さてさて、記事が長くなったので、2分割後半です。


前半はコチラ。

医療はサービス業か否か?~「お客様は神様です。」の意味とは~



日本人のサービス業に対する過剰な要求が問題である事とも関連していると思いますが、


さらに、医療でのサービス要求には一般のサービス業とは大きく異なる点があります。


それは、医療と一般のサービス業とでは、目的、方法、結果が異なるという事です。



多くのサービス業の目的とは、利益を上げて事業を発展させる事でしょう。



どれだけ多くの利益を絵がることが出来るか、で経営者や社員の生活を維持する事に目的があり、



その方法として、顧客を満足させるサービスの充実が図られ、


結果として社会に貢献する事も含まれるものだと考えられます。


ここで、使われるサービスという言葉こそ、


「お客様は神様です」、という言葉の間違った解釈と、利益追求、競争原理という観点か


サービス = 召使のように客の要望に応える事


という解釈に至ったのだと思われます。




しかし、医療はどうでしょう?



医療の目的とは、病気の治療を行う事にあり、決して利益追求を命題としてはいません。



病気の治療とは、多くは苦痛や不自由を伴うものであり、患者も好き好んで受けている訳ではありません。



病気になったから、仕方なく病院で治療を受けているであり、最初から患者の満足を求めたものでは無い訳です。


その際に行われる医療サービスとは、あくまでも治療という無形の商品を提供する、





医療サービス = 治療行為を行う事

であり、ここで使われるサービスという言葉の意味は、「無料の」とか、「召し使いのように振舞う行為」を示すわけでは


ありません。


確かに、医療の過程においては医療者のボランティア精神に基づいた献身的な治療、介護が行われ、


一見して一般のサービス業と同じような「召使のような奉仕」を行っているようにも見えますが、



医療サービスとは、治療を目的としている訳で、



召使のように患者の要望に応え、利益を上げる事は目的ではありません。







患者の要望をすべて聞いていては、治療はまともに進まないですよね。


もちろん、医者が勝手に治療を進める、という意味ではなく、


患者の理解を得る事を前提としての話です。




・・・しかし、本当にこの勘違いだけは早く辞めて欲しいところです・・・OTL


過労死する医師がまた新たに出ないうちに・・・、私も含めて・・・(-_-


下僕でございます





 



また医療の場合、治療の成果は不確実なものです。

一般のサービス業のように、

一定のサービスさえ提供していれば、一定の相手の満足が得られるという保証は無い
訳です。

治療では、薬の副作用や思わぬ合併症などが発生することもあります。



一般のサービス業ではそういった危険性は殆ど無いでしょうから、全体的には少ないとしても、


医療サービスにはリスクが付き物だという点でも、一般のサービス業と違う点です。

また、経済的視点からも異なります。


一部報道されるような自由診療は例外として、現在の日本の医療は国民皆保険制度によって支えられています。


すなわち、すべからく日本国民には医療を受けるにあたって優遇措置がとられている訳です。


健康で病院へ全くかからないような人でも毎月決まった額を支払う事によって、


病気で困った人の分の治療費が安くなっている訳です。



病院へかかっている人は、健康な人からの援助で助けられている訳ですから、


一般のサービス業と同じような、

お金を払えば払うほど、濃厚なサービスが受けられ満足度も上がるという


理屈は、成り立ちません。


ですから時々診察室や受付で見かけるのですが、


「金を払っているんだ!」







という強弁で権利意識を振かざす事も、的外れです。


自分で稼いだお金なら、無駄遣いでもなんでも好きにつかえばいいでしょう。



一般のサービス業はそれに呼応していますが、


国民会保険制度により優遇措置がとられている医療サービスでは、無駄使いはいけません。




社会全体で病人の為に集めたお金を医療によって費やすというのに、






患者一人一人が消費者意識をもって好き勝手にする事が許されるわけがありません。


このように、経済的観点からも医療は一般のサービス業とはかけ離れたものだとわかります。





・日本は「サービス業」に対して、誤解によって過剰な消費者意識と権利意識をもってしまった。







・医療は経済観点からも、サービスの目的からも一般のサービス業とは異なる。







この2点をもって、現在の世間が医療に求めるサービスは過剰なものであると結論できると思います。




・・・さてさて、長くなりましたのでまとめです。


「医療とはサービス業か?」


この問いは、



医療とは何か?



サービス業とは何か?



この2点をきちんと認識しなくては応えられませんし、問いかけ自体もあいまいに過ぎません。


そして、この問いかけの求める結論を、




「医療もサービス業だから、患者にもっと奉仕して医療者は召使のように振舞って当然だ。」



というふうに読み取ると、





患者の権利意識の高まりと、医療に対する不信感の表れ


から生じた問いだとも思われます。


そして、業務形態の見かけ上、

弱者である病人に対して、医療者が献身的に治療、介護にあたっていることから

患者 = 客 = 消費者


という誤解を招いたのではないでしょうか?


しかし、実際は「お客様は神様です。」という言葉の誤解

経済競争原理から来る過剰な消費者迎合主義から発生した消費者の権利意識が、

一般のサービス業においても健全とは言いがたい消費者の増長をもたらした様に思われます。

そういった消費者意識が、最近その権威を貶められ続けてきた医療にも適応されるようになり、



患者 = 消費者 = 神様



といった勘違いにまで発展していって、


今日の医療モラルの低下、患者の暴力という異常にまで及んできたのではないでしょうか?


そして、実際は医療においては患者は経済観念においても、医療そのものの目的としても


一般のサービス業とは明らかに違うと言えます。




・・・さてさて、実は最近の医療現場では「保身医療」という状況が生じてきています。


医療不信と、患者モラルの低下によって、


医者が事故や訴訟を未然に防ぐ為に必要以上の検査を行ったり、


リスクの高い患者は他の医療機関へ紹介するケースが増えているという訳です。




<医者の常識、世間の非常識>


医療サービスは、世間一般のサービス業とは違います。


そもそも、








「お客様は神様です。」



という言葉の解釈には誤解があって、日本人はサービス業に対する考え方を

健全なものに修正する必要があります。













・・・でないと、











「触らぬ神に祟りなし。」











という事になってしまいますよ・・・。






・・・なかなかまとまらずに時間がかかりましたが、


その間に小松 秀樹先生の本が出版になりました。




医療の限界





まだ買ってませんが、おそらく私の言いたい事も


この本の中に簡潔にまとめられているはずですね(^^;

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