TSUMORI CHISATO 2014 SS !!! | ダイコ★ブログ

TSUMORI CHISATO 2014 SS !!!



 はい、続いてはTSUMORI CHISATO(ツモリ チサト)のコレクションにお邪魔しましたのでそちらのお話をリポートしますね。東京でもかなり昔からいつもお世話になっていて、ギリギリスケジュールの駆け込みでも助けて頂いています。。。あざーっす!!!


 他とは一線を画するオリジナティー溢れるクリエイションは、全くブレる事がなく、常に楽しいツモリワールドを見せてくれるコレクションは、今やパリコレの名物の一つとなっています。




 今回はいつもの、Hôtel Westinから会場をLe Palais des Beaux Artsに変えて、少し気分を変えたコレクションになりました。でもそこはツモリチサトのコレクション。世界中から集まった、個性溢れるこのブランンドの住民達が会場を埋め尽くし、実に和やかなムードでコレクションの始まりを待ちます。


 さて、この日は少し涼しくなったので、意を決してトロンプルユスタイル、ついにジャケットで参上しました。もともとこちらのジャケットをメインに考えていまして、プルオーバーバージョンはバリエーションの一つと考えておりまして、こちらのほうがよりトロプルイユムードが感じられるかと思います。。。しつこいですか。。。。???


 こちらのスーツに使ったチェクは、パープルベースのタータンで日暮里のアライさんで購入しました。学生の頃からお世話になっているお店で、拘りの生地、特にウールやツイードなんかは絶品を発見する事が出来ます。コーディネイトしたのはトマトで購入したブロンズのラミネートがされたベイビーラムのレザー。これ、やはりトマトなだけに超B品で、どんどんラミネートが剥がれて来ます。。。。まぁ、今回だけって事で。。。。


 スーツ、クラッチバッグ、スーツの前合わせとカラーを合わせたインナー/今回の為に制作。サングラス/LOEWE、スニーカー/NEW BALANCE。今回初めてトライしましたが、コンバース等のクラシックタイプが好きな私にとって、このハイブリッド系は抵抗ありましたが、、、、死ぬ程ソールが良かったですね。高いだけの事はあります!!!




 さて、Le Palais des Beaux Artsで行われた今回のツモリ チサトのコレクション。いつも色んな国でその土地の文化と楽しく戯れ、素敵な思い出を持ち帰ってコレクションを見せてくれるツモリガール達の今回旅の目的地は日本。ズパリ『Japanese Summer』がテーマになっています。


 日本人としてそのルーツを大切にして、今迄もそのクリエイションやテクニックの繊細さには、常に日本人らしい優しさを込めて来たこのブランドにとって、拠点でもある日本がテーマです。このテーマ、解り過ぎている為に中々上手く表現出来ない事が多く、特に私の苦手な暗黒系日本人デザイナーの作品ともなると、もはや怨念のような作品になったりする事が多いのですが、やはりそこはツモリ チサト、まるで海外から見た日本のような解釈でフラットな楽しい作品が並びます。

 
 登場するのは日本の原風景。。。日本人なら誰もが体験したような、夏休みの思い出や海水浴。花火やかき氷、田舎の川遊びで見付けたカエルやトンボもコレクションを盛り上げるのに一役買っています。


 牧歌的で土着的になてしまいがちな要素は、独特の洗練されたセンスでポップで優しく表現され、着物のような前合わせのデザインや帯のディテール等も登場しますが、『ワタシ、ニホンノコト、ゼンゼンワカリマセーン!』くらいの西洋人のフィルターを一枚かけた、クリエイションは実に面白く、日本人から見るととても和やかで懐かしく、海外の人から見ると実に日本的な面白い観点のコレクションでしたね。


 ルック数も54体という迫力のボリュームで、しかも一点、一点ビックリするような充実のコレクションでしたので、今回画像をセレクトする時点で大変でございましたので、とっとと解説に参りましょうね。。。。。。


 ますファーストルックに登場するのはグレーを可愛らしいルックです。かすりのようなパターンのシースルーのマテリアルは小さなパフスリーブのブラウスに仕立てられ、やはり着物をイメージさせるジオメトリックなジャカードで、タックを取ったフリルが施されます。帯のようなハイウエストのパンツは、サイドにバラのモチーフの生地を差し込み、センタープリーツの入れたハンサムなスタイルにまとめます。


