CHANEL 2014 SS !!! | ダイコ★ブログ

CHANEL 2014 SS !!!



 続いてはCHANEL(シャネル)のリポートへと参りましょう。毎回、パリコレスケジュールの中で一番の話題とも言えるメガショーを行うこの世界一のブランドですが、今回、会場のグランパレをなんとアートピースがインスタレーションされた、美しいギャラリーへと変貌させてしまいました。


 カール・ラガーフェルド作による様々なコンテンポラリーアートが飾られた今回、元々グランパレは展覧会や博覧会を行うスペースとして親しまれている事もあり、シャネルのアイコンでもある、カメリアやCCマーク、パフュームのNo5をモチーフにした楽しい作品が所狭しと会場を埋め尽くします。


 約75点にものぼる圧巻のヴェルニサージュ(Vernissage、絵画などの個展開催の初日に行われるオープニング・パーティー。ヴェルニは絵画の行程の最後に塗るニスを意味し、同時に完成を意味します。)には、シャネルのアイコンでもあるヴァネッサ パラディ、歌手のリタ オラ、ケイティ ペリー、女優の福島リラ等世界中の著名人を招き、実に華やかなアートとファッションのインスタレーションの幕が開きます。



 その素晴らしい空間で発表される今回のシャネルは、まさにカール ラガーフェルドの考えるアートとファッションの融合です。ランウェイを歩くモデル達はショートボブのウィッグに、フォービズム絵画のような鮮やかなカラーと、アーティストの内面にある、確固とした意志を反映させるかのような、強いブラックのアイラインを施し、とても魅力的です。


 飾られている沢山のアート作品が示すように、歴史的なこのメゾンのアイコン達は、フレッシュでコンテンポラリーに表現されます。まずシグネチャーとも言えるラグジュアリーなツイードは、シフォンのリボン、オーガンザ、レース、はたまたプラスティック素材等と編み込まれ実に軽やかです。また擦り切れ加工や切り裂き加工を施した素材等も織り込まれ、羽根のような軽やかなマテリアルとして変貌します。


 シャネルの象徴的なカラー、ブラック、ホワイト、ネイビーを中心に鮮やかなピンク、イエロー、グリーン等のネオンカラーや美しいパステル、コレクション後半に登場するビビットなネオンカラーは、自由奔放に絵の具のチューブから取り出された、アーティストのカラーパレットのように独創的で大らかです。


 シルエットは若くコンテポラリーなムードを強調するかのように、ストレートなラインが注目です。マテリアルの質感や美しいブレード、パールのエンブロイダリー等の魅力を最大限に発揮するキャンバスのように、スクエアなシルエットはアーティスティックにボディを作り上げます。直線的なディテールは3つ、4つまたは5つのパーツから構成される新しいスーツのコードを作り出し、セットアップに見えて実はワンピースだったり、またその逆だったりと、トロンプルイユの効果もあるオリジナリテイーに溢れてた作品が楽しかったですね。



 では、作品を見て行きましょう。ファートスルックに登場するのはなんともフレッシュな印象のスーツ スタイルのルックです。実に肌触りの良さそうなサックリしたグレーのツイードで仕立てられたのは、ストレートシルエットのノースリーブのジャケットとAラインのミニスカートです。一見グレーに見えますが沢山のカラーの糸を微妙にメランジェさせ、奥行きのあるテクスチャーでしたよ。施されるブルーやピンクのブレードは実にアグレッシブで、手仕事で大らかに施されているのもアーティスティックですね。


 アーティスト達の気取らないスタイルを表現するように、絵の具や絵筆が入るような、ストリート感覚でデザインされたデイバックを抱え、現代のアーティスト達には必要不可欠なi-phoneやデジタルカメラを常に携帯出来る、小さなポシェットも魅力的です。


 はい!これがシャネルが提案する、新しいアーティスト達のスタイルです。エフォートレスなスタイルでも実に洗練されています。緻密に計算されてスタイリッシュなのに、着る人の意志や行動を妨げず、実に快適。。。。これから始まる迫力のコレクションのスタートとして期待が高まりますね。




