先日触れたDPF付き車両には、国産車ならトラックはDH2、乗用車ならDL-1が必要になります。 けれど現在日本で購入できるディーゼル乗用車は、307HDi136とC4&C5そしてMB E320CDIしかありませんが、それらのオイルは、欧州規格のC2がそれに対応します。 でも価格は非常に高価で、ディーゼル乗用車の経済性を少なからず足を引っ張っていると感じている方も多いようです。 まして、日本では珍しい部類ですから、この様なオイルが市場で安く売られることなどありえません。


でも日本の規格DH-1とトラックに使われているDH-2等と 欧州規格のC2では一体何が違うのでしょうか? これらは全てローアッシュ(低灰分)に設計されています。 


Specification

Ash Limit

ACEA C1-04

0.5% max.

ACEA C2/C3-04

0.8% max.

ACEA E6

1.0% max.

JASO DH-2

1.0% max









JASO DL-1      0 .6 % Max


簡単にまとめるとこんな感じになります。 

上から、C1-04とC2/C3-04及びDL-1が乗用車用、E6とDH-2がトラック用です。 C1とかC2とかは基準オイルに対する燃費改善率の規格だったと記憶してましたが、今度はー04が付くと灰分規格が入っており非常に紛らわしい規格です。 参考までにA1~A5はガソリン乗用車規格・B1~B5がディーゼル乗用車用規格 Eがトラック用規格です。 


 さて、灰分だけで見ると、ちょうどJASOのDL-1は、配分も少なくなんとなくどれにも使えそうな印象をもたれるでしょう。 でも正直DL-1の規格に用いられているエンジン試験は、現在の欧州に普及している最新クリーンディーゼルと比較して、出力・トルク特性も大幅に低く同時に最新コモンレールの技術が使われていないエンジンで潤滑性・スラッジ・バーニッシュ等の評価されている、このオイルを推奨する事は現時点ではできかねると言うのがTLの基本的考え方です。 潤滑性等を考えるとDH-2の方がエンジン本体には良いと思えます。 では、灰分は、どう考えるのだと言う事に対しては、使用される方によって選択は分かれるということ。 せいぜい12万Km程度で乗り換える方ならDH-2で十分と思えます。 ただし、オイルの選択としては、必ずセミシンセティックのオイルを使用して、交換時期を最もシビアなレベルに合わせること。 最新Peugeotのマニュアルによれば、1万2千mile/1年毎(通常は、2万mile/2年毎)になっています。 1度だけこれに従ったんですが、1万5千km以上だとちょっと厳しいような気がします。 オイル分析もしないで安易にこの様なコメントは避けるべきかもしれませんが、あえて言うなら、新油に交換した時に、差を大きく感じる事は、粘度その他オイルの劣化があるからと思うからで、この辺りが、TLも技術者集団でありながら、職人的判断もする事もあるんです。 


 実際に何を選ぶかをここで触れることはしません。 というのもオイルの世界は複雑で純粋に数値だけを取って全ての項目を満足で来うるものは純正オイルが最も性能が良く、反面特別な使用法をするのでオイルは絶対100%合成だって言う人もいます。 これに対し、合成油を良くないとは言えない部分もあるし、オイルは高価なものほど夢も売っているわけで、あまり多くを触れることは良くないことだと思うのです。 あえて言うなら、オイルメーカーやブランドよりメーカーが要求する規格を満たしているものを選ぶ事が重要でしょう。 規格相当は駄目ですよ。 規格を満足しているわけではありませんから。 では、何で試験車両は純正指定のTotalなのか? 万が一トラブルが出た時に、オイルが原因と言われないよう、その他の試験での影響だけを見たいからです。 でもV9000の選択はやはり間違っていたと思います。 DPFの寿命を短くした一つの原因であると思うからで、最新技術が使われているのだから、それにあったオイルを選ぶべきでした。 あるオイルメーカーに、登録直後持って行った時に、なんだ普通のオイル指定か??? これで大丈夫なのか?って言われた時に、やはり考えるべきだったともいえます。 しかし、個人所有の車で無いのですから、この選択に後悔していません。 メーカーのオイルに対する重要性の考え方が見えてきますから。 


 最後に、ディーゼルエンジンの技術は、当分欧州勢に日本は追いつけないでしょう。 でもオイル等に関しては、欧州は若干マイナーな感じを覚えます。 日本のオイル時術は結構進んでいるんです。 近く踏み出そうとしているTLの新しいオイル:コンセプト(商標登録済み)は、一味も二味も違うんですけど、今は水面下で進んでいるとだけお伝えしておきます。