 これから始まる楽しいツモリワールドを期待させつつも、静かな洗練されたスタイルでコレクションはオープニングを飾ります。



 コレクション前半は湿度の高い日本の田舎の朝の情景を表現するようなスモーキーで優しいカラーが続きます。ベージュやパープル、そこにグリーンを一滴落としたような、記憶の中の懐かしい情景は、優しいカラーで個性的なシルエットのルックに映し出されます。


 着物をイメージさせる前合わせは柔かくスリーブへ繋がったり、フレースカートには小さなプリーツスカートを重ね、帯のようなサッシュベルトで絞めたりと、実にオリジナリティー溢れるスタイルが楽しいですね。


 注目して頂きたいのが奥のルック。ショーツやブラにハンドペイントされているのは、なんとカエル君です。どことなく日本でも有名な鳥獣戯画のカエルとリンクする、プリミティブでユーモアたっぷりの表現が最高ですね。鳥獣戯画ファンの私的には凄く欲しいんですが、ショーツねぇ。。。。履いちゃう???いや、履けないだろ!!!

 今回、モデルちゃん達のヘアメイクも実に楽しかったですね。西洋人から見た日本の、もう中国とごっちゃになってるよ!ってくらいチャイニーズドールのイメージで、オレンジや真っ赤のチークがキュートでしたね。まとめたヘアにヘアピースでさらにフリンジを着け、多くのモデル達が被っていたストローハットも、日本の夏の麦わら帽子をキッチュに解釈したそうで、実に楽しかったですね。アンチ!ナチュラルメイク、ビバ!作り込みの私からすると、もう、、、、大好物!!!



 コレクションをクリエイトするに辺り、津森さんはまず最初にドローイングを描くそうです。アーティスティックな才能も兼ね備えた彼女のドローイングは、コレクションの方向性を決定し、そのイメージはプリントやエンブロイダリー、さらにディテールは切り取られ、デジタル処理が施されたりと様々なアイテムに落とし込まれます。


 こちらもドローイングによるプリントですが、ご覧下さい。。。なんとシンクロ。。。オリンピック東京開催をお祝いしてのルックでしょうか!!!メチャメチャ可愛らしくて、気になるんですが、やっぱりショーツ?しかも水着????着る????止めて下さい!!!



 カラフルでキャッチーなスタイルが人気のツモリ チサトですが、毎回コレクションにはシックでエレガントなルックがいくつか登場します。私、実はこの手のルックの大ファンで、彼女のクリエイションの幅の広さを実感させてくれる、大人なルックをいつもチェックさせて頂いております。


 今回はこちらのリラックスしたルックですね。ジャケットは丸くオーバーシルエットのショルダーに、大きめのケープへと繋がる襟が施されます。ボディはゆるやかにフィットするデザインで、ケープとボディの部分を微妙にパターンの違うジャカードで仕立てているのも芸が細かいです。

 
 スカートはレースのブレードを繋ぎ合わせ、部分的に肌を覗かせたセクシーなデザイン。マーメイドに広がるシルエットと、裾にフリンジを飾り、遊び心もたっぷりです。いやぁ、こんなセレブなルックは日本というより、コートダジュールでしょ。。。。



 今回ラインはオーバーシルエットがメイン。優しいカラーパレットと合わせてリラックスしたムードが、日本の原風景を描くのに実に効果的でしたね。しかも強いフォルムを描くという概念ではなく、繭のように優しく身体を包み込むというハートウォーミングなスタイルが実に素敵でしたね。

 コレクション中盤には、涼やかなホワイトのルックが登場します。こちらはプリントにもなっていたプリミティブなバラのモチーフを、レースに落とし込んだマテリアルを使ったもので、他にいくつかのレースとのパッチワークで仕立てられています。切り替えに施した幅の広いパイピングや、アインメトリーのカッティングのレアイウトに、津森さんのセンスの良さを感じるルックですね。




