衆院選マニフェスト比較を「難病」でもやってみた | にぶんのいち×2

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所属:地方公務員、でもあいかわらずの兵庫県弁護士会
小児がん「頭蓋咽頭腫」→難病「下垂体機能低下症」という、準先天的な難病系弁護士です。

lessor様が、このたびの衆院選のマニフェスト比較をなさっておられたので(http://d.hatena.ne.jp/lessor/touch/20141130/1417283133 )、これを「難病」でやるとどうなるのかな-と思ってやってみました。


★与党の場合

【自民党】
http://jimin.ncss.nifty.com/2014/political_promise/sen_shu47_important.pdf
《出産・子育てを応援する社会を》
女性・若者・高齢者、障害や難病のある方等、誰もが生きがい・やりがいを持って暮らせるよう、居場所作りや生活支援、ハローワークの機能強化等による就労支援等、全員参加できる社会を目指します。


なぜか、「出産子育て」の項にねじ込まれているのは障がいと同じです。
あとは、「科学技術立国」の項で微妙にiPS細胞の研究に触れられている程度です。


【公明党】
http://www.komei.or.jp/campaign/shuin2014/manifesto/manifesto2014.pdf
「重点政策2-2 充実の医療・介護体制を」の中で、がん対策、再生医療の安全性確保と推進と一緒に取り上げられています。
「難病関連2法に基づき、難病対策を大きく前進させます。あわせて、効果的な治療方法の研究・開発を促進します」
これによると、「難病対策≠治療方法の研究・開発」ととらえておられるように読めますね。
そうすると、公明党が指す「難病対策」は、患者の療養環境整備の方を指しているようで、これは、患者側が同法に求めた趣旨と合致しているといえるのかもしれません。

ただ、
「重点政策2-4障がい者福祉の拡充と、セーフティネット機能の強化」では、「制度の谷間のない障害福祉施策が始まったことを受け、市区町村の現場で障がい者等へのきめ細やかな支援を強化します」とあります。
つまり、障害者総合支援法は「制度の谷間のない施策になった」という認識ということのようです。
きめ細やかな支援は早急に実現して欲しいところですが、「障害」の概念に対してそういう認識で、国連審査をちゃんとパスするんでししょうか。



★野党

【民主党】
http://www.dpj.or.jp/global/downloads/manifesto2014.pdf
01 経済
研究の基盤整備を行い、再生医療、バイオ、ICT等の研究開発を推進

02 社会保障
難病対策をさらに拡充。
高額療養費制度の拡充により、治療が長期にわたる場合の患者の負担軽減。

04 女性・共生
・障害種別や年齢、性別をこえ、難病患者も含め、安心して地域で自立した生活がおくれるような人材育成、基盤整備につとめる
・障がいのある人もない人も共に生きる共生社会るため、障害者差別解消法の実効性のある運用をめざします


「難病対策」が、研究について言及されている項と別に、「社会保障」の章に記載されているところがミソでしょうか。
また、障害の概念についてどう考えているのかは、この項からはよくわかりません。ただ、地域自立生活への基盤整備にあたり、難病患者の存在をことさら意識してもらっている事がわかります。差別解消法に明示的に言及している点も特徴かも・・・


【維新の党】
https://ishinnotoh.jp/election/shugiin/201412/pdf/manifest.pdf

4 「稼げる国」へ、徹底した競争政策
●医療・福祉の成長産業化
・ビッグデータの活用で、医療の標準化を進める
・患者が望む先進医療を適時適切に受けられるよう、混合診療解禁
・病院経営の民間算入

「らしさ」大爆発ですな。


【次世代の党】
http://www.jisedai.jp/news/20141122.html
障害者福祉への言及はありませんが、4-②で、「患者の選択肢を広げる混合診療の解禁」と「医療費自己負担割合の律化」が上げられています。


【共産党】
http://www.jcp.or.jp/web_policy/html/2014-sousenkyo.html
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2014/11/post-677.html  (医療)
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2014/11/post-673.html  (障害者・障害児)
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2014/11/-201411-500600-1972.html  (難病)

すげぇ。なんか、もう、すげぇ。
「医療」と別項で「難病」だぜ? 
「それ、どこの当事者団体も言ってませんよね?」というくらい人権重視な提言を炸裂させています。これ、そのまま意見書っていうか提言っていうか、そういうので使えそうな勢いです。すごい。


【生活の党】
http://www.seikatsu1.jp/wp-content/uploads/0c4778a35f0cfe0a34fd3085e210a5c4.pdf
言及がないような…
そこまで政策で手がまわらないくらい、体力が落ちてしまったのでしょうか。


【社民党】
http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2014/commitment.htm
○障害者権利条約の趣旨をあらゆる場面で実現します。「障害者差別解消法」の実効性を高め、障がい者の地域生活を広げ、共生社会を実現します。
残念ながら、これだけのようです。



なんていろいろ見ていると、
①「難病(対策)」を、成長戦略の一環と見ているか、科学技術と見ているか、社会保障と見ているか
②障害者施策のなかで、難病を意識して見ているか
という2点で、各党の難病者への問題意識がうかがえる気がします。

ところで、ここまで書いておいてナンですが、公選法に反しないよね・・・