 やはりこのメゾンを象徴する一つとして無くてはならないパールのモチーフも、実にコンテンポラリーな解釈でルックを飾ります。こちらの一見スーツに見えるドレスはホワイトにシルバーのラメ糸を編み込んだツイードに襟やポケット、ショルダーのアームホールのデコレーションにボタン、内側のスカートにと、アクセサリーのような感覚でたっぷりとパールのエンブロイダリーが施されます。


 さらに今回登場して早速話題になった、エクストララージサイズのパールのネックレスや、沢山のルックに登場していた、絵画を描く時にも邪魔にならないような、指先のないグローブにもパールが施され実に華やかです。



 今回、私的に大注目なのが鮮やかなピンクのパレットです。 ベージュピンクからサーモン、コーラルと様々なトーンでウエアを飾り春の気分を感じさせてくれましたね。特に私的には、ビビッドなネオンカラーのフューシャピンク!!!ツイードに織り込まれたり、ホワイトとメランジェしてチェックのパターンになったり、フレッシュで爽やかな印象でしたね。


 こちらのジャケットではHaute Coutureメゾンならではの、実に手の込んだ仕事を伺う事が出来ます。まるでニットのカーディガンのようにゆったりしたムードのジャケットですが、ツイードと細く切り裂き加工を施したピンクのシフォンを編み込み、独特のテクスチャーを生み出しています。加工を施したシフォンもトーンを変えたり、幅を変えたりと複雑にバリエーションを加え、さらにコードまで飾り、実にリュスクなムードが漂いますね。


 いつも大人気のバッグは遊び心をプラスするアイテムとして、今回ポップでユニークです。こちらはPVCを使ったキュービックなデザインのショルダーで、大胆に用いられたCCマークと、レッドとフューシャのコンビネーションが実にユニークでしたね。



 今回、スタイリングにポップさとストリートのムードをプラスしているのが、斬新なこちらのシューズ。ソックスと繋がったデザインで、個人的にはトウとヒールの部分がバイカラーになったこちらのバージョンがオススメですが、オールブラック、オールホワイトのアイテムもありましたよ。


 今迄もレザーのサイハイブーツや、レース使いのアイテム等、タイツとシューズがコンバータしたアイテムは登場していましたが、ついにはこんな可愛らしいソックスまで!!!


 このアイテム実にチャーミングで、ラグジュアリーなツイードのスーツ等に合わせると、一気に若く、フレッシュな印象になります。即完売の予感大ですねぇ~!!! 


 
 こちらも大注目のフューシャピンクのツイードを用いたルックです。太さの違う糸を編み込み、織り模様で描き出したチェックのパターンはコンテンポラリーな印象で素敵です。ヘムや袖口には同じ糸でブレードを施し、フラットな印象に仕上げているのも素敵ですね。


 ベアのドレスにボレロ丈のジャケットを肩から羽織っているようなデザインですが、こちらジャケットにはちゃんとボタンホールも付いていて、ドレスに付いたボタンを通す事で、安定感もバッチリです。

 
 ジャケットを肩から羽織るスタイルはパリでは実にオシャレなスタイリングで、沢山のファショニスタ達に愛されている着こなしですが、羽織ってるだけだと行動が妨げられたり、風で煽られたりして以外と不便なんですが、これならもう大丈夫ですね!!!


 ジャケットはバックスタイルが長くなっているので、ケープのよう楽しめますし、ジャケットとして単体でも楽しめるという、着る人のコーディネイトの幅を広げてくれる優秀なアイテムですね。



 こちらのジャケットもショート丈のジャケットとベルトのコーディネイトに見えますがバックは一体型になったいて、間からチラリと覗かせる肌の分量迄計算された素敵なアイテムです。


 フューシャピンクとネイビーの様々な種類の糸で編み上げ、ヘムには切り裂き加工を施します。トップスの部分とベルト風の部分でボタンのゲージを変えているところもオシャレで、楽しいアイテムですね。


 もちろん、ルックのように肌見せしても素敵ですが、お腹周りに自信のない方は敢えて全く違うビビットなカラーをチラリと覗かせて、個性的なスタイリングを楽しんでみてはいかがでしょうか?



