AMI ALEXANDRE MATTIUSSI 2014-15 FW !!! | ダイコ★ブログ

AMI ALEXANDRE MATTIUSSI 2014-15 FW !!!


 ようやくこの日の最後のコレクション、なんと夜9:00。。。。ほぼ12時間営業でこの日はパリ中を動き回りぐったり気味です。。。。が、AMI ALEXANDRE MATTIUSSI(アミ アレクサンドル・マテュッシ)ですもの。。。。這ってても行きますよ。。。


 会場はPalais de Tokyo。いままでプレゼンテーション形式でコレクションを発表していたこのブランドですが、今回からはコレクションとして正規スケジュールに組み込まれていましたね。。。


 前回もこちらでの開催で、その時はジャック・タチの映画『Pray Time』に登場するような、60'Sのノルタルジックな空港のラウンジのセットをロケーションに、パラダイスの香りムンムンの素晴らしいコレクションを発表して話題になりました。今回は。。。。会場に入ると一面雪景色。。。。オレンジの街灯の下に照らされたのは、雪の積もった広場でしょうか。。。。いやぁ、期待ムンムンですね。。。。




 やがて、暗い夜はうっすらと白み出し、ライティングによる夜明けのような情景が訪れます。夜の間に降り積もった雪は、一面に広がる銀世界のパリの朝の景色を描き出し、一人一人とモデル君達が歩いて来るという、いつもながらにドラマティックなアレクサンドル・マテュッシ監督によるショートムービーがスタートします。


 今回、このロケーションからもお解りのように『Paris under the snow』がテーマです。寒い時期を暖かく過ごす為に様々なアウターを揃え、アミが得意とする物語のある男らしい男性像が登場人物。トラディショナルなメンズウエアのスタイルの中に、着る人のバックグランドを感じさせるスタイルは、いつもながらに絶品です。



 今回注目なのが、新たな彩りを添えるストリートテイスト。端正にテーラリングされたジャケットやチェスターフィールドには、細すぎたり、太すぎたりするデフォルメしたボトムスが、チャーミングなプロポーションを作り出していましたね。いやぁ、相変わらずセンスが良過ぎます。。。。


 カラーは、モノトーンを中心にネイビーやグレー、キャメルと実にシックで、時折アクセントとなる鮮やかなレッドが印象的ですが、カラフルな印象が強かった2014 SSからするとかなり男前な感じです。では早速コレクションを見て行きましょうね。。。。



 前半に登場するのはグレーをベースにしたシーンです。トーン違いのグレーのコーディネイトや、ネイビーの中にグレーを刺したりと、様々なテクニックで取入れられたニュートラルなこの色がとても印象的です。こちらは、グレーのジップブルゾンとスリムのパンツパンツです。ジップブルゾンのインナーにはホワイトとサックスのストライプのシャツをきちっと着て、冬でも爽やかさを演出します。


 上に羽織ったのはネイビーのショート丈のコート。大きめのテイラードのラペルが美しく、ピーコートをイメージさせますが、より柔らかそうなウールで仕立てられていましたね。。。


 解ります?このさりげなさ。。。。でも、究極にイイ男でしょ???これが、アミ アレクサンドル マテュッシの最大の良さです!!!!




 今回登場するコートの中には長めのレングスのアイテムが多く、印象的でしたね。クラシカルなチェスターフィールドで、実に美しいテーラリングでしっかり作られていますが、モデルの動きからして実にソフトなテクスチャーが伺え、シェットランドウール等を中心に使ってるようです。


 こちらのルックにはさらにローウエストのボリュームたっぷりのパンツがコーディネイトされます。さりげなくスタイリートのムードを取入れながらも。エレガントな男性像をバランス良く作り上げていますよね?


 実はこちら、スーツスタイルで、しかもチェスターコートです。。。。下手すると田舎の披露宴の新郎みたな危険極まりないコーディネイトですが、どうです?このノンシャランとしたスタイル????ねっ?素敵でしょ?


