KENZO 2014 SS !!! | ダイコ★ブログ

KENZO 2014 SS !!!



 はい、、、しばらく放置してましたね。ごめんなさいね。クリスマスケーキとお正月の餅代を稼ぐのに馬車馬のように働いていました。中年の私には連日の撮影ラッシュのハードスケジュールはこたえるものです。。。少し落ち着きましたのでまたボチボチ更新して行こうと思います。


 肌寒くなった東京では、今、御紹介している2014 SSシーズンの展示会が始まっており、東京でも見る事が出来ますが、現地で発表された当時の模様を紙媒体なみの遅さでUPして参りますね。


 この日はまずKENZO(ケンゾー)のコレクションからリポートして参りましょうね。



 会場は最近お気に入りのサン・ドニエリア。パリ市内から遠距離電車で1,2駅北に登った場所で、決して安全ではないエリア。ひったりくりやレイプも珍しくはない場所、且つ遠方、朝一というヘレン・ケラーのような三重苦の状況に軽く負けてしまいそうになります。


 やはりパリ市内には大きな会場もなく、お決まりの場所は既に先約がありますし、自由なプレゼンテーションを行いにくいもの。新しい感覚のプレゼンテーションを行いたいフレッシュな感覚のこのブランドにとっては、郊外でもそちらのほうが重要なようです。


 今回はこちらの映画学校のエントランスを使ってのプレゼンテーションです。負けないように今回用意したスタイルの中でも一番のお気に意入りで参上しました。引き続きトロンプルイユ熱にうなされておりまして、ブラックのラメのストライプをベースに、ウエスト部分をファンシーツイードで切り替えたバージョンです。2種類の素材しか使わないでシック、且つコンテンポラリーなイメージで、クラッチももちろんファンシーツイードです。


 ジャケット、パンツ、クラッチ/今回の為に制作。インナーのカットソー/American Apparel、シューズ/VANS、サングラス/3.1 Phillip Lim。


 にしても、荒涼とした川崎の工場地帯みたいな場所に、朝一から集まる華やかなファショニシタ達。。。。ほんとパリコレって不思議。。。。




 ケンゾーは今回、この広大な会場を使い、ダイナミックなコレクションを見せてくれました。ランウェイの中央に置かれたのは大量の水を張った器。これにはコードが引かれ何が始まるのか楽しみなセッティングです。話題のコレクションという事もあり、世界中の若いアグレッシブなゲスト達が席に着くと、音楽と供にライトが付いて電機子掛けの器は噴水となり楽しい演出が始まります。


 そうこうしていると奥のステージには天井から大量の水が流れ、一時だけの滝を作り出し、新作を着たモデル達がその向こうにズラリと並びコレクションがスタートします。いやぁ、ここじゃないとこんなダイナミックな演出は出来ませんよねぇ。。。


 そんな水を使った楽しい演出の今回のケンゾーのテーマは、クリエイティブ ディクターのウンベルトとキャロルが育ったカリフォルニアの海です。常に彼らの思い出の背景に登場する、ライフスタイルの一部でもある海は、いつも優しく大きく様々な表情を見せ、彼らのクリエイティブな感性を刺激して来ました。その雄大な自然の美にエッジィさをプラスするのは、L.A.のアンダーグラウンドカルチャーのテイストです。カリフィルニア・パンクに代表されるアーティスト達や不敬、伝統打破主義者や急進論者達も大切な要素となり、コレクションに遊び心をプラスします。


 大人気のグラフィカルなプリントは移ろい行く海の情景が描かれます。常に変化を見せるその水面は、ハンドペイントをベースをコンテンポラリーにデジザル処理が施されます。プリントはステッテによるエンブロイダリーになったり、パンチングやスパンコールなどのディテールも取入れられ、斬新なスタイルの中にも、このメンゾのしっかりしとしたパリのクチュール的テクニックを彷彿させます。


 では、作品を見て行きましょうね。ファーストルックに登場するのはモノトーンのパンツスーツです。コンパンクトなベアトップとボリューミーなシルエットのクロップドパンツのセットアップで、ネガティブになりがちなこのカラーのルックを自由で新しい感覚のウンベルトとキャロルらしく軽快に表現します。

