PARIS Prêt-à-Porter開幕 !!! PIECE D'ANARCHIVE !! | ダイコ★ブログ

PARIS Prêt-à-Porter開幕 !!! PIECE D'ANARCHIVE !!



 はい。ではお待たせしました。ようやく2014 SS PARIS Prêt-à-Porterのリポートを始めたいと思います。もう、ほとんどのWeb媒体でリポートが終わってしまい、デジタルなのに紙媒体なみのUPの遅さと、業界で評されている私のブログでございますが、いつも通り、私のペースでやって行きたいと思ってますので、こんなんでごめんなさいね。今回も私の好きなブランドだけを、私の好きなようにUPして行きたいと思いますので、奇特な皆様、是非お付き合い下さいね。


 2013年9月24日から10月2日まで開催された今回のPARIS Prêt-à-Porter。いつものようにパリを中心に世界中から集まったデザイナーやブランド、バイヤーやジャーナリスト等ファッションに関わる人々によって、9日間に渡るファッションの祭典がパリの町中で所狭しと開催されました。回を増すごとに拡大している感じがするこのPARIS COLLECTION。ファッションビジネスがよりワールドワイドになり、その規模が拡大している様子を肌で感じます。


 まず今回パリ入りして最初に受けた大打撃はお天気。。。。いつもこの10月は天気の予測に失敗し、去年は猛暑の東京の気分でシャツ一枚でやって来てしまい、到着したら極寒。。。。オープンエアーのアレクシ・マビーユのショーで風邪を引き、結局一冬調子を悪くしました。。。んで、今回、絶対にそんな事にはならないように、ツイードやレザーでしっかり防寒した服を仕立てパリ入りしてみると、、、、暑いじゃん。。。。パリジャンTシャツじゃん。。。。。嗚呼、毎度の如く神様の残酷な悪戯。。。。


 んな訳でやんのやんの言うとりましても、スケジュールはスタートします。今回最初にお伝えするのはフランスのメゾンPIECE D'ANARCHIVE(ピエス ダナルシヴ)のリポートからして参りましょう。


 会場はLe Palais de Tokyo。パリの中心地にはあまり大きなスペースはなく、消防法やそのほとんどが歴史的建造物な為、自由なプレゼンテーションを行うのはとても大変です。ただ今改装中のこの広いスペースを使い、今回もショーやエキビシビジョン等沢山のイベントが行われました。改装中だからやりたい放題ってことでしょうか。。。?日本だと安全の為に絶対貸さないとは思いますが。。。。


 会場に入ると今回のコレクションのテーマにもなったフランスの現代アーティスト、Jean-Pierre Raynaud(ジャン=ピエール・レイノー)の作品と、ピエス ダナルシヴの最新ビジュアルが美しいコラボレーションを見せてくれて、まるでモダンアートの美術館のようです。


 はい、この日はスケジュールがこれだけなので、リラックス気分満点で参上しました。あっ、手抜いてませんよ!!!東京でもお仕事でリースされて頂いたりして、ニットがとても素敵なメゾンなので、全身ニットで。もちろん、手、抜いてません!!!


 スエットのジャケット、パンツ、ムートンのクラッチ、サングラス/3.1 Phillip Lim、スニーカー/CONVERS ALL STAR、インナーのタンクトップは以前作ったもの。



 さてこのメゾン、PIECE D'ANARCHIVE(ピエス ダナルシヴ)ですが、今回初めて私のブログでご紹介させて頂きますので、ちょっとご紹介をさせて頂きますね。2011年4月からスタートした、Deborah and Prisilla Royer(デボラ・ロイヤー、プリシラ・ロイヤー)の長身の美人姉妹が手がけるフランスのブランドです。ブランドの名前はフランスの伝統技術を反映させるという意味での"Archive(アーカイブ)"、スタイルをミックスさせ、素材にひねりを加えるという意味から"Anarchy(アナーキー)"、希少性を含むという意味での"Piece(ピース)"を組み合わせた造語です。


 お姉さんのデボラはアメリカでジョルジオ・アルマーニ等の高級クチュールメゾンのクリエイションに携わり、パヒューム等のビューティーの世界でも活躍し、妹のプリシラはパリのスタジオ・ベルソーを卒業後、ロンドンのセントラル・セントマーチンズ美術大学を経て、ヴィヴィアン・ウエストウッドのレッドレーベルでクリエイションに携わります。そんな二人がパリに再び戻りスタートしたのがこのブランドで、まだ創立してホヤホヤのメゾンですが、その独特で上質なニットには定評があり、日本でも伊勢丹等で取り扱われている大注目のブランドです。


 日本に初上陸した2013 SSではアメリカの代表的なダンサーであるウィリアム・フォーサイス(William Forsythe)の作品"The Vertiginous Thrill of Exactitude"をテーマにコレクションを発表し話題になり、アーティスティックな彼女達らしく、今回注目したのはフランス人現代アーティスト、Jean-Pierre Raynaud(ジャン=ピエール・レイノー)です。かつてポンピドゥーサンターの前に置かれていた金の巨大な植木鉢を作った作家で、アーティストとしてはかなり変わった経歴を持つ作家です。


