PS3 FINAL FANTASY XIII レビュー | はんぺん刑事の事件簿

PS3 FINAL FANTASY XIII レビュー

ジャンル:RPG

プレイ時間:約140時間(寝落ち込み)

プレイ状況:本編クリア プラチナトロフィー取得済


■構成

ワールドマップがなく、ほとんど決まったルートを進む構成はFFXに近い。

加えて本作には住民が生活し、武器屋、宿屋などが点在する

一般的なRPGでいうところの街がないので非常に淡白な印象を受ける。

当然ミニゲームなどの類もほとんどない。

買い物はセーブポイントからの通販のみ。


ある程度話を進めると広大なマップが出現し一気に自由度が上がる。

広いフィールドを巨大生物が闊歩し、

そこらじゅうで野生モンスターが縄張り争いをしている様はまさに現世代機ならでは。


プレイヤーキャラクターは最終的に6人だが全員が揃い

好きにパーティを編成できるまでの時間が長すぎる。(筆者は約20時間かかった)

それまではそれぞれ固定パーティで進めていくことになるが

前述のマップ構成と相まってやはり窮屈な印象。


シリーズ初のシンボルエンカウントを採用しているが

狭い道中に敵が陣取っていて通り抜けられない場面も多く

拾得選択の余地はあまりない。

後ろから接触すると奇襲攻撃をかけられるのは○。


■成長システム

FFXのスフィア盤に近い盤上を進むクリスタリウムというシステムを採用。

3Dで立体的に表示されているので進むべき方向がわかりづらい。

各所に分岐が存在しているが片方を進めても途中で戻ることができ

最終的にはすべてのクリスタリウムを獲得できるのであまり意味がない。


キャラクターにはLvというものが存在せず

クリスタリウム上にあるアビリティやステータスUPを取得しながら進んでいく。

ステータスはHP、物理攻撃力、魔法攻撃力の三種類のみとシンプルな構成だが

戦闘のデザインを見るにこの簡素な構成で正解だと思う。


■戦闘

FFXIIIの肝。


従来のATBを基礎としながらも分割ATBや

各キャラの役割を振り分けるロール、

それを戦闘中にリアルタイムで切り替えるオプティマ、

攻撃により増減するチェーンゲージによりまったく新しい戦略性を実現した。


物語序盤はやれることが少なく単調な戦闘になるが

オプティマが開放された途端まったく別のゲーム性へと変わる。


6種のロール(役割)はそれぞれ使えるアビリティやAIが異なるので

有用な組み合わせを見つけ出しオプティマ(作戦)としてセット。

戦闘時は状況を瞬時に判断し、オプティマを切り替える。


プレイヤーが自らコマンドを入力するキャラはリーダーのみだが

オプティマによるAI制御である程度戦況を自由に動かせるので

オプティマの出来不出来がかなり重要になる。

オプティマは作戦ごとにステータスにボーナスがつくのでそれも一考しつつ

色々なオプティマ編成を試し強敵に挑んでいくのはかなり楽しい。


チェーンゲージは100%からスタートし

攻撃すればゲージが増え、しなければ減っていく。

数字が上がるほど与えるダメージも増えていくシステム。

ゲージが上昇しやすい攻撃、維持しやすい攻撃があり

敵によりチェーンへの耐性、苦手な属性なども設定されているので

いかに効率よくゲージを上昇させていくかが肝心。


敵にはそれぞれブレイク値というものが設定されていて

チェーンゲージがブレイク値を超えると敵はブレイク状態となり

大幅な与ダメージUP、弱体成功率UPとなるので

いかにブレイクさせるかを考えるのがこれまた楽しい。


分割ATB、チェーンのおかげで魔法の使い分けが重要性を増し

いつもなら後半使わなくなってしまう初級魔法も最後まで有用なのが嬉しいところ。

チェーンゲージを伸ばしたいときは初級魔法連発、

範囲攻撃や一撃の威力が欲しいときには上位魔法と

使い分けができるのですべての魔法にしっかり出番がある。

こんなにファイアを撃ったFFは今までにない。


素早さや防御力のステータスがない本作では

普段はあまり目立たない弱体強化魔法の重要性が極めて高い。

特に後半は弱体魔法を使うロール「ジャマー」や

強化魔法を使うロール「エンハンサー」の使い分けにより

戦闘バランスが激変するので力押しするわけにはいかず

前述のオプティマ編成をさらに奥深くしている。


上記のような要素をリアルタイムで進む戦闘中に作戦を練りつつ

次々とコマンドを入力し、オプティマを切り替えていく様は

さながらアクションゲームのような忙しさだが

それに見合う楽しさ、奥深さがあり中毒性は高い。

主観だが戦闘に関してはシリーズ最高傑作だと思う。


素晴らしい戦闘システムなだけに目立ってしまう粗をいくつか列挙。

・AIがかけてくれる魔法の順番を決められない。(自分でかければOK)

