ベンチャーとかスタートアップな会社で就活しようと思っている学生の方へ | 五反田ではたらく取締役のアメブロ

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ナイル株式会社という会社の取締役です。Webに関わる仕事と経営に関わる仕事をしています。

僕はヴォラーレ株式会社というWeb系のベンチャー企業で、普段はSEOとかの仕事を中心にブログを書いたり色んなことをやっていますが、ここ最近は、学生の新卒採用の現場にもよく出ます。

昔は言動が荒かったというか素を出しすぎて外部の新卒採用イベントでやんわりと出禁を食らったこともあった僕ですが、最近はけっこうマイルドになりました。(言動がマイルドになったというより幾多の失敗なども含めてそれなりに落ち着いた思考が出来るようになったのでアウトプットもマイルドになってきたという感じです。)

若い学生にとってみれば、企業で働いたこと無いからどういう目線で就活すれば良いか分からない、ましてベンチャー企業なんて不安だらけ、ベンチャーの経営者ってみんながそれっぽいこと言ってるから逆に怪しく思える、なんていうこともあるでしょう。

僕は大学を中退してこの会社が1社目で、未経験で何もない状態で3期目に新入社員としてジョインして、その後に肩書が変わって今は経営側の仕事にも関わっているという点で、学生という視点、社員という視点、経営という視点、それぞれ最低限は理解できるつもりではいます。

ベンチャー企業の中の人として、色々ぶっちゃけた感じで書いてみようと思いますので、ベンチャーとかスタートアップ、とかいう感じの企業に興味のある方は、1つの意見として読んでもらえると嬉しいです。


※結構長い。


ベンチャーとかスタートアップとかいう会社の特徴



ベンチャーとかスタートアップ、とか無理やりくくっても会社によって色は様々ですし合う合わないもそれぞれでしょうけど、

・小回りがきく、スピードがある、柔軟である
・古い慣習に従う必要がない
・経営に近いところで働ける可能性が高い
・実力あるなら大して時間かけずに上層に回れる
・やりたいなら仕事はいくらでもある

など、若い人中心で少人数の組織特有の要素は、だいたいどこの会社さんでも共通している傾向だと思います。

直感的にこういう環境が良いな、と思う人はこういう世界で働くことを検討しても良いと思います。

もちろん、福利厚生だの色んな制度などが整備されているのは大きな企業の方が当たり前にしっかりしていて、ベンチャーではまずはサービスやプロダクトをきちんと世の中に広めることを再優先に活動していますので、そういう制度的なものはこれから順次整備していきましょうというところは多いです。

その辺は一般的に言われていることと相違ないと思います。うちもようやくここ数年で色々整備されてきたという感じです。

ですので、そういうのを重視したいなら敢えてベンチャーという選択をする必要はないと思われます。


どういう人がベンチャーに向いているか



個人的に、絶対ベンチャーに入るべきと思える人は、「主体性と上昇志向と行動力が高く、自分で仕事を見つけて、必要となる能力を自分で身につけて行ける人」です。一言でまとめれば、「やれる環境があったらいくらでもやれる人」です。

そんな奴いるのか、という感じですが、確かにそんなに多くはないでしょう。多くの学生見てきましたけど、君は絶対ベンチャー入った方がいいよ!と思う人って学生全体で見れば10人に1人もいないと思います。

でもそういう人はいるわけで、彼らが必ずしもベンチャーで働くことを選択しないのは勿体ないというか残念だなあと思ったりもしています。



「ベンチャーは成長できる、大手は出来ない」というよくある話について



一般的によく「ベンチャーは大手より成長できる」とは言いますが、それはあくまで「先ほど挙げたような組織の特徴を最大限活かそうとして自分から動く人は」というだけであって、ベンチャーとかいう特性を持つ器に入ったから勝手に成長できるなんてことは絶対ないと言い切れます。

逆に大手に行ったって仕事めっちゃ出来る人は出来ますしものすごく成長できる人はいるでしょう。大手では成長できないなんてのも偏見でしかなくて場合によっちゃすごく失礼な話だと思います。


でも、大きな組織になると、少人数組織に比べて組織運営上の制限は大きくなりがちです。人材も、すごく優秀な人からそうでない人まで、人が多い分ムラが出やすいでしょう。失礼な言い方をすれば、いわゆる「古い体質」の企業もそれなりに多いでしょう。自分の思ったことが組織運営にそのまま反映されるということも稀でしょう。


