年間を通して同じ時期に同じ問い合わせが集中するのは世の常なのですが・・・。 


冬が近づくと、必ずと言って良いほど同じ問い合わせが多数あります。 

1.BDF用の低温流動点降下剤(CFI)が欲しい。 

  CO2削減の為に、BDFを使用していますが、冬場でも使って行きたいので是非に。


夏場になると

2. BDF用の酸化防止剤がありませんか?

  安定性を出すには、酸化防止剤が必要なので探してます。 


なんでこれほどまでに多くの個人・企業がBDFに参入してくるのか? 当初は、それほどまでに環境に対する意識が高くなったんだと内心喜んでいました。 しかし、残念ながらその8割近くが、軽油高騰によるお金儲け!税金対策=軽油税を払わないのが目的であるのに気が付き、落胆しました。 (勿論まじめに行っているところもありますし、お金儲けが悪いなんて思いませんが、節税ならともかく、脱税は問題です。)


燃料の開発は非常に大変で、その試験項目の多さだけではなく、多くの知識・試験や自動車メーカーとのお付き合いも含め現状そんなに簡単に参入できる分野では無いのですが、ことBDFに関しては、個人でも作れてしまうことから一攫千金、或いは燃料代節約が主な理由で、同時に環境を考えてと言う便利な名文で正当化されてしまう部分がかなりあります。


 今から2年前にTLは、ロンドンバスが使用しているエマルジョン軽油(軽油に水を混ぜて乳化したもの)をNOx・PM法対策で検討しました。 試験結果から言えば、NOx・PM共に大幅に低減。 東京都などが奨励したDPFなんかよりずっと効果があり同時に燃費も数%改善され、しかも車両自体を一切改造無しに使用できる画期的なものでした。 ところが大きな障壁となったのは、軽油にかかる税金です。 なんとエマルジョン燃料に使われる水にも税金をかけると言うのです。 (試験中は勿論水に税金を払って試験しました。) こうなると、どう考えても導入のメリットは出てこない。(燃費は、水を除外した分では、改善されますが、水を入れれば当然悪化します。 これ、当然ですが。) 勿論コモンレール方式の場合、リリーフ弁を通過する時の熱や圧力でエマルジョンが破壊される為、使用できないのも将来性の点で障害になりました。 この様に水にまで税金をかけると言うには、明らかにおかしいですが、BDFは燃料ですから軽油として扱われるのは当然です。

つまり、BDFもたとえ個人で作り使用する場合も、軽油税を支払う義務があり、支払わなければ不正軽油を使用するのと全く変わりません。 この点は正直守られていない例が多々あるようです。(本来軽油を必要としない機関は必要ありません。)


さて、TLはこのBDFの使用に対し、現状は全く反対の姿勢をとり続けています。 多くの方から批判を受けるのは承知です。 でもその理由がはっきりとあるのです。


「BDFは、環境に優しい。」と言われるますが、それは「単独での話」だと言うことはあまり議論されません。 

BDFの種類は、既に多くのブログでも紹介されていますが一般には、植物オイルをKOHと少量の水を入れ加水分解しグリセリンと脂肪酸に分解・脂肪酸とメタノールをエステル化して製造します。 この場合KOHとグリセリンの後処理に水を使います。 この後処理が必要となります。 それにこのグリセリンは燃料としては使われません。 それならば、初めから植物オイル(廃油や新油でも)を重油などボイラーに使う燃料に混ぜて燃やしてしまう方がより効率が良く、余計な後処理がなくなり分環境には優しいといえるのです。 そして、その分重油の使用量が減るわけです。 そして、ディーゼル用には現行より良質な軽油を使用しする。 と言うのも、現行のディーゼル車は、BDFの使用を考慮されていません。 また、BDFの多くは酸化安定性に問題があり、京都府などでの試験使用は、当日使いきりで使用し、燃料タンク内に入れっぱなしになることは無いのです。 また、欧州では、酸化しやすい脂肪酸エステルの含有量を制限するなど、規格が出来上がってきています。 現在JAMA(日本自動車工業会)もこの規格つくりを行っています。 つまり、現状では、BDFを使う本当のメリットは見出せないのです。 それよりも、今はガソリンエンジン乗用車の比率を下げてディーゼル乗用車の比率を上げる事の方がずっと環境の為になるのです。 勿論その時は現行の排出ガス規制を満足する車両に限りますが。 


エンジン用バイオ燃料は、廃油利用以外では、食料の生産を減らすことになります。 現在でも食糧難がある地球において、燃料にしてしまうのはどうしても納得できない部分が多すぎます。 できれば、大気温発電や人工光合成などの技術を推し進めることの方がずっと重要だと思う今日この頃です。 バイオと言う言葉は、環境に良いように聞こえますが、全体を見て考える必要があると思います。


P.S. 最近個人でBDFに問い合わせを下さる方が、急増してきたのでちょっと触れてみました。 でもBDFも一つの時代の流れだと思う反面、本当に必要なもが何なのかを考えていただけるきっかけとなれば幸いです。 ディーゼル車の販売は日本では急務だとつくづく感じる今日この頃です。 明後日には、環境にうるさい国ニュージーランドに行き、一般の方の意見を聞いてくるつもりです。