sacai 2014 SS !!! | ダイコ★ブログ

sacai 2014 SS !!!

 



 では、続いては今一番元気なMade In Japanのブランド、sacai(サカイ)のコレクションリポートと参りましょうね。



 Prêt-à-Porteが始まって1週間目のこの日、連日のハードスケジュールに段々と疲れも溜まって来る頃でございます。会場で会うジャーナリストの皆様とそろそろ『何処がベストコレクションでしたか?』なんて話も出て来る頃ですね。

 

 午前中に開催されるサカイのコレクションの会場はシャイヨー宮にあるThéâtre National de Chaillot。すぐ側にエッフェル塔があり、オリーブの少女の私にとって、ここは実に特別な場所です。この日も張り切って少し早めに出て、お決まりのエッフェル塔に向かって左手にある植え込みに腰掛けて、鉄の貴婦人とのコーヒーブレイクでスタートしましたよ。



 私が最初にサカイのプレゼンテーションにお邪魔させてもらったのは、二年半前の2011-12 FWのシーズンのパリコレでした。小さな会場でのミニショーでしたが、違素材の組み合わせや、手の込んだニット、独特のファー使い等、現在のクリエイションにも通じる素晴らしい作品を見せてくれました。その時、会場のデコレーションに使われていたような長いフリンジを、今回会場に設営し、いくつもサークルが重なったようなライウェイが設営されいます。


 これは全ての角度から作品を見て欲しいというこのブランドの想いが表現されていて、真っすぐに歩いてターンして戻るという普通のショーのウォーキングではなく、モデル達がそれぞれのポイントで円を描くように全ての角度をゲスト達に披露し、よりクリエイションを理解する事が出来る嬉しい演出です。もちろんシャッターチャンスも増えて嬉しい限りですね。


 
 「日常の上に成り立つデザイン」をブランドコンセプトに、常にブレないクリエイションを見せてくれるサカイですが、デザイナーの阿部千登勢さんはカーティガン、シャツ、MA- 1ジャケットなどエターナルで誰もが馴染みのあるアイテムを、さらに新しい解釈で作品に落とし込みます。


 まず、目を引くのはカラフルなカラー。こちらのファーストルックに見られるような、鮮やかなビタミンカラーが印象的です。レッド、オレンジ、フューシャ、 グリーン。水々しいミネラルカラーには、様々なスポーツテイストのデザインが施されます。『え?トレンドだからでしょ?』なんて斜めに見ちゃってる、そこの貴女!!!そこはこのブランドのやる事、実に手の込んだハイブリッドな解釈で表現されますので、ご安心を。。。


 スポーティーなメッシュに見える素材は、スクエアな刺繍のマテリアルで、さらにそこに複雑な手仕事が施されたり、ベーシックなプリンス オブ ウェールズにパンチングを施した素材は全く違う新たな表情を作り出します。ナイロンような光沢に見えるドレスはサテンで表現したり、羽根のように見えるディテールは コットンのマテリアルを細かくカッティングする事でテクスチャーを表現したりと、全てにおいて想定外の素材使いは今回も冴えていますね。


 こちらのルックは、スクエアなレース刺繍にエナメルやタフタを手で編み込み、独特のテクスチャーを作り出した個性的なマテリアルで、スカートはあえて肌を透けさせて、軽さを取入れます。フレアースカートの上にオーバーシルエットのプルオーバーを着ているように見えますが、そこはこのブランド得意のトランスフォームのテクニックで、こちらはオールインワンでございます。


 バックにはフラットなタフタをボリューミーに使い、フロントとバックで違う表情を見せてくれる素敵なルックです。




 エターナルなMA-1のデザインも常に登場するサカイでは人気のアイテムですが、今回は高密度のタフタが用いられフェミニンな印象ですね。襟元にたっぷりとギャザーを施したフロントに、フラップをデフォルメしたポケット、ショート丈のヘム、インナーにオーガンジーのブラウスを重ねたようなディテールが取入れられます。


 ケープのようにゆったりと膨らんだショルダーは、後ろ身頃をパラレルにカッティングし、そこに違素材をはめ込む事で発生させる個性的なボリュームで、いろんなアイテムにこのデザインは取入れられて注目でしたね。


 背中に発生するオリジナリティー溢れるボリュームは、風を孕むと美しいフォルムを描き、こちらのようなタイトなボトムや縦長のシルエットのパンツ等とコーディネイトされ、緩急のコントラストを描いて素敵でしたね。




 はい、アクセサリーも今回素敵でしたよ。メタルのパーツにそれを止めるリベットが力強い印象を感じさせる、アーティスティックなブレスレットやチョーカーなど、コレクションでも登場して可愛かったですね。

