隣のかわいいあの子
数ヶ月前、帰宅すると玄関のドアノブに紙袋がぶら下がっていた。
中に手紙も入っていた。
【はじめまして。隣に引っ越してきた○○です。ご挨拶に伺ったんですが、留守のようなのでこちらに置いておきます。】
あぁ、そういえば・・・
大家さんも私の隣の部屋に、女性が引っ越してくるとか言ってたな。と思い出した。
せっかく来てくれたのに申し訳ないなぁ。と思いながら、手紙を読み進めた。
【広島の母が隣のお姉さんに・・・と、広島から買ってきたお菓子です。よろしければ食べてください】
袋の中を見ると、「広島巡り」と書かれたお菓子が入っていた。
手紙で分かったその他の情報は、彼女は広島から上京し、初の東京一人暮らしだということ。私より若いということ。最後の似顔絵を見るとカワイイ子だということ。そして、礼儀正しい子ということ。
手紙を読み終え、お菓子を開けてみた。
あの~名称は忘れたけど、メレンゲで作られているフワッとした焼き菓子あるよね。食感がなんとも言えない高級感を漂わすやつ。
それが入ってたんだけども・・・・
中のお菓子、
ボッロ、ボロ。
車に轢かれたんじゃねーか!?つーくらいボロボロ(笑)
思わず一人で部屋で笑ってしまった。
お母さん・・・広島からここにくるまで一体何があった!?
なんならお母さんが捨て身でお菓子を守り抜き、
「これ・・・・を・・・隣の・・・お・・・ね・・・・え・・・さ」ガクッ
っていう画まで浮かんでくる。
ちょっと浮かれてる感がある手紙とこのボロボロのお菓子。
そのミステリアスさといい、人の温かさといい、間抜けさといい・・・隣の母子は100点だと思いました。
なぜかすごくほのぼのした気分になった。
もちろんお菓子も粉薬を飲む方法で、袋に口をつけしっかり堪能しました。想像以上に美味しかった。
その後、お礼に伺ったが今度は彼女が留守で、お礼と挨拶の手紙を玄関に置いておいた。
それから数ヶ月経ち、昨日やっと隣の彼女と話すことが出来た。
手紙の第一印象と違わず、すごく可愛くいい子で天然でした。
その話はまた今度ゆっくりと。