Stop the Karoshi!(過労死)
当ブログは医者の過労死問題を取り上げ、社会に訴えかけます。
医者を過労死させることは、患者が自分で自分の首を絞めているのと同じです。
医者を過労死させないように、心がけましょう。
・・・さてさて、以前のエントリー「過労の螺旋 」で書いていますが、
私の経験からして医者の過労問題の入り口は当直中に遭遇する
コンビニ受診と言えます。
コンビニ受診とは、
患者が急病でもないのに、自分の都合だけで時間帯を問わず病院を受診することで、
まるで救急外来をコンビニエンスストアに行くが如くに気軽に訪れる様から、
ネット上でそう言われ始めたようです。。
いくら病院が救急指定を受け、「24時間365日体制で病気の相談を受け付けます」、
としていたとしても、それはあくまでも急病で急な処置を必要とする病状に限られています。
ところが、軽い打撲や我慢できる程度の痛み、あるいは単なる風邪症状であっても、
「心配だから、悪くなる前に医者にかかろうと思って。」
といった理由で、真夜中に相談に来られるわけです。
「そんなたいしたことの無い病人なら、診察も簡単だろうし、
医者もちょっと起きてきてパパッと診察済ませればすぐに終わりだろうし、
そんな患者一人や二人でで過労だなんだと言うのは、オーバーな言いようだよ。
それより、夜中とはいえ困った人がいる事には違いないんだから、
それを対処してあげるのが医者の義務ってもんだろう。」
・・・こういう意見をもっておられる一般の方もいるのではないでしょうか?
確かに、そういう見方もあるかもしれません。
・・・が、実状は全く違います。
そう・・・、そこが・・・、その甘い自己中心的な認識が、
このコンビニ受診の真の恐怖です。
軽い怪我や病気だから、とコンビニ感覚の軽い気持ちで夜中の病院へ受診されているわけですが、
医者にとっては、あらゆる患者において、軽い気持ちで診察することはありません。
常に緊張感を持って、全力を尽くさねばなりません。
細心の注意を払って患者の診察をし、的確な判断を下さねばなりません。
夜間といえあくびをしながら眠い目をこすり、
医者にとっては集中力の切れそうな非常に不利な状況での診察、それが夜間診察です。
そんな不利な状況で、誰にもおいそれと相談できず、自分ひとりで判断をし、しかし
見落としや判断ミスをすれば明日のニュースで主役に祭り上げられるかもしれない。
絶対にミスの許されない真剣勝負の修羅場、それが夜間診察の現状です。
一見軽い症状のものほど、余計に気を遣います。
典型的な症状が無く、症状が軽いほど選択される病気の範囲が広く、
それらすべてを否定する事が難しいからです。
そして、夜間コンビニ受診する患者ほど、診察に対する要求が過剰な傾向もあります。
「原因はなんですか?精密検査をしてください。」
そうして、検査技師までもたたき起こす破目になる訳です。
それは、例えて言うなら、
24時間営業のファミレスで3星級レストランのディナーを深夜に要求しているようなものです。
そして検査を行う事となれば、数分で済むことにはなりません。
診察して検査を行い、検査結果をみてからまた説明し、となると
単に打撲や風邪だとしても、患者の要求を満たすめに30分~1時間の時間が
一人のコンビニ受診患者の為に費やされる事となります。
しかし、だからといって病院では「検査できない」、と患者の要求を断ることができません。
なぜなら、検査を行わなかった場合に万が一でも後から異常があったと発見されれば、
夜間であろうがなんであろうが検査を怠ったとして責任追及を免れる事が出来ないからです。
「患者が検査を希望したというのに、医者が『必要ない』と判断し、手遅れとなった。
検査をしていれば、助かった可能性がある。医師の責任を認める。」
という判決は、もはやご存知ですよね。
「こんばんわ。夜中に申し訳ありませんが、よろしくお願いします。」
の挨拶もなく診察室に入ってきては、他覚的所見に乏しいような症状を元に、
無理難題を要求されるわけです。
夜中にそんな患者に接すれば、5分で心身ともに疲れ果ててしまいます。
そういった無理難題とまで行かなくて、スムースに終了するケースもありますが、
だからといって疲れない訳ではありません。
先も書きましたとおり、たとえ結果的に簡単な病気であっても、
医者は決して気を抜いて診察には望めない訳です。
夜中に起きて診察をするのは、
夜中に起きてトイレに行くのとは、全くワケが違うのです。
トイレなら、済ませて再びベッドへ戻れば睡眠の世界に戻れるでしょうけれど、
診察した後にすぐ寝付けるワケではありません。
・・・先日も午前2時に一人コンビニ受診患者で起こされのですが、
一度夜中に起こされると、もう明け方まで寝付けません。
当直室のベッドで体を横たえていても、眠りに入れなくては体力は回復しません。
結局、頭はボーッとしてしまい、体もダルい状態です。
期外収縮が頻発するな、と思っていると、不整脈の発作を生じ点滴を受けました。
このように、たった一人のコンビニ受診患者を引き金に、
一気に過労の度合いは高まるのです。
「たった一人夜間に見ただけで、そんな有様ってのは、医者失格じゃないのか?」
そういう厳しい意見を持たれる方もいらっしゃるでしょう。
仰るとおりです。私もそう思います。
たった一人の夜間診察で、こんな風に体調を崩すとは情けないばかりです。
以前はバリバリと何日も連続で当直にあたったり、
夜間にコンビニ受診患者から重症患者まで10人でも20人でも外来診察をし、
何日も徹夜で入院患者の治療にあたっていた事もあったのに!
