14日は関西のトレーナーさん向けのセミナー「犬塾」でした。
都合、もう18回目になるんですねぇ。
犬塾でどんなことをやってるのか?っていうのを、もうちょっとお知らせした方がいいかな?という思いと、参加された方向け復習および補足になればというエントリです。

この日は、「機能分析」について、改めてお話させていただきました。

行動分析とか介入とかでは、どうしても「強化」とか「罰(弱化)」とか、あるいは「どんな問題には、どんなテクニックが…?」みたいな話ががクローズアップされがちだったりするのですけれども、やはりこの「行動の機能を視る」ということが、いかに大事か?ってことを、もう一度!みたいなねらいでした。

こと「犬の問題行動の改善」というものにおいては、「犬の行動の見た目(形態)」に、トレーナー自身がどうしても引っ張られてしまったりします。
セミナーでも触れましたけど、いわゆる「支配性の問題である」とされていた行動が、実は全然違う因果だったなんてことは、ざらにあるわけなんですね。
犬の表情や態度なんてものは、実は案外シェイピングされちゃってたりもするんだと。
だから、「外から見た行動が、犬の内面や気持ち、あるいは行動の目的(機能)をそのまま表しているはずだ」という考えは、ややもすると「一方的な決め付け、押し付け」になってしまうんです。
しかしそのことに気づくためには、やはり「見た目(唸る、本気で噛むといった行動をしているとか)」ではなく、「何故、この行動をしているのか?」すなわち「なんのために、この行動をしているのか?」といった、「機能」を丁寧に調べていかなきゃならないと。

「自己責任」なんて言葉もあるように、「行動の責任は、その行動をしたものにある」なんてイメージがどうしても付きまとうわけなんですけど、そうじゃないんですよね。
あくまでも、「行動」っていうのは、「環境との相互の関わりの果て」に現れるもので、その「相互の関わり」を視ていくのが「機能分析」であると。
そういった意味では、「問題行動じゃなくて、行動問題なんだ」という言葉も、実に納得のいく話ではあるんですよね。
行動っていうのは、それそのものが「独立して存在している」なんてことはまったくなく、常に「環境からの影響を受けている(ゆえに、従属変数なわけです)」と考えないといけない。
てことは、「問題のある行動をしている」んじゃなくて、「ある行動が、その環境下では問題となってしまう」という意味での「行動問題」であると。
つまりこれは、「環境ごと問題にしなきゃいけない」って話になるわけなんです。

そして、我々トレーナーは、実は「犬の行動」をどうにかしようとする仕事ではなくて、「その行動と、環境(飼い主さんとか、家族とか、周囲の色々なあれやこれや)との関係性」を、どうにかしようとするのがお仕事なんですね。
だからこそ、「機能的関係を視ていく」ってのが大事なわけで。
これはつまり、何回か前のセミナーでも触れた「何故、行動分析を選ぶのか?」ということにも繋がる話です。

また、途中では参加者の方からの質問というか、ご相談もありました。
あのような形で、ケース検討みたいなのがもっとできればいいなぁとも思います。
次回、必ず何か持ってきてくださいねぇー。

あとは、「介入にだって機能がある」というお話もしましたですね。
我々が飼い主さんに対して、あるいは犬に対して行う介入も「行動」である以上、そこにはやはり「機能」があるわけなんです。
そこに「自覚的に」取り組んでいくこともまた、これは重要であると。
そいでもって、それがあるからこそ、ああいう「噛んでもいいし、唸ってもいいから、その代わりさぁ」っていう、犬にも飼い主さんにも出来るだけ負担なく、それでいて「攻撃行動」が改善していくようなアイディアも出てくるんですよね。

で、僕としては、ああいうのが「問題行動を問題にしない」ってアプローチになるんじゃないか?なんて考えていたりするのですけれども。
これがなかなか、まだまだ整理がついておりません。
ちょっとずつは見えてきているのですけれどもー。

でもね、でもね、「問題行動を問題にせず、やりたいことをどんどんやってもらっちゃううちに、実は問題も解決しちゃってる」なんてことが、色々と実現できたらやっぱりいいじゃないですか。
「問題行動の改善」って、これもう、やっぱり「負の強化」なわけなんですよ。
でも、「やりたいことをどんどんやってもらう」は、これ「正の強化」ですわね。
わんこも、そして飼い主さんも「正の強化」で、どんどんいけたら、楽しいですよねぇ。
やっぱり、目指したいわけなんですよね。


そうそう。
セミナー終了後には、第2部として「行動療法」の歴史についても触れました。
行動療法は、「学習心理学(行動主義心理学)」の応用なんですね。
行動分析とも、非常に親和性の高いものですっていうか、ほとんど同一視されていたりもしたりしなかったり(この辺、「いや、行動分析と行動療法は違うんだよ」と、今日釘をさされたりもしたんですけど)。
でもまあ、行動療法の基礎的な部分や、行動の捉え方なんかは行動分析がカバーしてるって考えてもいいんじゃないかなぁと思います。

今は「行動療法」というよりも、「社会的学習理論」とか、「認知療法」とかもきて「認知行動療法」と言われるようになり、そいでもって最近は第3世代の認知行動療法としてのACTとかがあったりするわけなんですが、その辺は言語を持たないわんこには関係ないので、まあいいかなぁと。
ついでにいえば、僕自身がよくわかっていないというのもあるわけですが。
オススメしたあの本、是非読んでくださいねー。
あと、ブログ書いてくださいねぇ。

とまあ、こんな感じで犬塾は進んでおりますよーっと。

補足として「機能」するかしらん。