 
 そして私的大注目なのが、ホイッスルのネックレス。ロングチェーンでペンダントタイプの物や、幾重にもチェーンを重ねて首に沿うネックレスのように楽しむアイテム等可愛らしく、ゴールドやクロームのカラーもオシャレですね~。


 可愛くて、クラブやライブでも大活躍しそうなアイテムで、出来れば年末年始のイベント前に、今すぐ欲しいですね。。。。そしてすぐにでも吹いて鳴らしたいです。。。




 鮮やかなフューシャピンクのアイテムも登場して実に華やかでしたね。クリアーに取入れていますが、こちらHaute Coutureのドレスに使用するような打ち込みの強いシルクを使い、独特のラグジュアリーな張り感が印象的です。


 フロントにパラレル状に切り替え、そこにはめ込んだのは、まるで内側に着ているシャツをイメージさせるディテールです。シャツ生地にボンディングを施して張りを出し、そこにパンチングを加え、ハイブリッドなテクスチャーを作り出します。


 タキシードシャツのようなプリーツのビブのデザインや、インナーに着ているような小さなカラーやヘムのディテールも取り入れ、オリジナリティー溢れる可愛らしいルックですね。



 こちらも同じようにボンディングとパンチングを施したシャツのマテリアルを使ったドレスで、ビッグシルエットのシャツを羽織ったようなデザインが特徴的です。


 ブルーとホワイトのストライプのマテリアルを細くカットし、たっぷりと身頃に飾る事で羽根のような美しい効果を生み出します。袖口やヘムにパイピングを施し、スポーツテイストも感じられ可愛いですね。


 しかも以前2ショットさせて頂いたハンナ嬢が着てらっしゃるし。。。。



 ニットを独特のセンスで再解釈するテクニックもサカイでは大人気で、退屈でお洒落になりにくいこのアイテムを、毎シーズン素敵なアイテムに落とし込んで楽しみな方も多いのではないでしょうか。


 グレーのベーシックなニットはまるで前身頃だけ剥ぎ取ったように取り出されます。裾や襟ぐりのリブもそのまま生かしたように、緻密な減らし目で再現され、肩にはタフタの同じカラーのデコレーションが施されます。


 インナーとバックにはシフォンをたっぷりと使って、軽やかなボリュームを楽しみ、裾のストライプの切り替えがなんとも爽やかで、ドレスの上にニットを重ねたように見える欲張りなルックですね。


 ボトムにパイピングが施されたジョギングパンツ風のミニスカートをコーディネイトし、あえてポケットに手を入れて、スカートの部分にバルーンのシルエットを作り出すコーディネイトが、これまた斬新ですね。このテクニック、他のルックにもいくつか登場して、すぐにでも真似したい素敵なテクニックでしたね。



 こちらも今回ヒューチャーされているシャツというテーマを、より発展させたデザインのルックですね。シャツの上にジャケットを羽織り、肩と袖山、ウエスト部分だけ切り出したような大胆なカッティングが施され、お得意のトロンプルユのディテールが印象的です。


 肩から袖に続く少しダークなカラーの部分にはプリンス オブ ウェールズにパンチングを施したマテリアルで、身頃にはニュアンスのあるピンクのコットンが使用されます。さりげなくディテールの残した後ろ襟やベルト、シャツのヘムにパイピングを施す事でスポーツテイストも取り入れてしまう感覚も見事ですね。


 また、トラディショナルなイギリス的な紳士のコーディネイトとして着用する、シャツと同じカラーのアンダーウエアーをイメージさせる、ストライプのスカートをコーディネイトする辺り、ほんと芸が細かくてクラクラしますねぇ、、、



 やはりこちらも、皆さん馴染みのあるアーガイルのニットですが、実にユニークに解釈されていましたよ。ラミネート加工され新しい質感のニットは、二枚重ねたようにように見えるデザインが施されます。インナーから覗くようにデザインされた高密度のタフタを使ったシャツのヘムと、フリルの襟のディテールがチャーミングで、ピエロのコスチュームをイメージさせ可愛らしいですね。


 他にピンクベースのアーガイルのカーディガンを2枚重ねたようなディテールのルックもあり、そちらも可愛らしかったですね。


 こちらの、私が大好きなサーシャ嬢を始め、今回、トップクラスのモデルが勢揃いしたサカイのコレクション。。。こういう所からも盛り上がっているのが感じられて、嬉しくなりますね。。。勝手に親戚のおっさんの気分ですが。。。。



 コレクション後半はシックなネイビーやグレー、ブラックを中心とした作品が登場します。カラーをコントロールする事で、手間をかけた複雑なテクニックが感じられるルックが並びます。