・・・結局そういう無理が祟って、いまの状態に陥ってしまった訳です。
そんな私でも、やっぱりまだ当直業務をしなくては、医者の手が足りないのです。
携帯の充電器・・・。
あれって、買った時は満タン充電で何日ももったのに、
なんども充電を繰り返していると電池が消耗して何年かすると
いくらフル充電しても、1日やっともつかどうかになってしまいますよね?
あれと同じです、今の医者は。
これまでの無理がたたって、日本全国で皆擦り切れる寸前です。
だから、ミスを生じたり、過労死を招いたりします。
重要な局面でミスを犯さないようにするため、過労死から逃れるためには、
危険な医療行為からできるだけ遠ざかるしかありません。
それが、逃散です。ドロッポです。
<医者の常識、世間の非常識>
『自分一人だけなら、夜中に受診しても良いだろう。』
深夜コンビニ受診患者のもたらす真の恐怖とは、
こうして直接的に医師過労死のリスクを増大させている事に、
疑いはありません。
自分の軽率なコンビニ受診で、
過労の縁にある医師を、過労死の谷に突き落とす危険性を、
患者も知るべきです。
当ブログは医者の過労死問題を取り上げ、社会に訴えかけます。
医者を過労死させることは、患者が自分で自分の首を絞めているのと同じです。
医者を過労死させないように、心がけましょう。
・・・さてさて、以前のエントリー「過労の螺旋 」で書いていますが、
私の経験からして医者の過労問題の入り口は当直中に遭遇する
コンビニ受診と言えます。
コンビニ受診とは、
患者が急病でもないのに、自分の都合だけで時間帯を問わず病院を受診することで、
まるで救急外来をコンビニエンスストアに行くが如くに気軽に訪れる様から、
ネット上でそう言われ始めたようです。。
いくら病院が救急指定を受け、「24時間365日体制で病気の相談を受け付けます」、
としていたとしても、それはあくまでも急病で急な処置を必要とする病状に限られています。
ところが、軽い打撲や我慢できる程度の痛み、あるいは単なる風邪症状であっても、
「心配だから、悪くなる前に医者にかかろうと思って。」
といった理由で、真夜中に相談に来られるわけです。
「そんなたいしたことの無い病人なら、診察も簡単だろうし、
医者もちょっと起きてきてパパッと診察済ませればすぐに終わりだろうし、
そんな患者一人や二人でで過労だなんだと言うのは、オーバーな言いようだよ。
それより、夜中とはいえ困った人がいる事には違いないんだから、
それを対処してあげるのが医者の義務ってもんだろう。」
・・・こういう意見をもっておられる一般の方もいるのではないでしょうか?