・立ち位置を設定できないのでディフェンダーのすぐそばに棒立ちで範囲攻撃を喰らう。

 ATBゲージを1つ消費してサイドorバックステップができればよかった。

・初回オプティマチェンジの際演出が長すぎて隙が出来る。

・自分でコマンドを入力する際離れたコマンドを連続で入力するのが大変。

 コマンドの並び替えは欲しかった。


このように惜しい要素もいくつかあるが

コマンド型RPGの戦闘においては間違いなく最高峰。


■武器、アクセサリー、改造

グラフィックは固有だが武器の種類は少ない。

無改造の武器はほぼ同じような攻撃力で

改造することで伸びに違いがでてくるが

特殊効果による恩恵も大きいので好みによる。


アクセサリーの種類は豊富だが

耐性30%やピンチに一回だけプロテスなど微妙な性能のものが多く

最終的に使うものは極一部になってしまうのは残念。


改造するための素材は豊富だが

与える素材により武器の成長が変化するわけでもなく

増えるEXPが違うだけなのでなぜこんなに素材の種類があるのか疑問。

本当はもっとディープな改造システムだったが

なにかの都合で簡素化したようにしか見えない。


■操作性

レスポンスは毎度のことながら優秀。

クリスタリウムが○を押しっぱなしにしなければ伸びていかないのは×。

時間がかかって面倒くさいだけ。

変な慣性がついてるカメラ移動は慣れるまでしんどい。

画面右上の簡易マップがカメラを追従して回るのはまだしも

ステータス画面のエリアマップがなぜ一緒に回転するのか謎。

東西南北の表示が明確ではないので迷うこと多数。


■ローディング

ゲーム起動から初回のローディング

各章繋ぎのローディングが多少長いだけで

その他はノンインスコとは思えないほど早い。

特に戦闘開始、終了時のロードは皆無。

何千回と繰り返す戦闘時のロードが爆速なのは有難い。


■グラフィック

シリーズの売りでもあるグラフィックはHDの力を得た本作で輪をかけて美麗に。

各マップでの背景は遠方までしっかり描写されており、

ぼーっと歩き回るだけでも観光気分が味わえる。


インゲーム時のキャラクター再現度も他の追随を許さないレベル。

ムービーは言わずもがな。リップシンクもほとんど完璧。

プリレンダは最早変態の領域。

顔にポリゴンを割きすぎたせいかたまにアップにある指のローポリ具合が気になる。


戦闘時のエフェクトがこれまた美しい。

派手ながら主張しすぎないさじ加減はさすがの一言。


■サウンド

発売までに幾度となく聴いた戦闘曲、メインテーマを筆頭に印象に残る曲多数。

メインテーマのアレンジバージョンを多数収録しているあたりに

作曲者浜渦氏らしさを感じた。

ボーカルがついてるトラックが多いのも特徴でどれも秀逸。

サイレス水郷、オルバ郷あたりは特にオススメ。

シリーズのメインテーマ「ファイナルファンタジー」や

お馴染みのファンファーレがないのは少し寂しいところ。


■ストーリー

詳しくは書かないが消化不良。

オートクリップ(Tips)に頼ってる設定が多かったり

敵キャラの存在感がまったくなかったりなんだかなーという感じ。

前述の仲間が揃うのが遅いっていうのも一因だが

仲間意識を感じさせる場面がほとんどないせいか

あまりパーティ感の繋がりを感じられない。

最終局面も?な展開。


■やり込み、ボリューム

普通にクリアするまでなら4~50時間。

各地を回るミッションやトロフィーコンプを目指すなら

100時間オーバーといったところ。

戦闘がおもしろいので強敵を撃破するやり込みはかなり熱い。

「強くてニューゲーム」はないので二周目もガチンコプレイ。

トロフィー獲得でカスタムテーマが貰えるのはいい試み。

これは色々なメーカーも真似していただきたい。


■難易度

FFシリーズの中ではかなり戦闘の難易度が高い。

システムをしっかり理解しないと相当苦戦を強いられるが

わかりやすいチュートリアルをしっかり把握し

キャラクターを強化していけば誰でもクリアできると思われる。

戦闘スピードを遅くすることも出来る。


■総評

戦闘に関しては間違いなく最高峰。

グラフィックも恐ろしく綺麗で音楽も良い。

・・・けどどこかチグハグした印象が抜けきれない。

一本道かと思いきや突然広いマップがでてきたり

敵キャラクターの影が異様に薄かったり

改造がエライ中途半端な仕様だったり・・・。

DVDとのマルチによる弊害なのか

開発人数が多くなりすぎたことの弊害かわからないけど

なーんか纏まってない。そんな印象。


ただ繰り返しになるけど戦闘は本当におもしろい。

RPGに熱い戦闘を求めてる人はきっとハマるはず。


■スコア

操作性 9

グラフィック 10

サウンド 9

やり込み 9

コストパフォーマンス 9

神戦闘 10

中盤までの淡白感 -4

まとまりのなさ -5


トータル 47/50点


FINAL FANTASY XIII 公式

http://www.square-enix.co.jp/fabula/ff13/