治」の方法に基づいておこなわれます。
弁証論治とは「弁証」と「論治」の2つの部分からなります。「弁証」とは四診(望診・問診・聞診・切診)によって、患者の臨床症状(自・他覚症状のすべてを含む)を収拾し、これを中医学の基礎理論(陰陽、臓腑、気・血・津液)をもとにして総合的に分析し、疾病の性質、部位、正気(患者の病気に対する抵抗力)と病邪(病気の原因となるもの)の力関係などを分析、分類することです。
「論治」とは、弁証によって得た結論に基づいて、治療原則と具体的な治療法を決め、どのような薬(配穴)を用いるかを決定することです。
したがって、同じ病気でも証が異なれば、治療法則は異なり、異なる病気でも証が同じであれば当然治療原則も同じになります。中医学では,このことを「同病異治」「異病同治」といい、中医学の一つの特徴となっています。
陰陽学説・五行学説はその中心となる重要な理論です。
中医学の診断のなかでも特徴的なのは、脈診と舌診です。


 この整体観念と弁証論治は、中国医学の土台となります。基礎学習から臨床の場、はたまた人間としての考え方にも大きく影響を及ぼします。


院長^^のブログ中国医学講座


次は、中国医学の歴史~中国編~  です

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