延髄外側症候群

Wallenberg症候群


と呼ばれる疾患があります


後下小脳動脈領域の梗塞や、椎骨動脈の血栓・解離などで起こります


延髄外側では以下の部位が障害されて様々な症状がでます

病巣側
オリーブ核小脳路、脊髄小脳路
 ➡小脳性運動失調
三叉神経核、三叉神経脊髄路
 ➡顔面の感覚解離・角膜反射消失
前庭核
 ➡めまい、眼振
交感神経下行路
 ➡ホルネル症候群
疑核(Ⅸ、Ⅹの運動核)、Ⅸ、Ⅹ
 ➡軟口蓋麻痺、嚥下困難、嗄声
孤束、孤束核
 ➡味覚障害
楔状核、薄束核
 ➡半身のしびれ

反対側
脊髄視床路
 ➡半身の感覚解離


それから・・・


延髄内側症候群

Dejerine症候群

と呼ばれるものもあります

これは椎骨動脈や前脊椎動脈が責任血管となります


病巣側
舌下神経核、Ⅻ
 ➡舌半分の萎縮、麻痺

反対側
錐体路
 ➡顔面以外の片麻痺
内側毛帯
 ➡半身の触覚・深部感覚障害


といった症状がでます


多くの脳梗塞はMRIを撮るとピカーン!と光って診断がつきますが、目の前の患者さんが明らかな上記の様な症状を伴いつつ、MRIではっきりと変化を指摘できない事もあります。

そんな時は・・・

MRIで特に指摘できないからOK

とせずに、しっかりと身体所見をとって、特徴的な所見が無いかを考察することが大事です

上記の様な症状の組み合わせはよく有るものだから人の名前がついています


身体所見を信じて、何らかの異常があるものと思ってMRIのFollowをしながら治療をしていかねばなりません

特に椎骨動脈の解離は時に致死的となるため、当初から疑ってかかる必要があります。



自戒の念をこめて・・・はいw