そういう事情によって、せっかく優秀な学生が入社しても、大きな仕事を任せられる機会にそこまで恵まれなかったり、能力の低い上司の元に配属されて自分を上手く活用してもらえなかったり、周囲の仕事に対する温度感の中で熱が冷めてしまったり、結局大人数の中に埋もれてしまったり、ということはあり得るだろうなと思っています。

それを自分一人の頑張りによって根本から組織を変えてやる!は実際組織が大きくなるほど難しいと思います。そもそもそれが出来るパワーと能力を持ってる人はその組織から出てもっと活躍出来る道を選択したら良いと思います。


ベンチャーやスタートアップのような少人数の組織では、↑のようなことになりにくい、ということは間違いありません。単純に組織が大きくない分、自由度とか柔軟性が必然的に高いわけですね。

そして何より組織に納得いかないことがあったら、自分の力で変えられる可能性が高いです。すぐ近くにいていつでも話せる社長や上司に「これ微妙ですよね」って言えば良いだけなので。

数人とか数十人なんていうのはたかだか学校の1クラスと変わらないくらいの人数なので、一人の人間でも強い影響力や強い意志があればその組織運営を変えることくらいは可能でしょう。


このあたりが「ベンチャーだと成長できるよ」という一般的な論調になりやすい所以かなと思います。ベンチャーだと成長できるというよりも、伸びたい人がいくらでも伸びられる環境、と言えるかもしれません。


早いうちからやれることが多い=その分仕事に責任が伴う



ベンチャーだと1人の力で出来ることが多い、制限が少ない、ということは逆に言えば「やるなら自己責任でよろしく頼む」という要素は相対的に強くなります。

制限やルールが多いということの背景には、「もし大きな事故を起こしてもあなた1人で責任をとったり解決することは出来ないでしょう。だからその分多くの制限があり、多くのルールが引かれるのですよ」という側面が必ずあります。

ですので、「組織に面倒見てもらって育ててもらって守ってもらう」とか考える人にとっては、ベンチャー企業は全力で避けて通るべき選択肢だと思っています。




さて、ここまではベンチャーとかって括られる企業で働いてきた人間として書きましたが、ここから先は書類選考とか面接をする人間として色々書いていきます。



面接やインターン等を経て、どういう価値観で採用判断しているのか



「あなたが自分たちの会社に入ったら、あなたと会社がどちらもハッピーになれるか?」

突き詰めればこれだけです。

片想いではどちらかが不幸になります。過去に(結果だけ見れば)ミスマッチな採用をしてしまい誰かが不幸になることをいくらか経験してきているので、そういうことはしたくありません。

ですのでお互いハッピーになれると思ったら全力で採用しにかかりますし、そうでなければサッと引きます。

あなたにとってハッピーかどうか、というのは、活躍できる仕事がある、能力を引き出せる環境がある、周りの人と相性が良い、自分の望んだキャリアパスを実現できる、期待する評価や報酬が得られる、などのことでしょうか。無理やり言語化すれば。

一言で言えば「この会社に入って良かったなと思えるかどうか」でしょう。


一方、会社にとってハッピーかどうかというのは、あなたが入社することで将来的に会社に利益をもたらすかどうか、です。直接的な会計上の利益、だけでなく、組織形成にポジティブな影響を与えるだろうかとか、そういういう関節的な利益まで含めてです。

一言で言えば「この人を採用して良かったなと思えるかどうか」でしょう。




書類や面接で何を見ているか、ということ



ちょっと長くなりますが、こんなこと言ってるやついたなあと思ってもらえればと思います。みんなの共通認識にはならないだろうなと思うことも色々書いています。



1. 学歴について



学歴というのはあくまでその受験期の学力の参考値とするようなもので、個人的にはTOEICの点数と変わらんくらいの感覚で見ています。ちなみにTOEICとか受けてなくてももちろん大丈夫です。僕は受けたこともなければ問題見たこともありません。