 こちらはスタジアムジャンパーのスリーブを落とし、バックにはたっぷりとボリュームを施し、ランタンのような斬新なシルエットを作り出したドレスです。センターの胸元はトランスペアレントで切り替え、細かいタックから繋がるフリルのディテールを取り入れ、内側の透け感まで楽しむ個性的なルックになっています。


 はみ出したランジェリーのように見せる裾の繊細なフレアースカートも印象的で、大人可愛いエレガントなルックですね。




 先に登場したシャツ生地を細かくカッティングして羽根のような効果を出したデザインは、メンズのジャケットの裏地をイメージさせるようなストライプ素材のバージョンも解釈され、また違う素敵な魅力を見せてくれます。


 ネイビーの光沢のある素材を使ったマウンテンパーカーは、オーバーシルエットとポケットの袋布が覗く程、短くカットされたヘムが印象的です。ヘムから丁度覗くようにセッティングされた羽根のようなデコレーションは、じつはライナーになっていて、それ単体とコーディネイトしても良いし、こちらのようにインナーに合わせてレイヤーを楽しむ事も出来る優れものです。


 ブラックのタキシードジャケットにコーディネイトしたアイテムなんかも素敵で、アイディア次第でスタイリングの幅が広がる楽しいアイテムでしたね。



 ブラックやネイビーとコーディネイトされ、フェミニンなムードを漂わせるボタニカルなフラワープリントも素敵でしたね。2014 SSはトレンドの中心になりそうなフラワーモチーフですが、ハイブリッドなディテールを取入れ、上品なイブニングスタイルとして提案されているのが素敵でしたね。


 たっぷりとボリュームを取ったシースルーのフラワープリントはフルレングスのスカートになって実に華やかです。フロントに施されたのは張りと光沢のあるブラックのシルクを用い、スウェットシャツをイメージさせるデザインで、裾と肩のリブがなんともスポーティーですね。フリルの小さなカラーも女らしさをプラスして、フロントとバックスタイルでまるで違う表情を見せるドラマティックなドレスです。


 他に透けない素材にプリントされ、スカートにあしらったカクテルドレスや、ニットに複雑に差し込み、たっぷりとしたフレアーを出したアイテム等、エレガントなスタイルで登場していましたよ。
 



 ハイブリッドでコンテンポラリーな中にも、女子が喜ぶキラキラのディテールも見られて素敵でしたね。グラデーションになった金と銀の糸のステッチに、フラットなスパンコールを飾った、将校等が着用するミリタリージャケットのデコレーションのようなディテールが印象的でしたね。


 こちらはスリーブにはサークルのスパンコール、襟には楕円形のモチーフとフォルムを変えて、輝きにコントラストを付ける細かいテクニックが絶妙で、バックは華やかにデコレーションが施されていましたね。。。。このテクニックは小さなトップスやドレスに登場し、オールホワイトのロマンティックなバージョンも可愛かったですね。


 


 さて、余談ですが、今回フィナーレにはKylie Minogueの『Can´t get you out of my head』が使用されていました。有名な♪ナナナ~ナナナナ♪っていうあの曲ですが、コレクションのイノセントなムードと打って変わって、ノリノリのナンバーで印象的でした。これはコレクションを見た後、ゲスト達にハッピーな気分で帰ってもらいたいというこのブランドのホスピタリティーの現れで、この甘美な違和感は作品の中でも、違素材の組み合わせ等で常に追求されているテーマだそうです。



 思わず、口ずさみそうになるモデルちゃんが居たり、アンナ・デッロ・ルッソ女史はもうノリノリで、インタビューに対してもしきりに『カイリー!!!』とシャウトしてらっしゃいました。。。。



 今や世界中が注目する人気のブランドになったサカイですが、そのファッションに対するひたむきな姿勢はなんら変化する事はありません。独自の信念を貫き、実際に可愛いや楽しいと、日常の中で感じる事をデザインに反映させ、作品に昇華させるスタイルはデビュー以来変わる事無く、変化の激しい昨今のファッションの世界で独自のスタンスを築いて来ました。


 私がこのブランドの一番好きな所はちゃんとデザインをしようとしている姿勢です。同じネタを繰り返し、カラーバリエーションでルックの数を稼ごうとするブランドが多い中、しっかりと一点一点を大切にし、ディテールまで拘った作品には、デザインに携わる人間として頭が下がる想いですね。


 ハイブリッドでチャーミングなサカイの新作。しっかりディテールまでチェックして、拘りも感じて、貴女に似合うとびきりのアイテムと出会ってみて下さい。。。。来年の夏は軽やかに、カラフルに過ごしたくなるような、サカイのコレクションでした。






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