「熟睡するためにも工夫が必要」と言うと、「ただ寝るだけなのになんで努力が必要なの?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。
そういう人は、寝つきも良く、熟睡できて朝すっきり目覚められるのでしょう。
なかなか寝つけない。
寝ても夜中に何度も目が覚めてしまう。
朝起きてもなんだか疲れが取りきれていない。
こういう人たちは、睡眠に苦手意識をもたれていることだろうと思います。
ある人は病院に行って睡眠導入剤を処方してもらうかもしれません。
ある人は、薬を敬遠してなんとか生活上の工夫をするかもしれません。
中には、薬が怖いからと敬遠しながら、なお生活上の工夫をしない人がいます。
ただ怠惰であると言うことではなく、ちょっとした工夫で睡眠の質が向上するなど思いもよらないのかもしれません。
我々現代人が不眠に陥る原因は、複雑な現代社会を反映して様々です。
しかし、ひとつ確実に言えることは、IT化が進展し、パソコンや携帯、スマホ、電子書籍など、ディスプレイを覗き込む時間が増大したことです。
いずれも、至近距離からの光りの刺激です。
それも昼夜問わず繰り返されるもので、こうした状況は、もしかしたら人類史、否、生物が始まって以来ではないでしょうか。
野生動物をはじめ、原初的な生活というものは、日が昇るとともに活動し、日が沈むとともに休息します。
これは人間も例外ではなく、自律神経のリズムとして刻み込まれています。
ところが、夜遅くなっても、まるで昼間のような光刺激を大量に目から浴びたとすれば、早晩、自律神経は混乱を来たし、また休まらない脳は異常興奮することでしょう。
目は「心の窓」とも言いますが、解剖学的には「突出した脳」とも表現され、位置も機能的にも脳へ直接的な影響を及ぼしやすいと考えられています。
より良く眠るために。
このような目や脳、神経に限局した、現代人の部分的酷使によるアンバランスを是正するためには、酷使されている部位のおよそ反対に位置する下半身に力がみなぎるような全身運動を行い、円満なバランスを回復させながら、適度な疲労感をつくるということが最も大切になります。
同時に、局所的に癒すことも有効です。
二つ方法があります。
持続的な圧迫と温熱刺激です。
前者は、指圧療法において「眼球掌圧」と呼ばれる技法ですが、こすり合わせて温まった手のひらを閉じたまぶたの上にかぶせ、ごく軽くおさえるというものです。
酷使され緊張した眼球は硬く、飛び出したようになっています。
それを安定的かつ持続的に圧迫することで眼球とそれを取り巻く筋肉群をゆるめ、新鮮な血流を回復させ、目の疲労回復と、深いリラクゼーションを与えます。
アイピローで代用してもいいでしょう。
温熱は蒸しタオルが簡便です。
タオルを湿らせて電子レンジで温めます。
目の上に乗せるだけです。
ポイントは冷めるまで乗せること。
温度差が血管の刺激になって血流が促されます。
整体においては目の酷使と生理痛などの婦人科系疾患との関係も示唆されています。
日々のメンテナンスとして目をいたわり、十分な睡眠をとることで、ますます健やかに過ごすことができるでしょう。