過労自殺や無給、相談29件=医師労組が初の110番
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009092700179医師による労働組合「全国医師ユニオン」(植山直人代表)が27日、初の電話相談「勤務医110番」を実施。過労自殺や長時間労働など計29件の相談が寄せられ、診療しているのに無給というケースもあった。
110番は同日午前11時から午後4時まで、ユニオンの医師ら5人が担当。相談者は医師本人が16件、家族7件、一般市民6件だった。
相談内容では長時間労働など労働時間に関するものが最も多く、残業代が足切りになっているケースや、そもそも労働時間の管理がされていない病院もあった。
家族に勤務がきついと伝え今春自殺した医師の関係者からは、労災認定に関する相談があった。
大学病院の30代精神科医からは「1人で責任持って外来診療しているのに、大学院生のため無給」との相談があり、雇用契約を結ぶよう求めた文部科学省の通達などを伝えた。
劣悪な労働条件に関する相談は、大学病院が比較的目立つという。植山代表は「大学を責めるつもりはなく、医師にきちんと給料を払えるような予算を投入しないと解決しない」としている。(2009/09/27-18:50)
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さてさて、一般の方には理解しがたい事でしょうから、解説しておきます。
>1人で責任持って外来診療しているのに、大学院生のため無給
この無給医の問題ですが、当ブログでは2005年のエントリーです。
無給医とは? http://ameblo.jp/doctor-d-2007/entry-10025847534.htm
要は、博士号を取ろうとすれば原則的に大学院に入学する必要があり、大学院に入学すれば、
医師の資格を持っているにも関わらず立場は学生とされ、
大学病院と雇用関係を結ぶ立場には無い、
つまり、給料を払わなくてよい医者 = 無給医
という社会的に矛盾した形態を規定し、長らく容認されてきました。
当然の事ながら、その矛盾を容認してきたのは大学病院であり、其れを統括する文部科学省である訳です。
この両者が、医師の学術に対する探究心や向上心を食い物にし続けてきたのが実態です。
その結果が、現在です。どうなったでしょう。
客観的事実として、日本の医学論文の数が減ってきています。既に中国に抜かれたと聞きます。
つまり、博士号を目指す人間が減少し、研究する人間がいなくなってきた訳です。
大学病院で無給医をやってまで取る博士号の意味を若い医師が真っ向から否定し、
そんなことよりもより多くの臨床経験を早く積んで専門医をとろうとしているのが、今のトレンドです。
要するに、若い医師の学術的向上心の減衰という結果を招いた訳です。
・・・もうおわかりですね。
学術的な成績を上げるために作り上げた無給医というシステムを長く続け過ぎた為に、
その大いなる矛盾によって今日において結果的に若い医師の学術的探究心を食い尽くしてしまった、
と言えるのではないでしょうか。
そう考えるとこの無給医システムの矛盾とは、
まるで、自分の尻尾から飲み込んでいく蛇のようなものだったかの様に思えます。
さて、記事のまとめですが、
>大学を責めるつもりはなく、医師にきちんと給料を払えるような予算を投入しないと解決しない
という事の通り、
大学院生にも給料を支払えるくらいの資金を大学に回さないと解決しないという事です。
日本の医療レベル維持向上の為に、対策を期待します。