 女子の憧れ!いつかは手に入れたい!ブラック&ホワイトのツイードを使った、ドレスやスーツも今回とても豊作です。やはりシフト型のドレスや、いくつかのアイテムをコンバータした、スーツに見えるドレス等に解釈されコンパクトでフレッシュな印象です。アシンメトリーな襟のデザインや、バイカラーの切り替え等でリズムを付けたドレス等、随所に遊び心が感じられましたね


 こちらは美しいく編み上げたブラック&ホワイトのパターンの上に、さらにカメリアのモチーフを刺繍したマテリアルが使われています。一見程よいボリュームのシフトドレスに見えますが、先にピンクのルックで登場した、前見身頃が小さく、後ろが長いジャケットと、ドレスのセットアップになっているところも楽しいですね。


 バッグも大注目のシャネルのコレクションですが、個人的にはこちらのデイパック風のストリートテイスト溢れるタイプが注目ですね。油絵のようなタッチで描かれたCCマークや、マトラッセのパターンが実に個性的で、無造作に飾られた、カラフルなコードやネームタグ、CCマークのチャームなどが可愛らしく、サイズやカラーもいくつかあり、大人気になる事間違いないですね。

 
 美術学生が持つような、デッサン等を入れるポートフォリオやフラットなトートバッグ、ショルダータイプでもパルテルが整然と並ぶように、大きめのストーンがエンブロイダリーされたアイテムや、ドレスにも使用されている、カラーパレットのようなマルチカラーのプリントが用いられた物等、アーティスト気分で、次のSSのコーディネイトに取入れてみてはいかがでしょうか?



 まるでアーティストのデッサンのようなこんな素敵なテクニックを使ったルックも登場しましたよ。スクエアなカラーやポケット、ウエストのマーチンゲールを直線的にデザインし、そのシャープなシームに、まるでドローイングしたかのような大らかなグラデーションを効かせます。


 こちらはホワイトにグレーでドローイングしているバージョンですが、グレーのベースにホワイトでドローイングしたバージョンや、様々なグレーのトーンも実に楽しかったですね。スクエアなカラーやシャツカラー、前だけのエプロンのようなジャケットやパンツ等どれもシャープなデザインに生かされ、後期印象派のポールセザンヌのタッチのようでもあり、キュビズム的でもあり、実にオリジナリティー溢れるテクニックでしたね。



 現代の女性にとって、ニットはワードローブには不可欠なマテリアルで、一日のうちで下着からタイツ等を含めるとニットを着ない日はないくらい、今や生活に浸透したアイテムです。そんな快適な着心地を提案してくれるこの素材のアイテムでも、シャネルは沢山の充実した作品を見せてくれていますよ。


 こちらのショート丈のニットは、美しいベージュピンクの繊細なニットに、前衛的なホワイトのアップリケを施し、アクセサリーのようにビジューのフリンジを飾った、実に洗練されたアイテムです。スカートはオーガンザを使用し、ウエストからミドルヒップをシースルーにするという、技アリのアイテムで、ドレス気分の少しフォーマルなコーディネイトが楽しめますね。


 ツイードのような複雑なテクニックで施したニットや、ラメを編み込みヌーディーで繊細なドレスのようなニット。カラフルなニットをウエストやネックに巻いて楽しむコーディネイトの提案等、取入れ易いのにちゃんとオシャレと、優れもののアイテムが揃っていましたよ。




 シルバーのボタンと、部分的に編み方を変えて縦長のラインを強調したホワイトのニットのドレスにコーディネイトされたのは、スタンドカラーが印象的なノースリーブのロングジレです。


 マテリアルはボーダー状に仕立てられていますが、こちらなんと!パステルカラーのシフォンの布端を細かく解いてフリンジを作り、それを重ねて美しいテクスチャーを作り出しています。シルクのフリンジは羽根のような軽やかさで、チラリと見える襟の裏側や、アームホールの部分にピンクのオーガンザを使っているのも実に細かい仕事ですね。


