以前軽く触れましたが、ETBEはエタノール直接混合と比較し絶対優位であるかのような説明が石連からなされています。 また、同時に現時使用している国がドイツ・フランス・スペインなのでその有毒性など十分究明されていないがたぶん問題が無いのではないかと発言し、現在ちょっと後悔をしています。 何故なら、毒性・発がん性等、安易な解釈は許されるものではないからです。


まず始めに、化学物質を日本で製造・輸入する場合、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)と言うものが在ります。 この化審法が出来た当時は、既に国内で製造使用されていたものは、全て登録されてしまいましたから、若干一部の化学物質においては、安全性に疑問があるものもあります。 その事はおいといて、ETBEは化審法には登録されていない化学物質なので、新規化学物質に該当し、これを製造・輸入しようとする者は、あらかじめ当該物質の性状等を国(厚生労働大臣、経済産業大臣及び環境大臣)に届け出て、その性状に係る審査を受けなければなりません。 これに伴い、2005 年にETBE に係る届出・審査が行われ、その結果、第二種監視化学物質に該当するとの判定がなされました。 第二種監視化学物質とは、ETBEの場合、簡単に説明すると、長期間ある濃度以上で被爆した時にどの様な影響が人体に在るかが不明な為、監視しなければならない化学物質であること。 例えば染色体異常などを起こす可能性だってありえるわけです。 別に不安をあおるわけではありませんが、現時点でETBEの有害性の有無に関して十分な確認が行われた化学物質では無いこと。 そして、幾つかの問題を指摘し、労働環境においての曝露限界を設けている海外機関だってあることからもまだETBEに関しては完全に安全なものとはいえないのです。 


MTBEとETBEは非常に似た構造であるので、通常なら同じような特性を有し、当然似たような有害性があっても不思議では無いと思うのが、通常の化学知識があれば当たり前で、使用する前に全てを確認すべきであると思うのが普通です。 なのに何故この時点でフランスから輸入までして試験販売しなければいけなかったのかは大きな疑問です。 大昔に、サリドマイドと言う頭痛薬があって、米国では一部の染色体に対する影響が確認しきれていないため認可されませんでしたが、日本はドイツの審査を鵜呑みにしてか認可され市販、サリドマイド児が生まれる悲劇が起こりました。 そんな経験を持つ日本なのに、大気にばら撒かれる物質に対する意識がこんなに低いのは問題と思います。 しかも、何故MTBEの使用を止めたかなんて石連は説明してくれていませんよね。 例えば新聞広告などで・・・。 参考までにオーストラリアでは、ETBEをガソリンに使用することは禁止されています。 万が一地下水などを汚染したら、取り返しのつかない事になるのを良く知っているからでしょう。


では、エタノールはどうでしょうか? 少なくとも食料から作られるわけで、製造時に何かが混入するような事が無ければ、ビールや焼酎等に含まれるエタノールとなんら変わりませんから全く問題はありません。 ところが、エタノール等のアルコール類は、水にも炭化水素にも溶解する性質が在る事。 そして共沸といって、解けたものと一緒に蒸発する特性を持つため、アルコールだけでなくガソリンの成分と一緒に気化し、大気中のHCの量を増加させる懸念点を持っています。 


石油業界が指摘する水とエタノールを含むガソリンが接触するとエタノールが水側に移ってしまう問題は、管理の問題でありETBEが地下水に浸透したときの問題よりずっと些細な事だとdeoは考えています。 事実アメリカや、その他のエタノール直接混合を行なっているところで重大な問題が発生したとする報告は聞いた事がありませんし。


さて、ETBEにしてガソリンと混ぜる方法と、直接混合では燃費や排ガス成分に与える影響はどうなんでしょうか?


ETBEに関して言うと、8%混合した場合での評価が報告されています。 現在データをまとめていますが、 燃費は自動車で若干低下、二輪では変化なし、 HC・CO等は、ともに変化なし。 ただし、 アセトアルデヒドの濃度は自動車の場合増加していると報告されています。 E85(ガソリンに85%エタノールを添加したもの)だとアセトアルデヒドの増加が懸念されると言う報告がアメリカでなされていますが、 国内でE3からアルデヒドが増加するとの詳細な報告はまだ聞いていないので現在調べています。 でもどちらにしても、アセとアルデヒドの大気汚染問題が新たに発生する可能性はあるわけです。  この関係は別途書くつもりです。


TL的に言うと、エタノールの直接混合でE3~E10 までなら、その欠点を補いながら、燃費改善(5%以上)できる新技術を既に確立しているので、添加剤を使用する事を前提に良しと考えています。 ETBEはもっと十分に研究されてから使用すべき化学物質だと思っています。


そして、何らかの方法で食料などの生産・価格の影響無しにバイオエタノールが製造できた場合には、ガソリンに混ぜて使わずに、フューエルセル用に使えば非常に環境に優しい車が出来ると思うのです。 それまで十分な検討を行い、当面の対策としては、混雑渋滞の緩和・燃費の悪い車への重課税・或は2.0L以上の乗用車の場合は、4人乗車以上でないと都心部への乗り込みを禁止するのだって効果があります。 ディーゼル乗用車の販売だってより効果が在ります。 それ以外にもやるべき事はいくらでもあるわけです。 


今週末、ETBE入りのガソリンを抜き取らなければなりません。 エーテル特有の匂いといい、調べた後では余り気が乗りませんけど。 タンクの錆は取らなければいけないので。 でもくれぐれも自動車の整備につかさどるい方は、要注意です。