 1939年フランスのクールブヴォワに生まれ、ヴェルサイユの園芸学校で学び、一年間造園家として仕事をします。28ヶ月の兵役の後、身体を壊し、約一年間病床に伏せますが、そこで自分の生き方に疑問を抱きアーティストとして活動を開始。彼が23歳の時です。それまで美術館にさえ足を運んだことが無かった彼は、独学で美術を学び、もともと自然を愛するその趣向からオリジナリティー溢れる作品をオブジェやインスタレーションで表現しています。


 今回、テーマになっているのは、そんな彼の作品でも1969年、24年の歳月を掛けて制作したタイル製の家の作品です。これは『ジャン=ピエール・レイノーの家1969-1993』という映画にもなっている彼の代表作の一つで、一人で生活しながらその家と半ば恋愛関係のようなコミュニケーションを計り作り続け、やがては壊すまでという、彼自身の非常に私的な想いが込められた作品でもあります。


 壊された廃材は今回銀のバケツに飾られ、このプレゼンテーションの会場を飾ります。そして、在りし日の美しく規則的に並んだタイルのデコレーションはピエス ダナルシヴの作品で、布という新しいキャンバスの上に蘇ります。ジャン=ピエール・レイノーが一枚一枚手で貼った美しいタイルの目は、様々な美しいグリッドのパターンになってファッションと建築の類似性を模索します。白い陶器のタイルとその目地を表現するように、カラーはブラックXホワイトにコントロールされ、少しのライムイエローやネイビーがあるのみ。非常にシャープでストイックな世界です。


 では、作品を見て行きましょう。ニットにはとても大人気で、独自の製造工程やディテールの処理迄実にラグジュアリーなこのブランドですが、今回はさらに緻密に験された数学のような作品が印象的です。直線的なパターンにプリントまたはジャガードで施されたグラフィカルなモチーフは、曲線で出来た人体の上で不思議なラインを描きます。


 まず左のルックは、ジャカードで立体的にタイルの目地のようなディテールをジャカードで施したニットで、ストイックに計算された美しい仕事が印象的で、陰影が作り出すグリッド模様は建築物の壁面のようなクールですね。


 真ん中のルックは今回のコレクションのファーストルックで、前身頃のセンターの部分を直線的に切り替え、センターはブラックにホワイトの細いストライプ、サイドはその逆というトップスで、カフスのように小さな直線的なスリーブが印象的ですね。


 一番右側、こちらドレスです。真ん中のトップスのアイディアをストレートラインのドレスにして、さらにシャープな印象です。グリットの取入れ方も様々な変化を見せる所がじつにおもしろいですね。


 
 ニットの評判はさることながら、トータルウエアを目指してるこのブランドに取って、そのイメージ作りやコンセンプトも重要な要素の一つです。今回そのスタイルの中にストリートのスタイルやコンテンポラリーなスポーツテイストが沢山登場したのも新鮮でしたね。フレッシュで若々しいアティチュードですが、かなり拘ったそのラグジュアリーテイストは佇まいの美しいアイテムを作り出していましたね。


 まさにタイルの壁面を感じさるこちらのルックは様々なグリッドを組み合わせる事で、アーティスティックな面白さを表現しています。ドレスはトップス部分がホワイトのベースにブロックのゲージの大きめのチェックをプリントした素材を使い、フラットなラウンドネットとエッジィな袖口のデザインがシャープです。よりシャープな印象を表現する為に今回沢山登場するプリーツスカートがボトムス部分にあしらわれ、オシャレですね。


 キャップやインナーに履いたショートパンツ、スニーカーのプラットホームと、チェックのゲージを変えてコントラストを楽しみ、ブラックXホワイトでカラーをコントロースする事ですっきりまとめたルックになっていましたね。


 
 デティールまで拘ったそのニットは、マニアックなファショニスタ男子達をも唸らせる程で、比較的ユニセックスで着れるアイテムが多い所も嬉しい限りです。実際東京でも業界のオシャレ兄貴達を中心に支持されています。


 今回、イメージピックに男子モデル君達を採用してその世界観の広がりを感じさせてくれましたね。。。また、可愛い子ちゃんばっか使っちゃってるんだな、これが。。。。


 上品なストリートテイストはメンズとしても素敵で、リュクスなストリートスタイルが素敵でしたね。グリッドのパターンのパーカーベストにブラックのシャツ、レザーのショートパンツをコーディネイトしたスタイルですが、ねぇ、素敵でしょ?女子が着るとオーバーシルエット気味の程良いラインになって、カップルでも楽しめそうですね。




 はい、今回登場したかなりのインパクトのプラットホームのスニーカーです。アトリエのリメイクアイテムで、ソールに今回のテーマのタイルプリントが施され、コーディネイトを決定付けるインパクトのあるアイテムでしたね。