例えば東大とか京大とか言えば、少なくともマグレで入れるようなところでもないと思うのでお勉強はそれなり以上に出来るんだろうなとかそういうくらいです。

学習能力が人よりも高いだろう、努力すべき時に努力できたんだろう、というのは人材に期待する要素にはなりますがそれだけで採用の根拠にはなりません。一つの要素です。



2. 大学を卒業しているかどうかについて



※完全に個人的な意見なので、うちの社内でもみんなが同意するものではないと思うのですが書いてしまいます。


ベンチャーとかスタートアップで、採用する学生が「大卒」であることに特別な価値を感じる採用担当者がいたらその価値を教えて欲しいと思うほど、あまり価値を感じません。

大学やめてベンチャー企業で働いてる身として、大学を卒業することの価値が未だに分かっていません。というか、少なくとも僕は卒業しておけばよかったと思ったことは皆無で、あの時点でやめて(って言っても2回ダブって4年間通いましたけど)正解だったとしか思いません。

退学も学校に向かう道でなんとなく「もうやめるか」って思ってそのまま退学届け書きましたし学業へのモチベーションを失った人間からすれば大した話ではないと思っています。親には連絡するの忘れてたので学校から連絡がいって、勿体ねーなって言われましたけどその程度でした。確かにその辺はものすごく家庭環境に恵まれていたなと思います。


そもそも大学って勉強したいひとが行くところだと思っているので(お前が言うな)、勉強する気をなくしたとか他に自分の生きる道を見つけたとかの人が、慣例にならって仕方なく卒業まで頑張るというのは時間と金の無駄としか思っていません。別に義務教育でもないですし。


もし、年間で数百人の新卒採用を少人数の人事組織で効率的に実現しようとしたら、書類による条件フィルタを必ず挟むでしょう。ひとりひとりと向き合う時間が十分に取れない以上、確率として採用ミスが少なくなるように、まともそうな経歴の子を選び、危なっかしい子は除外していくと思います。

でも僕らのような規模の会社で、年間~10名程度の少人数採用であれば、ひとりひとりとコミュニケーションとる時間は十分とれますし、そうなるとその人の人格とか潜在能力とか適正とかそういうところまである程度は判断できるようになります。その途端に大学卒業してるかどうかとかぶっちゃけどうでも良いと感じてしまいます。


大学を卒業するというのは、学問を修めた証だと思っています。サークルとか人脈形成とかはぶっちゃけ学生証なんかなくても出来るでしょうし大学卒業とは別に関係のない話だと思います。

だから学問をきっちり学んで、やりきってきちんと修めたいという人はきちんと卒業するべきでしょうし、大卒資格がないと入れないような大手企業に行きたい方は卒業すれば良いというのは普通に思うのですが。

ただ大学途中でやめたというフィルタで落とされるような堅実で効率的な採用をしたい企業には、大学を途中で辞めるような人はもともと縁がないんじゃないかなとか思っています。会社なんていくらでもあるので問題ないでしょう。

逆に、大学出てれば仕事がある、という時代でもないですしね。


※ちなみにこれ、「ベンチャーとかスタートアップで働きたいと思ってる人」向けですからね。あくまでも。普通に一般的な大手企業に就活して、とかなら普通に卒業すれば良いと思います。

※あと、みんなが同じ時期に企業の説明会にいって、みんなが同じ時期に内定を得て、同じ時期に仕事をし始める、ってなんかそれ自体が気持ち悪い光景だなあって冷静に考えると思ったり。この仕組みって変わらないんですかね。就活ってもっと自由で良いのかなとも思ったりするわけですが。


3. 学生時代、どのような活動をしていましたか、ということについて



学生の頃どんな活動してましたか?とかいうのも個人的にはぶっちゃけ話題の種くらいかなあと思っておりまして、その活動の結果としてあなたがどういう人物になれたのか、という方がよほど重要だと思っています。

そしてそれは履歴書やエントリーシートの肩書や経歴ではなくて、コミュニケーションの中に自然に現れてくるものだと思っています。

だから学生団体の代表をやってたりボランティア活動みたいなのを仕切ってたりとかは立派だと思いますが、だから採用したいとかは全く思いません。とても立派なことやってた割にあなた自身は大したことなさそうですね、と思ったらもちろん採用しません。

逆にバイトと飲み会ばっかでろくなことやってきませんでした、という子でも喋った結果こいつ出来るな、将来面白いことになるなと思ったら採用したいと思います。もちろん名実ともに揃っていれば申し分ないですね。


繰り返しですが、大事なのは「これまで何をやっていたか」それ自体ではなくて「あなたがどういう人なのか」です。

※もちろん、これまで何をやっていたかという意味では「脱法ハーブを必死に売りさばいていました」とかだとさすがに採用はできないですけど。



4. Webサービスとかにめっちゃ詳しいです!ということについて



Webサービスにめちゃくちゃ詳しい、というのも現時点のステータスとしてしか見ません。学生のうちに得られる表面的な情報くらいであれば、ぶっちゃけ数ヶ月ビジネスの現場の前線にいれば身につきます。

