蝉しぐれ | 圭一ブログ

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圭一のブログです。1984年宮崎県生まれ

蝉しぐれ (文春文庫)/藤沢 周平

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「セミシグレ」というのはTHE YELLOW MONKEYの幻の曲なわけで、
詩の内容は、本当の自由が本当の自由に殺されるってことなんですが、それは関係ありません。

あさのあつこさんが大好きな作品だということで、手に取りました。

時代劇という体裁をとっていますが、とても青春っぽいです。
強さも弱さも兼ね備えた(当たり前の)人間の成長を描いているって感じです。

司馬遼太郎の作品みたいに、何かスバ抜けて優れた人間が出てくるわけでもないし、歴史を変えるような大事件が起こるわけでもないです。そもそもフィクションです。主人公は剣の達人ですが、あんまり体育会系な感じでもないです。

子供から大人になって、最後にいきなり「あれから20年後」となって、子供の頃好きだった人が尼さんになって・・・
ちょっと豊饒の海っぽいですが、別にたいした事は起こりません。

なんでしょうか、この淡々とした印象は。
読んでいる最中は、登場人物に感情移入したりしていた気はするのですが、
なんだか今思い出してみると、保坂和志の作品並みに、何も起こらなかったという気がしてきました。
蝉しぐれほどドラマティックでもない。
まあそういうのが一部の読者にうけるのかもしれませんね。

やっぱりまだ僕は吉井さんの「セミシグレ」みたいに、痛々しくてアヴァンギャルドなものを欲しているようです。
物語の中に暴力の匂いがすれば、暴力は行われなければならない気がします。
村上春樹のいうところの、銃弾は発射されねばならんというやつですね。
恋愛は誰かが傷つくべきですし、人は変わらねばならないし、大切なものは失くさなければなりません。

藤沢ワールドはそんな若気の行ったり来たりを突き抜けたところにあるのでしょうね。

というわけで、こっちの本をオススメします。

So YOUNG―吉井和哉詩集/吉井 和哉

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セミシグレ
作詞・作曲:吉井和哉
編曲:THE YELLOW MONKEY

セミが泣き叫ぶ夏の終わり 不良が死んだ
色白で20才 瞳はブライアンジョーンズ
盗み、レイプ、人殺し 最高の腕前
確実に地獄に落ちるセンスバツグン

昨日もいらなきゃ 明日もいらない

「スー、ハー」が大好きで支離滅裂な目で
手あたりしだい女の子を追いかける
女の子は隠れたドキドキしながら
真相は知りません

昨日もいらなきゃ 明日もいらない

父親は新しい女をつくり
数年後事故で他界 酔っぱらい運転

紙の歌をつぶやいて 鉄格子をくぐる時
真っすぐなセミの声に少しだけ愛を感じた
ミーン ミーン ミーン ミーン

群衆の罵声は性的な興奮につながる
もしもマシンガンを持っていたら一人残らずハチの巣だ
最後のタバコを2口吸って お礼を言って
目隠しされる
本当の自由が本当の自由に殺される

神の歌をつぶやいて 死刑台に昇る時
ブルースに似た青空 それを感じほほえんだ
セミが鳴いている夏の終わり セミと変わらない短い人生

周りはあいつが死んでよかったと喜んだ
けれども母親はまるまって泣いていた
周りはあいつが死んで当然だと喜んだ
周りはあいつが死んでよかったと喜んだ
周りは・・・・・・

セミが泣き叫ぶ夏の終わり 不良が死んだ
色白で20才 瞳はブライアンジョーンズ