 (photo by Tommy Ton)




 屋外で過ごす、しかもこんな寒々しい雪景色をロケーションにした程ですから、アウターが多かったコレクションの中でこんなスタイルも登場しましたよ。キャメルのかなり厚手のしっかりしたチャンキーニットには、同じカラーの大判のマフラーを顔が隠れるくらいまでぐるぐる巻きにします。このアウターとして着れるような、しっかりしたニットも今回注目でしたね。


 インナーにはグレーのシャツ。パンツと同じカラーでまとめ、ウエストで上下を分断するストロークの強いスタイリングですね。日本人だとプロポーションがまっ二つになる事を恐れて嫌厭する方が多いのですが、実はこれ全体がスッキリ見えるテクニックで個性的なアイテム等を取入れる時は馴染み易いんです。こちらのような大人が履くには、少しワイドでヒップホップテイストのパンツも、難なくサラリとコーディネイト出来ちゃいますよね。

 にしても、冬のデートの待ち合わせ場所で、大好きなBFがこんなコーディネイトで待っててくれたら。。。。。間違いなく全速力で走って行って抱きつきますね。。。。嗚呼、妄想が膨らみます。。。。



 様々なクラシカルなスタイルを印象付ける為に今回多用されているのがシェットランドウールで、伝統的なメンズウエアに用いられて来たエターナルナファブリックが、このメゾンが得意とする、しっかりとしたテーラリングとマッチして実に素敵でしたね。


 アレクサンドル・マテュッシは2011年にパリコレにデビューする前、DIOR HOMME、マーク ジェイコブス等でそのキャリアを積み、GIVENCHYではファーストアシスタントまで務めた実力の持ち主です。まさにテーラリングに関してはこの若さでは他に類を見ない、確固とした美意識を感じさせる作品をクリエイトしています。。。あっご本人1980年生まれの現在34歳でございますよ。。。


 キャメルカラーのサキソニーのスーツには、同じファブリックのシャツをインナーにコーディネイトしてオールインワンのようなスタイリングを楽しみます。シャツオンシャツという、これまた気を付けないと大惨事を招くスタリングですが、ホワイトにグレーのストライプのファブリックを使い、しかも襟元とヘムをチラ見せするだけという、実に高度なテクニックで、ルックをクールに仕上げていましたね。

 



 今回、ドッドも研究されいくつか登場し、コレクションに彩りを添えていましたね。
こちらのインナーにスタイリングしているのは、2トーンのドットのジャカードのニットで他にブラックにホワイト等のカラリーングもありましたよ。


 ドットはとてもコントラストが強くなりがちで個性的なモチーフですが、今回はクラシカルな味付けが施されているので、違和感無くリアルクローズとしてFWシーズンのメンズウエアに取入れられているのが新鮮でしたね。。。私、今迄インパクトを出す為にドットを使っておりましたので。。。。


 ドットは他にもう少し細かめのゲージで、モノトーンのファブリックも使用されていて、こちらはなんと日本製だそうです。ブラックのロングコートのインナーに、さりげないコントラストとしてシャツでコーディネイトしたり、テディジャケットやタイ等でも登場しましたね。他にレザーの上にレーザープリントで施したマテリアルも登場し、バッグやシューズ等のアクセサリー等で見付けましたね。


 次シーズン、水玉好きの方には、お気に入りのアイテムが見つかりそうなコレクションでしたね。




 今回、とっても楽しかったのが、アレクサンドル・マテュッシ本人のようなスタイリングが沢山登場した事ですね。そのほとんどのモデルが御本人と同じく、わっさとおひげを蓄えて、トレードマークの後ろ気味にニットキャップを被るスタイリングで、会場では笑みを誘っていました。


 こちらは襟にシアリングしたムートンを使った、レザーのブルゾンですが、今回多くのブルゾンのフロントにジップが用いられていて、大半が両方向から開閉する仕様になっていました。これは襟元にアクセントを付ける為に違うカラーをチラ見せするスタイリングを、ヘムでも楽しむ事が出来るという優れもので、こちらのようにニットや、そのインナーに着たシャツのヘムのレイヤーまで楽しむ事が出来ます。


 まぁ、少しお腹の出てる方にはここがちょっとでも開閉するっていうのは、実に嬉しいディテールなんじゃないでしょうかぁねぇ???