 同じマテリアルの少し大きめのサッチェルバッグをワイルドにコーディネイトして、オールホワイトのルックに繊細にカラーを取入れ、実に可愛らしいスタイリングですね。



 まるでHaute Coutureの作品のようなこちらは、切り裂き加工した繊細なシフォンを鱗のように張り合わせ、その中にはプラスティック素材も取入れて、キュビズムのジョルジジュ・ブラックの作品のような、ジオメトリックなテクスチャーを表現したルックです。


 注目のデイパックタイプのバッグも同じマテリアルでコーディネイトして、実にオシャレですね。こちらのようなシフォンのフリンジとプラスティック素材を使ったアイテムは、他にホワイトやフューシャピンクのバージョン、イエローを使ったネオンカラーのバージョン等あり、暑い夏に涼やかな顔でファーを着ているようにも見える、素敵なアイテムになっていましたよ。



 コレクション後半はまさにアーティスト達のカラーパレットから取り出したような、ダイナミックなネオンカラーのプリントがランウェイを飾ります。筆のタッチを残すようにグラデーションで描かれた一つ一つのパーツはさらにボーダー状にグラデーションを描き、実に華やかです。


 この複雑なプリントにはさらに複雑なテクニックが施されます。キュービック状のプリーツを寄せたりレースとコーディネイトしたり、ギャザーや流れるようなゴージャスなドレープ等様々なテクニックで登場します。


 またキャッチーな沢山のブレスレットを重ね着けしたり、小さなポシェットタイプのバッグを幾つもつけたり、こちらのような個性的なアイウエア等も登場して、とても楽しいスタイリングになっていましたよ。



 このマテリアルのデザインには、片側のショルダーを見せたアシンメトリーなものから、シャツのディテールを取入れたカラーが印象的なシンメトリーなものまで多種多様。スカートもタイトからセミフレア、長くても軽やかに裾が踊る膝下丈までと、アクティブで動きのあるデザインが用いられます。


 こちらはラストルックになるドレスです。フリルのブラウスのデザインが用いられ、裾は織り返り、肩に繋がりケープになります。風を孕み丸く膨らみ、実にアーティスティックなフォルムを描きます。まさに上質な素材だからこそ出来る最高のテクニックと、カール ラガーフェルドの溢れ出す才能を感じる事が出来る、カラフルで元気なコレクションでしたね。



 春の息吹を感じさせるフレッシュで軽やかなコレクションは、まだ寒さも本番を迎えていない10月始めのパリに、早くも次のシーズンを待ち遠しくさせてしまう程魅力でした。最高級のマテリアルはさらに手の込んだテクニックが施され、新しいコンテポラリーアートに生まれ変わります。Haute Coutureでも着れられるクチュールというコンセプトを大切に、常に着る女性達の立場に立って作品作りをしてきたこのメゾンに取って、次のシーズンはさらに自由奔放で、アクティブな女性達が主役のようです。


 ファッションの歴史は女性の歴史です。かつての男性目線で考えられた、着心地の悪い身体を絞め付けるスタイルから、女性自身が快適と感じるような、世界で最初のリアルクローズを発表したのがマドモアゼル シャネルであるのであれば、よりワールドワイドに自由に活動し、女性である事を楽しみ、古い習慣や常識の枠さえも軽々と越えてしまう程の、未来のシャネル ウーマン達のワードローブを今回見事に見せてくれたのが、カール ラガーフェルドなのではないでしょうか。。。



 約90点にも及ぶ圧巻のコレクションは、とかくイージーになって行く昨今のファッションのスタイルに対して、もう一度、ファッションはアートである事、只の道具ではなく、自らのスピリットを自由に解放し、ワクワクとした人生を送る為の最高のパートナーだという事を証明してくれているようで、実に美しく、気持の良いシャネルのコレクションでした。



 CHANEL 2013-14 FW PARIS Prêt-à-Porter COLLECTIONのリポートはこちらからどうぞ。


 CHANEL2013-14 FW Houte Couture COLECTIONのリポートはこちらからどうぞ。


 CHANEL 2012-13 Métiers d'Art Collectionの東京でのプレゼンテーションのリポートはこちらからどうぞ。


 2013 FW CHANEL FINE JEWELRY Haute Coutureの模様はこちらからどうぞ。


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