 
 トップスにはリボンのようにホワイトのテープを通し、ボトムには遊び心たっぷりにゴムプリントがバイカラーで施されます。リゾートとシティのフュージョンを感じさせる、開放的なルックからショーはスタートします。



 先に登場したクロップドパンツの逆バージョンにコーディネイトされたのは、短めの丈のプルオーバーです。トレンドのスウェットシャツのデザインを取り入れてますが、注目なのはヘムに施されたカーブするディテール。これはドロップする水の雫をメージしていて沢山のウエアに登場したテクニックです。もちろん会場の水を使ったインスタレーションともリンクしていましたよ。



 モノトーンのルックは続きますよ。2014 SS メンズコレクションにも登場した葛飾北斎の名作、富岳三十六景の中の『神奈川沖浪裏』をイメージさせる荒波のプリントはレディスバージョンでお目見えしていました。スリーブとボディにボリュームを持たせたリラックスなシャツには、ドロップのカッティングのヘムのディテールを取り入れ、ネックにはコイル状のネックレスを飾ります。

 
 ボトムスはさらに抽象的に解釈された波のモチーフが登場し、なんとスパンコールにプリントしたマテリアルで、ウエスト部分にホールを施したホルターネックのドレスです。実は脱ぐとかなりセクシーで本気です。


 ヒラヒラとブリムが揺れるハット、クラッチバッグ、シューズやネイルまでバイカラーにして、オール1モチーフとかなり強烈になりがちなスタイリングですが、絶妙な匙加減で肩の力を抜いた素敵なルックですね。




 波のパターンと並んで今回注目のモチーフがこちらのお魚のパターンです。しかもツナ=マグロです。どうしても日本人的にはあまりの馴染みの深さに、シーチキンとかをイメージしてしまいますが、このモチーフにはとても大切な意味があります。


 今回、ケンゾーは海洋保護団体BLUE MARINE FOUNDATION(ブルーマリン財団)とパートナーシップを結ぶ事を発表しました。海洋生物の乱獲や汚染の軽減に取り組む彼らの活動に強いリスペクトを持ったこのブランドは、コレクションの中にもその活動の重要性を啓蒙するウエアとしてこのモチーフの作品に登場させます。クロマグロを始めとする様々な海の生物は、現在、乱獲による絶滅の危機に直面しています。


 人気メゾンのクリエイターでもあるウンベルトとキャロルはファッションの中で楽しみながらその重要性を唱えます。こちらのツナのモチーフはレースのように見えますが、ホワイトのオーガンジーにブラックの糸だけでエンブロイダリーを施し、カラフルなビーズや糸を包み込む事で、オーガンジーから透ける淡いカラーを表現してある、実に手の込んだ仕事のアイテムです。

 
 他に、ツナのモチーフにスパンコールでエンブロイダリーを施したスウェットシャツ
等、ラグジュアリーとコンテンポラリーがミックスした楽しいアイテムもありましたよ。



 はい、こちらもツナでございます。こちらのモチーフはゴムが使われ、ワッペンのような感じでしたね。リラックスなムードのライダースやクロップドパンツで登場し、ベースがホワイトのバージョンもありましたが、やはりセットアップで全身で着たいですね。


 この海洋保護を訴えるコレクションは他に『NO FISH. NO NOTHING』とグラフィティで描かれたTシャツとなって登場し、コレクションの最後にデザイナーの二人も着ていました。このTシャツは世界のケンゾーの直営店や、ケンゾーのオフィシャルウェブサイト、限定店舗にて2014年1月から発売されます。


 海洋保護の活動に興味のある方、楽しみながらオシャレにボランティアしてみたい方々は是非チェックして見て下さいね。
 



 今回、注目のデザインの一つとして登場したのがこちらの背中に大きく開いたスラッシュのデザインです。カリフォルニアの風を感じさせるデザインとして登場し、実際にランウェでは歩くと、風を孕んで楽しい動きを見せてくれていましたね。


 こちらのようにインナーのデザインと一体型になったドレスや、セパレーツでインナーとのレイヤーを楽しむアイテム、スラッシュにビスチェを通して、帯のようなコーディネイトを楽しむアイテム等、沢山登場して大注目でしたね。