確かに、そういう見方もあるかもしれません。
・・・が、実状は全く違います。
そう・・・、そこが・・・、その甘い自己中心的な認識が、
このコンビニ受診の真の恐怖です。
軽い怪我や病気だから、とコンビニ感覚の軽い気持ちで夜中の病院へ受診されているわけですが、
医者にとっては、あらゆる患者において、軽い気持ちで診察することはありません。
常に緊張感を持って、全力を尽くさねばなりません。
細心の注意を払って患者の診察をし、的確な判断を下さねばなりません。
夜間といえあくびをしながら眠い目をこすり、
医者にとっては集中力の切れそうな非常に不利な状況での診察、それが夜間診察です。
そんな不利な状況で、誰にもおいそれと相談できず、自分ひとりで判断をし、しかし
見落としや判断ミスをすれば明日のニュースで主役に祭り上げられるかもしれない。
絶対にミスの許されない真剣勝負の修羅場、それが夜間診察の現状です。
一見軽い症状のものほど、余計に気を遣います。
典型的な症状が無く、症状が軽いほど選択される病気の範囲が広く、
それらすべてを否定する事が難しいからです。
そして、夜間コンビニ受診する患者ほど、診察に対する要求が過剰な傾向もあります。
「原因はなんですか?精密検査をしてください。」
そうして、検査技師までもたたき起こす破目になる訳です。
それは、例えて言うなら、
24時間営業のファミレスで3星級レストランのディナーを深夜に要求しているようなものです。
そして検査を行う事となれば、数分で済むことにはなりません。
診察して検査を行い、検査結果をみてからまた説明し、となると
単に打撲や風邪だとしても、患者の要求を満たすめに30分~1時間の時間が
一人のコンビニ受診患者の為に費やされる事となります。
しかし、だからといって病院では「検査できない」、と患者の要求を断ることができません。
なぜなら、検査を行わなかった場合に万が一でも後から異常があったと発見されれば、
夜間であろうがなんであろうが検査を怠ったとして責任追及を免れる事が出来ないからです。
「患者が検査を希望したというのに、医者が『必要ない』と判断し、手遅れとなった。
検査をしていれば、助かった可能性がある。医師の責任を認める。」
という判決は、もはやご存知ですよね。
「こんばんわ。夜中に申し訳ありませんが、よろしくお願いします。」
の挨拶もなく診察室に入ってきては、他覚的所見に乏しいような症状を元に、
無理難題を要求されるわけです。
夜中にそんな患者に接すれば、5分で心身ともに疲れ果ててしまいます。
そういった無理難題とまで行かなくて、スムースに終了するケースもありますが、
だからといって疲れない訳ではありません。
先も書きましたとおり、たとえ結果的に簡単な病気であっても、
医者は決して気を抜いて診察には望めない訳です。
夜中に起きて診察をするのは、
夜中に起きてトイレに行くのとは、全くワケが違うのです。
トイレなら、済ませて再びベッドへ戻れば睡眠の世界に戻れるでしょうけれど、
診察した後にすぐ寝付けるワケではありません。
・・・先日も午前2時に一人コンビニ受診患者で起こされのですが、
一度夜中に起こされると、もう明け方まで寝付けません。
当直室のベッドで体を横たえていても、眠りに入れなくては体力は回復しません。
結局、頭はボーッとしてしまい、体もダルい状態です。
期外収縮が頻発するな、と思っていると、不整脈の発作を生じ点滴を受けました。
このように、たった一人のコンビニ受診患者を引き金に、
一気に過労の度合いは高まるのです。
「たった一人夜間に見ただけで、そんな有様ってのは、医者失格じゃないのか?」
そういう厳しい意見を持たれる方もいらっしゃるでしょう。
仰るとおりです。私もそう思います。
たった一人の夜間診察で、こんな風に体調を崩すとは情けないばかりです。
以前はバリバリと何日も連続で当直にあたったり、
夜間にコンビニ受診患者から重症患者まで10人でも20人でも外来診察をし、
何日も徹夜で入院患者の治療にあたっていた事もあったのに!
・・・結局そういう無理が祟って、いまの状態に陥ってしまった訳です。
そんな私でも、やっぱりまだ当直業務をしなくては、医者の手が足りないのです。
携帯の充電器・・・。
あれって、買った時は満タン充電で何日ももったのに、
なんども充電を繰り返していると電池が消耗して何年かすると
いくらフル充電しても、1日やっともつかどうかになってしまいますよね?
あれと同じです、今の医者は。
これまでの無理がたたって、日本全国で皆擦り切れる寸前です。
だから、ミスを生じたり、過労死を招いたりします。
重要な局面でミスを犯さないようにするため、過労死から逃れるためには、
危険な医療行為からできるだけ遠ざかるしかありません。
それが、逃散です。ドロッポです。
<医者の常識、世間の非常識>
『自分一人だけなら、夜中に受診しても良いだろう。』
深夜コンビニ受診患者のもたらす真の恐怖とは、
こうして直接的に医師過労死のリスクを増大させている事に、
疑いはありません。
自分の軽率なコンビニ受診で、
過労の縁にある医師を、過労死の谷に突き落とす危険性を、
患者も知るべきです。