■六カ国協議は米国防政策の道具に


安倍首相と言うのは、本当に大変な時期に就任したもんだと。


とにかくこの安全保障の岐路という大きな問題が

ほとんどクローズアップされないというのが恐ろしい。


しかも首相は明確にアナウンスできない立場にいるわけです。


シーファー米大使、「特措法延長は世界に重要」 小沢代表を説得へ

http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070804/usa070804000.htm

(産経)



 民主党内にはテロ特措法の延長阻止を通じて安倍晋三政権退陣や衆院解散総選挙に追い込む計算もあるとされるが、シーファー・小沢会談が設定されたことによって、民主党が日米同盟の意義を選ぶか、延長問題を政争の道具にするかきわめて重大な選択を迫られることになった


さて、小沢党首はどこまでこの問題の本質を見極めて対応できるのか。


・・・・と何がいいたいのかというと


先日も少し触れたのですが、

アメリカ議会には、国防力を自国防衛のためだけに集約せよと言う

日米安保を含めた海外安保戦略の縮小を求める空気が蔓延しているわけです。


・世界の警察たる米軍のあり方を放棄し、自国防衛にのみに徹するべき


という意見と


・従来の世界戦略を維持し、安全保障を通じて影響力を保持する


という意見とで激しい攻防が繰り広げられています。


もし、イラク特措法が延長されないとなると、一挙に日米安保不要論に

傾く可能性があります。


というより、不要論に餌を与えることになります。


F22問題にしても、購入できるかどうか、

どころか

在日米軍に配備されるかどうかという問題にもなっているのです。


すでに軍事戦略上の拠点がグアムに移行しつつありますので

沖縄が無人交番化するかもしれない。


で私が言いたいのは

安保が重要かそうでないかという問題ではなく

現実的におこうるであろうオプションに対して

あらゆる想定準備はできているのか?ということです。


そんな中で、我が国に対しても

色々な情報戦が展開されています。


元NYタイムス論説員でプロパガンダシンクタンクSSRC

のレオン・V・シーガルというひとのアナウンス。


中央公論シーガル


拉致敗戦 --日本は北朝鮮問題で致命的な孤立に追い込まれる

http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/rachihaisen.html


拉致敗戦 --日本は北朝鮮問題で致命的な孤立に追い込まれる(その1)

http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070724-03-0501.html


拉致敗戦 --日本は北朝鮮問題で致命的な孤立に追い込まれる(その2)

http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070724-04-0501.html



米政府は「北朝鮮とは戦争できない。制裁もできない。交渉が効果を発揮するかもしれない、試す価値はある」という共和党主流の現実主義に戻ったのだと、シーガルは指摘する。


共和党の現実主義?

というか、極東緊張をすべて北朝鮮問題に集約して

その解決でもって、「アジア安全保障の問題を矮小化したイメージ」を醸成して

日米安保を含む、米軍の海外展開を縮小する根拠としたいわけでは?


では、米国務省が描く六カ国協議の今後のあり方とは・・


やはりこのシーガルのアナウンスと同じく

六カ国協議を通じた生ぬるい解決を演出して

アジアの安全保障上の脅威論を低減させ、展開米軍の縮小を方向づけたいのだと・・


その舞台演出として、六カ国協議及び北朝鮮問題と言うのは

非常に都合がいいわけです。


こんな米国の主流化しつつある自国防衛論の道具に対北問題が利用される恐ろしさ。


曖昧にアジア安保の現状に蓋をして、燻った火種が爆発した時には

日米安保が形骸化、もしくはその機能を失っているかもしれません。


シーガル氏のアナウンスのおかしなところは

ブッシュ大統領が六カ国協議の交渉で早期解決を望んでいるとする

ライス全権委任の説明。


大統領の本音はしばしの現状維持ではないかと。


我が国の取るべき態度は


やはり、拉致問題は

国家の基本である、邦人の人命及び人権の保護という原則に関する

問題であるので、現在の姿勢を崩すべきではないと思います。


よく喧伝される「孤立」と言う言葉。


これは各国のバラバラな思惑を覆い隠すもので


中露は協議によって軍事縮小論へ向かう米国動向を前に

無理からな対北解決の演出を受け入れ、

形骸化した米韓安保などどうでもいい韓国は

太陽政策そのままに早期決着をのぞむ。


我が国はこんな演出に同調する必要はないわけで


米民主党政権の誕生によって大きく変わるであろう

日米安保の形に対して、どのような意思確立で臨むかと言う事では

ないでしょうか。


米政策動向によって、

すでに、
対北問題も特措法問題も

我が国安全保障に直結する問題となってしまいました。