 移ろい行く水面を表現したアクアプリントはさらに複雑にアレンジされ、コレクションを盛り上げます。ミントやイエローを使ったドローイングにブラックを重ね、しかもこの素材はコットンにレーザー加工でホールを作り出した、軽く涼しげなマテリアルです。前立てにはブラックでカーブしたラインを切り替えではめ込み、襟迄続いています。


 ミニスカートにも別のパターンのアクアプリントを用い、ブラックの切り替えはシャツ
の前立てとリンクして、スタイリッシュなルックですね。


 
 グラフィカルなパターンは様々なマテリアルにも施されますが、こちらは光沢のあるPVCのようなものにプリントしたもので、コットンのザラ付いたテクスチャーとはまた違う趣を感じさせ、ウェット感が水に濡れたようですね。

 
 ノースリーブでVの深いシャツと、スリットが入って裾が軽やかなスカートのセットアップですが、ちょっとしたパーティーにも行けそうですし、水着の上に羽織ってビーチウエアとしても楽しめそうなアイテムですね。



 コレクションラストに登場するのは、アクアプリントを夕暮れのような鮮やかなレッドに染め上げたルックです。流れるようなプリントは着ているとボディのシルエットを細く見せる効果もありましたね。


 羽織っているオーバーシルエットのライダースは、胸元にジップで『K』の文字のデコレーションが施されていて、これはこのブランドの新しいシグネチャーのバッグ、Kバッグともリンクしていました。


 このKはケンゾーのKでもあり、カリフォルニアのKでもあります(ほんとはCですけど、あえてケンゾーのKにかけてます)。



 こちら展示会で見付けた実にユニークなサングラスで、コレクションにも登場していましたよ。耳にかける部分が柔らかいシリコンのような素材で作られていて、その先に大きなトンボ玉のようなビジューが飾られています。かけるとイヤリングをしているような楽しい効果があり面白かったですよ。


 モデルちゃんのような小顔の可愛い子ちゃんがかけると、ちゃんとイヤリングみたいになりますから、ご安心を。。。。!!!



 今回、コンテンポラリーで遊び心溢れるスタイリングを完成させるのに必要不可欠なのが、こちらのジオメトリックなサンダルです。履いてしまうとアッパーとミドルストラップしか見えなくなってしまいますが、実はとてもユニークなデザインです。


 適度にスペースがあるので、履くと見かけ以上に快適で、メタルにホールを開けたヒールが素敵です。カリフォルニア近郊のモダンな現代建築のようなムードも漂う楽しいデザインですね。


 はい、ラストもオープニングと同じく巨大な滝のカーテンの後ろにモデルが勢揃いします。最近パリコレで流行のこのモデルちゃん達を勢揃いさせる演出ですが、やっぱり嬉しいですね。ウェブなどで見る事が出来るランウェイ画像とはまた違うアングルで撮影出来たり、撮影するとサラ・ムーンばりの手ぶれ画像が得意の私にとっては、安心してシャッターを押せますね。www



 

 独自のコンテンポラリーなスタイルを提案する現在のケンゾーに取って、歴史的建造物が立ち並ぶパリ市内を飛び出し、モダンな現代建築で独自のプレゼンテーションでショーを行う事は必要不可欠な事で、作品のフレッシュさを楽しむには実に効果的なようです。


 楽しい水を使ったインスタレーションの中登場したのは、ウンベルトとキャロルの人生の1ページにいつも登場するエターナルな海の景色。カリフォルニアの大自然やサブカルチャーまで、彼らの人となりを作って来た重要な要素は、今回コレクションとなってヒューチャーされます。


 リラックスしていて取入れ易いキャッチーさのあるクリエイションの中に、パリのメゾンとしてのクオリティの高さや、創立者の高田賢三の日本人的なきめ細かいディテール、そしてウンベルトとキャロルの自由でハッピーな感覚と、3つの都市を融合させたコレクションは実はワールドワイドな日々を生きる現代の私たちには、実にマッチしたスタイルなのかもしれません。


 何が良いって、とってもポジティブな所!!!きっと高田賢三氏がかつて最初にコレクションを発表した頃は、こんな元気でフレッシュな印象を受けたんじゃないかなぁと想像してしまいますね。また世界中のファショニスタ達を虜にしそうな爽やかで、次の夏が待ち遠しいケンゾーのコレクションでした。




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