 こちら商品化は未定とか、、、、、是非、販売して頂きたいものです。。。


 
 こちらもグラフィカルなグリットを使ったルックで、あえて様々なパターンを組み合わせ、ストリートテイストで楽しみます。トップスのプルオーバーは袖の部分に少しだけライムイエローのカラーを取り入れたデザインで、一見Tシャツのようなカジュアルさですが、布端の処理やリブの作りが恐ろしい程美しいアイテムです。


 ボトムはトップスと逆のカラーリングのスキニーなショートパンツをコーディネイトして軽さを出し、さらに大きくデフォルメしたグリッドのかなり大きなリュックが印象的ですね。


 サンペンダーやアームバンド、ヘアバンド、ソックスまでもジオメトリックにコーディネイトして、洗練されたスポーツテイストが見事ですね。

 



 ジオメトリックな表現はそのパターン自体にも表現されます。出来るだけカーブや傾斜を減らしフラットに仕立て、マテリアルの良さで身体に程よくフィットさせるというテクニックを使う事で、多少のサイズの違いも解消され、あらゆるサイズの人が快適に着れるという優れものです。


 プレゼンテーションでは多くの作品をあえて直線的にディスプレイし、服自体のカッティングと施されるプリントやテクスチャーのシャープさが表現され、見てるいとまるでペーパークラフトの作品のようで美しかったですね。



 先ほども登場したプリーツも、直線的な表現として繰り返し使われます。ドレスのボトム部分に登場したり、もちろん1アイテムとしても登場します。エレガントでフェミンという訳でもなく、スクールテイストという訳でもなく、あくまでもコンテンポラリーな所が興味深く、グリットのアイテムと見事にマッチしていました。


 右側のレディースは、レザーのベストにステッチでグリッドを施したベストです。このテクニックはスキニーパンツなんかもあり、会場に居たお姉さんのデボラなんかは足が長いのでお似合いでしたね。ホワイトのシャツにプリーツスカート、ワイドシルエットのショートパンツをコーディネイトしてハンサムなスタイルです。


 左側のメンズ君はブラックのシャツに少し長めのプリーツスカート、ストライプのサスペンダーにレギンスというコーディネイトです。フラットに見えるシャツですが、こちらも織りでグリッド模様が施してあり、近くで見るとグラフィカルな印象で、今回登場していた大きめのバンダナも、この素材の上にプリントが施され素敵でしたね。


 この坊や、胸元を大きくはだけているだけで、こちらはご本人のタトゥーです。タトゥープリントのカットソーとかじゃないですから。。。そんなテーマじゃありませんから今回。。。でも素敵!!!!
 


 
 グリッドのモチーフは、SSシーズンに合わせてこんな透け感のあるアイテムでも登場しましたよ。左端のニットの胸元や右のパンツのボトムスに使われている、かなりジャイアントサイズのハミカムのマテリアルです。これは実に面白い効果を生み出していて、インナーにショーツをコーディネイトしてボトムの軽さを表現したり、肌の透け感を楽しむ、涼しげなアイテムになっていましたね。




 何気ないこちらのドレスも実に端正に作られていましたね。ゆったり目に作られたトップスはやはり直線的なパターンで、肩に個性的な切り替えを入れています。ボトムス部分はプリーツスカートですが、ゲージの大きなブロックチェックを用いた、ナンバリングがスポーティーな大きめクラッチや、ニットキャップ、ソックスにドクターマーチン風のブーツを合わせ、リアルでコンテンポラリーなスタイリングになっているのが素敵です。


 もちろん、凄く丁寧に作られて美しいアイテムなので、パンプスなんかとコーディネイトしてエレガントなスタイリングも楽しめますよ。



 先ほど登場したジャイアントサイズのハニカムのパターンのマテリアルをパンツにコーディネイトしたこちらのルックですが、トップスのジャケットも素敵です。リラックスしたジャージー素材のカーディガンジャケットは、ブラックのベースにジオメトリックなネイビーのパッチポケットが印象的です。インナーにホワイトのプルオーバーをコーディネイトして、片方だけ袖をまくり、アームバンドを飾る辺りのスタイリングも見事です。


 コーディネイトされたハットは今回印象的に使われたアイテムで、上からみるとクロスにくせが付けられていて、ここでもグリット感を表現しています。シューズもプラットホームにグリットのモチーフを使い、さらにサンダルという実に面白いアイテムでしたね。



 パリジェンヌのエレガントでシックなワードローブのような、デイリーに使えるラグジュアリーなニットを中心にコレクションを発表して来たピエス ダナルシヴですが、今回ガラリとコンテンポラリーなムードのコレクションを見せ、プレゼンテーション自体もスケールアップして、幾度と無く体験した新しいブランドが大きくなって行く飛ぶ鳥を落とすような勢いを感じましたね。


 実に丁寧で端正なアイテムを作り出す事の出来る彼女達ならではの、新しいアーティスティックな方向性は実に好感が持てて、これからも見守り続けたいなと思いましたね。そのうち普段の会話の中で『ピエスのニットがさぁ~。。。。』なんて言葉が聞けるようになる日も、そう遠くはないのではないでしょうか。。。


 是非伊勢丹などで取り扱いがありますので、フランスの美人姉妹が作り出す端正なコレクションに触れてみて下さいね。



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