わきが、多汗症の手術後の傷跡については難しいジレンマがあります。においや汗を減らそうと、ドクターが懸命に手術するほど、傷が残りやすくなってしまうことがあるのです。正確に言いますと、切開した傷跡ではなく治療範囲全体に残る瘢痕や色素沈着が少し残ることがあります。
 わきがの手術は豊胸手術と同じく腋窩(えきか)のしわに沿って切開するのですが、豊胸手術ではシリコンを入れる際の傷の皮膚に対する負担のみで済みますが、わきがや多汗症の場合、わき毛の生えている範囲すべてが汗腺の密集する部分であり、この皮膚の裏側の浅い部分(真皮層)の裏側にこびりついている汗腺を、医療用のはさみや特殊な削除器(イナバ式)を使って、切除したり削ったりするので、多少なりとも負担やダメージが加わります。皮膚の汗腺というのはとても多く、手術の際にごく一部でも残すと、強いにおいや汗が残ってしまいます。これがよくいわれる再発という状態です。正確には、取り除いたはずの汗腺がまた生えてくるわけではないので、再発ではなく取り残しなのですが、これを避けるためには皮膚をかなり薄いレベルになるまで削らなければなりません。これが皮膚の瘢痕や色素沈着として残ってしまう可能性があるのです。当然、極力残さないように手術を行うようにしますが、取り残しては意味がない・・・そこがこの手術のジレンマであり、一番難しいところです。

 

私は手術前のカウンセリングで、傷跡や瘢痕がやや残る可能性があることをやや大げさに説明するようにしています。以前は、それでは患者さんが引いてしまって手術を受けないこともあるかな思っていましたが、それでも患者さんはにおいや汗をしっかり取ってくれることを希望しますので、カウンセリング時の傷のことで手術をやめた方は実は一人もいません。また、においや汗が確実に減ったことを喜んでくれる方が後々、傷跡を気にすることもほとんどと言っていいほどいらっしゃいません。

 

 私がわきがの手術を行った患者さんがたまたま1年たって、別の治療を希望して来院されたので、両わきの写真を撮らせていただきました。わきの一番深いしわに沿った部分に傷はありますが、一見すると傷というよりやはりしわです。手術後3か月から半年くらいまでは少し目立っていた色素沈着は今はなく、瘢痕もほとんど見られません。


 

わきが手術後1年

 

わきが・多汗症(腋窩多汗症)の手術は、日帰り、局所麻酔で時間は60分ほどです。

リスクや合併症は瘢痕、色素沈着、内出血、感染などです。

治療費用の目安は240,000~260,000円です。

 

 

私どものクリニックのわきが・多汗症治療のページです。

http://www.keisei.ne.jp/wakiga/

 

タウン形成外科クリニック