 シェットランドウールなどが多用されていた今回、現代のメンズウエアのベースとなっているエドワーディアンスタイルの香りも漂わせています。


 エドワーディアンスタイルとは1901年から1910年迄即位したイギリスの国王エドワード7世の時代に流行したスタイルを呼びます。時代は産業革命後のベル・エ・ポックの時代。それ迄のマニファクチュアで行われていた工業生産は機会化され、世紀末のデカダンなムードとは対照的に、華やかでロマンティックなスタイルが中心になります。


 エドワード7世は大変オシャレな国王として有名で、ファッションにおける彼の一番の偉業は、男性の昼間の礼装として考案されたフロックコートかもしれません。テディという愛称で親しまれ、50年代にはテディーボーイスタイルとして再び注目されたり、60'Sのモッズスタイルもこれに傾倒しています。


 こちらはハウンドトゥースチェックで仕立てられたダウンジャケットです。ハイブリッドで取入れ易いアイテムですが、襟のシェアリングしたムートンを使いや、ラグランの切り替えにテディージャケットのディテールを生かし、クラシカルにまとめています。


 着てる本人が意識しなくてもエレガントなスタイルに見えるように緻密に計算されていて、もちろんジップもダブルで開閉可能ですね。。。  




 はい。バッドボーイのノーマン君。こちらでも大活躍です。。。。今回のストリートのムードをプラスしたトラディショナルなコレクションにはもってこいですね。。。


 そんな彼が着てるのはピンストライプのスーツです。ピークドラペルにダブルブレスト、オーバーシルエット気味のワルそうなジャケットには、これまたバギーのようなワイドパンツがコーディネイトされ、クールなギャングスタイルです。


 が、こちら、インナーのシャツやタイまで全て同じピンストライプのファブリックで仕立てられています。これによりモード感がグッと増し、もちろんきっちりしたテーラリングの仕立てなので、むしろ上品なスタイルに落ち着かせているのも見事ですね。


 いやぁ。。。ノーマン君着用ってのもありますが、端正なアイテムが多いアミのコレクションですが、このくらいワルいスタイルは、個人的にビビッと来て、かなり欲しいですね。。。。


  (photo by Tommy Ton)



 こちらのプリンス・オブ・ウェールズのロングコートも素敵でしたね。プリンスオブウェールズもやはりイギリス的なメンズウエアの中ではエターナルなチェックで、グレンチェックの一種です。グレンチェックはイギリスのアーカートという場所の谷間(Glen)で作られた事に由来し、小さなハウンドトゥースで構成されています。


 プリンス・オブ・ウェールズの名前が付いたのは、当時ファッション界でも名高かったエドワード8世が在位時代、このグレンチェックを大きくしたような柄を愛用していたそうで、後にウェールズの王子という彼自身の愛称を、周囲の人々がこのチェックにも付けたそうです。。。


 エドワード8世はイギリス王室において唯一王冠を捨てた国王でもあり、その理由が離婚経験のあるウォリス・シンプソンと結婚するためだったというのは、あまりにも有名な話ですね。因みに2011年公開のイギリス映画、『英国王のスピーチ』でコリン・ファースが演じたのは、彼の弟のジョージ6世のお話です。

 

 さてそんな伝統的なチェックは、こんなコンテポラリーなスタイルに解釈している部分にもアレクサンドル・マテュッシのセンスの良さが感じられますね。少しオーバーサイズ気味のチェスターコートに仕上げ、このアイテム自体は実にクラシカルですが、コーディネイトするのが、パーカーやスウェットパンツ。。。。パーカーの下にはホワイトシャツを着てポライトさも演出していますが、ニットキャップやホワイトのスニーカーでどちらかと言うとストリート寄りかもしれませんね。


 この、ずんぐりしたポロポーションが今回とても注目で、エレガントなアイテムとマッチして新しい雰囲気を生み出してましたね。


 (photo by Tommy Ton)


 
 タータンチェックも実に効果的にコレクションに登場していましたね。やはり王道のパターンなのでシェットランドウールのアイテム等とは相性バツグンで、シャツ等のインナー等にさりげなく取入れられているのは、実にこのメゾンらしく奥ゆかしいですね。。。