なのでひとつの持ち物として評価しますけど、新卒採用は採用してから数年間のスパンで考えますので、それ自体は大したアドバンテージにはなりません。

そういう面で評価が上がるとしたら、自社の事業やサービスの領域への興味関心が高い、という志向性の適正の方であって、今の知識それ自体ではありません。

ただし、エンジニアやデザイナーなどの専門職については現状のスキルというのは大きな評価要素になります。



5. 将来の夢について



将来の夢を声高らかに語れないといけないと思っている子が多いです。

本気の夢なら大歓迎ですしまっすぐ向かっていってほしいなと思います。でも、本気で実現したいと思えるような夢をこんな20そこそこのうちに持てる子なんていうのは、正直言って一握りかなーと思います。

わざわざ就活のために取り繕った夢を一生懸命語られても、話に本気度やリアリティがないことは聞いていれば感じてしまうので、それであれば余計なことはしなくていいです。

それなら、今は具体的な夢というのはないですけど目の前のことに真剣に取り組んで、その中で見つかれば良いなと思っています、とか言ってもらった方が素直で良いなと思います。

僕個人として5年後どうなっていたいかとか考えたこと一度もありません。今よりももっと高みに到達していたいとかもっとお金稼ぎたいとかそういうくらいです。

夢がないと仕事が出来ないとか夢がない人生がつまらないとか全く思いません。とても幸せなことに、僕は仕事も人生も十分に楽しいと思えています。



面接をする側の人間として、僕が就活生に求めたいこと




基本的には、面接では「等身大の自分を、素直にぶつけて、とにかく正直に話す」ということが重要じゃないかなと思ってます。少なくとも受ける側としてはそれを強く望みます。

別に未熟って思われたっていいじゃないですか。「うちの会社には合わないね」って思われてもいいじゃないですか。怒られるわけでも殴られるわけでもないですし。合わないって思われた会社に間違って入らずに済んだわけですし。

変に自分を大きく見せようと背伸びしたり着飾ってみても、知らないものを知ったかぶりしても、それはすぐにボロが出ますし、本気で良い人を採用したいと思っている身としてはそんなあなたを見たいわけではありません。

もしその時にボロが出なかったとして、それは働いてから不幸になる原因になりますのでやめた方が良いです。

まだ社会に出ていない学生なのであれば、会社とかビジネスについて知らないことや見えていないことがたくさんあって当たり前です。それを、素直に伝えてもらって、知りたいことや分からないことはどんどん聞いてくれれば良いのです。

だから一般的な就活用の面接マニュアルとか別に読みこまなくていいです。たまにいますけど、そういうのを見て練習したんだなーと思う話を延々聞かされるのは、失礼かもしれないですが本当に退屈です。そんなものを見たいわけではありません。

これから社会人になる大人として、最低限のルールやマナーをわきまえて、相手への配慮ができれば、それで十分です。相手への配慮とは、せっかくお互いに貴重な時間をとっているのだからその時間を無駄にしないようにしよう、という気持ちを持つことで自然と生まれてくるものです。



総じて



はじめにお伝えした通り、誰にとってもベンチャーとかスタートアップで働くことが良いとかそういうことは全く思いません。

ですがいわゆる「しゅうしょくかつどう」の中で、みんなが自然と有名企業とか大手企業にとりあえず的に向かっていき、一部の変わった人たちが「ベンチャー」に行き、ごく一部のキワモノ的存在の人だけが「起業」っていう選択肢をとっている、みたいなこの感じはかなり微妙だなと思っています。

優秀な人であればむしろベンチャーに行くとか自分で事業を起こすとかがもっと当たり前になると良いなーと思っています。

そんな感じで、うちみたいな会社に興味をもってくれてる人は、参考にしてみて下さい。


お知らせ:うちもサマーインターンやるよ!



ということで採用活動の一環としてヴォラーレ株式会社サマーインターンシップ2014なるものをやります。興味あったら応募してみてください。

LINK: ヴォラーレ株式会社サマーインターンシップ2014

※ヴォラーレがどんな会社かもっと知りたかったらこちらを見てください

LINK: ヴォラーレ株式会社 採用サイト