 ノスタルジックなチェックも実に面白い解釈で登場していましたよ。チェックという言うより格子と言ったほうが良さそうな、温かいイメージのマテリアルには今回日本の伝統的な板締め染めという技術が使われ、シルクスクリーンでは出せないプリミティブな表現が実に効果的でしたね。


 こちらは部分的に透け感を作り織り上げた生地の上から、板締め染めで色を乗せたマテリアルを使ったルックです。トップスはホワイトにブルーをさらにチェックに染め、ボトムはグラデーションで鮮やかなオレンジが施されます。

 
 まさに出来上がりを想定して生地から染め上げたような、美しいルックで、晩夏の風物詩でもある赤トンボもアップリケになってショートパンツに登場していて楽しく、夏の思い出を詰め込んだようなメモリーバッグも、ラフィアのベースに様々なエンブロイダリー、トンボのアップリケに、長いタッセル、バンブーのハンドルと実に個性的で、クリーンなルックのポイントにもなっていますね。



 夏の絵日記に登場する楽しい思い出達を、全てプリントしたようなマテリアルのルックも印象的でしたね。デニム(という言うより藍に近いムード。)にハンドペイント風の大らかなタッチで描かれたのは花火やスイカ、落下傘や楽しい水遊びの情景です。先ほど登場したカエルやトンボももちろん登場して、今回のオールスターキャストといった感じですね。


 コンパクトなトップスとゆったりしたテイパードパンツによるコンビネゾンは、ファスナーの引き手に帯留めのようなジャカードが使われ、フリンジも付いて芸が細かいですね。



 はい、このブランドのシグネチャーと言っても過言ではない、様々な手の込んだハンドメイドのルックもゲスト達お待ちかねの中、もちろん登場しましたよ。目の粗いネットの上にクレヨンで描いたような大らかなディテールのドレスですが、良~くご覧下さい。描かれている線は全てルーシングにより作られています。


 ルーシングとは、元々毛皮やラグジュアリーなコートのポケットや、裾の処理等に付けられるテクニックで、リボン状にカットした生地を糸で広いながらスモッキングのように作り出すデコレーションの一種で、気が遠くなるような手仕事の作業です。


 ポケット用に15cm作るだけでもグッタリなのに、一体何10メートルやってんだか。。。もう、、、、ほんとに、職人泣かせだわ。。。。。



 リラックスしたシルエット中心だったコレクションの中で、いくつかこんなプリンセスなルックも見せてくれるのが嬉しいもので、50'S的なウエストをキュッとマークしたフィット&フレアのシルエットも女子的には永遠の憧れです。


 でもご安心下さい。様々な邪気がウエスト周りに寄生されている方々にも安心のシルエットでございますよ。トップスのブラウスはオーガンジーで仕立てたショートスリーブで、肩にオリジナリティー溢れるカッティングが施され、ウエストは緩やかにシェイプするエレガントなシルエットです。フロントのセンターには女神か、お釈迦様のようなサマーガールのペイントにエンブロイダリーまで施されアップリケされています。


 スカートは先に登場したブラックのジャカードのカラー違いで、オレンジのトップスとマッチしたココアのカラーが素敵です。サイドに実に複雑なドレープとカッティングを施し、そこからボリュームたっぷりに広がるスカートがなんともロマンティックですね。

 
 いくら細く見えるからって、服に丸投げってのはいけませんよ!いつも言うように大きなパフスリーブから覗く肘は、少しでも細いほうが美しいですし、たっぷりのフレアースカートの裾から覗くふくらはぎは、子鹿のように細くなければなりません。まだま来年の夏迄時間はありますよ!是非オードリーのように華奢に着こなして頂きたいですね。


  コレクションも後半になって来るとやはりテンション高い、ツモリワールド全開な作品が登場し、優しく何処か懐かしいムードの作品は引き続き繰り返されます。カラーリングのせいでしょうか、何だか勝手にいつも以上に愛情込めて作られている気がしちゃいますのは私だけでしょうか。。。

  胸元にふんわりしたドレープが印象的なこちらのトップスは、小さなフレンチスリーブとペプラムが可愛らしいでね。肌の色に近いサンド系のベージュのトップスに続くのは、ふわふわのグラデーションのスカートで、ファーに見えますが、これ実は孔雀の羽なんです!!!美しいベージュからオレンジ、グレーへと実に美しいグラデーションですね。

 いやぁ、、、これは素敵ですねぇ。。。孔雀もアジアなムード満点ですし、ちょっと毒々しいイメージもパウダリーなカラーで繊細なイメージでしたね。。。発売はされるんでしょうか???
 