 他にポケットだけにタータンを使ったプルオーバーや、シャツにタイとどちらもタータンで、ブルゾンのインナー等にチラ見せでもコーディネイトされていました。


 こちらも実にストリートなジップブルゾンにローライズのワイドパンツのコーディネイトですが、タータンのシャツをインナーにコーディネイトし、ブルゾンのヘムからチラ見せするだけで、グッとスタイリングが上品になります。


 もちろん、ジップは両開き。。。。ねぇ?使えるでしょ?このジップ。。。


 (photo by Tommy Ton)



 コレクション後半は鮮やかなレッドのルックが登場します。まさにクリスマスに着たいようなこんなワントーンのルックも実にエレガントです。シャツ、ジャケット、コート、パンツを全て同じレッドで統一し、一番下にホワイトのシャツをコーディネイトしてチラ見せするテクニックも実に粋ですね。。。


 コートのデザインをダッフルにしたり、パンツもローライズでワイドなボリュームにする事で若さも演出し、こんな大胆なカラーリングを水っぽくも、コスプレっぽくもする事なく、上品にまとめていましたね。。。


 絶妙なカラーコーディネイトでレイヤーを楽しんだりすることが今まで多かったアミのコレクションですが、今シーズン、この2色ないしは1トーン等ストロークの強いコーディネイトが素敵でしたね。プロポーションやシルエットでコンテンポラリーなムードを出しながらも、真っ白な雪に映えるようなパッキリとしたコーディネイトが、強く優しいまた新しいアミの男らしさを演出しているように思えましたね。。。



 ランウェイを歩いたモデル君達はそれぞれ所定の場所に納まり、リラックスしたムードで雪景色を彩って行きます。最後に全員登場したら、止んだ筈の雪がまた降り出すというドラマティックな演出。。。。。


 もう、骨抜きにされましたよ。。。。。



 このコレクションの直後に来日されたアレクサンドル・マテュッシ氏と2ショットさせて頂いた写真がこちら。。。BEMAMSやRon Haman、DOVER STREET MARKET GINZA等アミのコレクションを扱うセレクトショップでインストアイベントを行い、直接ファンの方々とコミュニケーションしていて、実にフレンドリーで素敵でしたね。。。




 AMIとはアレクサンドル・マテュッシのイニシャルに1文字プラスして作った言葉ですが、フランス語で友達の意味でもあります。私は2013 SSからこのメゾンを見せてもらっていますが、まさに友達ありきのようなフレンドリーなムードにいつもホッさせられますね。モデルを始め、彼の周囲の才能溢れる沢山の『友達』に支えられ、少しずつ成長を遂げて来たこのメゾンに、今求められているファッションの在り方を見せられるような気がします。



 実際に名だたるビッグメゾンの、半ばクレイジーなアーティスト達と仕事をして来た彼。着る人の立場に立ち、その人の魅力を最大限に引き出すこのブランドのスタイルはその経験に基づくように思えます。誰もがまず自分の人生を謳歌する。服はそれ寄添うのが最大の条件。行動を妨げるようなエキセントリックなデザインや、着る人の個性に嘘を付くようなクレイジーなスタイルは、全く持って彼が臨む物ではないし、リアルクローズがトレンドとなった今、このメゾンと彼のクリエイションが評価されるのは当然の事かもしれません。




 極めて『普通』の服です。。。。。でも、ものすごく『特別』な普通。。。。。端正なジャケットは実際に袖を通すと、フレンドリーなアティチュードからは想像出来ない程、ラグジュアリーですし、ソフトなコートは身体を包み込んでくれるような優しさを感じます。。。。



 そして、何よりもちゃんと、男らしい服です。。。。。。



 また少し、趣の違う表情を見せる2014-15 FWのアミ アレクサンドル マテュッシのコレクションで、雪景色にも映える男前な装いを楽しんでみてはいかがですか???

 






 Ami Alexandre Mattiussi 2014 SSのPARISのリポートはこちら からどうぞ。


 Ami Alexandre Mattiussi 2014 SSの東京でのプレゼンテーションのリポートはこちらからどうぞ。

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