経絡学説~奇経八脈Ⅰ~


(2)奇経八脈Ⅰ


 督脈、任脈、衝脈、帯脈、陰維脈、陽維脈、陰蹻脈、陽蹻脈を奇経八脈と呼びます。奇経の奇は奇異なとか、残りのと言う意味です。正経十二とは違い規則的な循行をするわけでもなく、臓腑とも直接結ばれる属絡関係もありません。そのため奇経と呼ばれます。この奇経八脈は正経十二の間を縦横無尽に交錯し、経絡間の連係を密接にし、人体の協調性、統一性を保っているとされています。

 また、奇経八脈は正経十二の気を調節することが出来るとされています。正経十二の気が旺盛であれば、奇経に注ぎ込んで蓄えられ、正経十二の気が不足すると、奇経から補充されるとされていいます。このような関係から、正経十二は大河、奇経八脈は湖や支流に例えられることがあります。



1.督脈


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督脈は背中の中心を走行します。陽脈の海とも言われます。督脈の主幹は、下腹の内腔から発生します。会陰部に出た後、脊柱の内部を上行し、後頭部に達すると風府から脳内に入ります。脳と連絡をした後に、頭頂に上がり顔の中心線に沿って下行します。上唇の中の上歯ぐきにある齦交に至って止まります。


 支脈は三本あります。一本目は、下腹部の恥骨中央から始まります。これは、任脈と衝脈と同じです。女性は廷孔に繋がって入ります。廷孔とは膣口を指します。そこから分かれた絡脈は、外陰部をめぐり、会陰で合流し、肛門の後を通ります。その後、尾骨先端の長強で足少陰腎経、大腿内側で主幹と足太陽膀胱経と合流して、共に脊柱内を貫通し、腎に出て属します。


 二本目は下腹内腔から発生し、上に昇り臍を貫通し、心を貫き、喉に達して、任脈と衝脈に合流します。その後、下顎に上がり、唇をまわって、両目の下に繋がります。


 最後の三本目は、足太陽膀胱経と同様に目頭から発生します。前頭葉を上り、頭頂で交わります。その後、脳に入って絡まります。後頭部まで走行し、脊柱起立筋を通って、腎と連絡します。

 督脈の督は、監督の意味です。督脈は身体の背側の陽の部位を走行するため、陽経の脈気全てを督脈が統率します。そして、脳に入って絡まるため、実では背骨が強ばり、虚では頭が重くなります。その他の症状は、手足の引きつり。痙攣。震え。脳の障害による言語障害。てんかん。躁鬱病。頭痛や結膜炎。腰や背、足膝などの痛み。後頸部の強ばり。風邪の時に喉や歯ぐきの腫痛。などが起きることがあります。



2.任脈


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 任脈の任は、任されるの意味です。また、妊娠をつかさどるとも言われます。背中側を走行する督脈に対し、任脈は腹部の中心を走行します。その働きから陰脈の海とも言われます。任脈は子宮から起こり、中極の下の会陰から出ます。陰毛に沿って上がり、関元に出てそのまま上行します。喉に沿って下顎に入ります。その後二手に分かれ、目に入ります。


 任脈は子宮から起こり、胎児をつかさどる働きがあります。そして、妊娠に係わる働きをつかさどっています。ですから、任脈の気機が失調すると婦人科の疾患が出ます。白帯、生理不順、不妊、遺精、膣口の痛みなどが起きます。また、疝気や排尿障害、遺尿や遺精などが発生します。


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