 
 フワフワのデコレーションのトップスは、美しいグラデーションに染め上げた、オーガンジーをラフカットのフラワーモチーフを飾ったアイテムで、ラフィアを編み上げた丸いシルエットの籠のようなジレをコーディネイトして、まるでフラワーバスケットのような景色です。

 コーディネイトしたイージーパンツはピンクベースのスイートなアイテムで、ドローイング風に描かれた花火のプリントが可愛らしく、マスタードとピーチのサテンをジオメトリックにはめ込み面白いデザインのアイテムですね。



 先にカラフルなカラーで登場したルーシングのドレスは、こんな爽やかなオールホワイトのトップスなっても登場していました。同じテクニックもカラーやアイテムが変わると、また違う表情を見せて楽しいですね。ホワイトなので透け感や軽やかさも感じられ、肩のエンブロイダリーのストラップも、ほんのちょっとの分量なのに、、、、いやぁ、芸が細かいですよね?


 にしてもこのルーシングのドローイング、、、ホント素敵ですね。。。。



 ラストルックは、お得意のニット。しかもこんなドレスになった華やかなアイテムです。プリントにも登場したような花火の情景は、空中で広がって、やがて流れ消えていて行く様をグラフィカルに描いていて素敵ですね。


 部分的にオレンジやパープルのカラーをプラスしたゴールドの鍵編みのベースに、さらに複雑な組紐をエンブロイダリーしたモチーフが実に素敵で、垂れ下がる花火をイメージしたカラフルフリンジは、スパイラルするように組まれていて、ヒュルヒュル消えて行く瞬間を良く表現していますよね。


 しかも右の胸元にチラリと顔を覗かせるのはスパンコールで飾られた三日月。そして反対側の肩には星をイメージするドットが鏤められます。これ、花火を見ていた情景全てが描かれていて、目に見える全ての情景を、一つのルックに取入れた大らかなスタイルは実にユニークで、以前雪山のスノーリゾートをテーマにした時も、彼女が撮った写真が使われていたんですが、写した彼女の影迄プリントされているという、そんなユーモアが毎回実に楽しみで、ついつい探してしまう、そんな作品が楽しいですね。




 リアルクローズが主流になって来ている昨今のファッションにおいて、元々はそういうスタイルが得意ではないのに、トレンドに振り回され、トライをして失敗してしまうデザイナーが多い中、自らのアイデンティテーを変えないで独自のクリエションを行えるのは、もちろんデザイナーの才能もさることながら、それを愛し続けてくれる顧客やちゃんと成立するビジネスなど、まるで奇跡のような事なのかも知れません。


 それをやれている数少ないうちの一つがこのツモリ チサトというブランドなのかもしれません。ハートウォーミングで楽しい世界観。それに対するテクニックの向上と前向きな姿勢、そして実は凄い繊細にトレンドを取り入れ、楽しいトリックを毎回仕掛けて来る遊び心等、沢山な魅力的な要素を持つブランドです。


 ツモリ チサトのコレクションに登場するのも、もちろんちゃんとリアルクローズですよ。でも只のシンプルやトレンドに振り回されるベーシックではありません。着る人がそのそれぞれの日常の中で良い気分になったり、楽しく過ごす為の素敵なリアルクローズです。一度その服に袖を通すと、この楽しい気分は止めれなくなって、どうやって自分のライフスタイルに取入れようか試行錯誤させてくれる、そんな刺激的なスタイルが最高です。


 取入れ易いとかコンビニエントとかいう言葉の裏で忘れられている、ファッションに一番大切な要素、、、、それは『ワクワクする』という感情です。この最高のごちそうをいつも安定して見せてくれるツモリ チサトのコレクション。。。次シーズンはノスタルジックな日本の原風景を感じながら、この独特なワクワク感を楽しんでみてはいかがですか???



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