集合は午後二時。前夜のお酒が少し残り、頭が重い中、電車に乗り込み日暮里
を目指します。
日暮里駅は北口(東口)再開発の真っ盛り、かつて駄菓子横丁として闇市的風情
を漂わせていたあたりは更地となり、ビルに生まれ変わるのでしょう。
そのまちに暮らしていない人間が生活の利便性を語るべきではないと思いますし、
良し悪しを実感されるのはやはり地元の方だと思うのですが、少なくとも僕の暮ら
す立石に再開発は必要ないと思いますし、今以上の利便性がビル化した町に求
められるとは思えません。
人がふれあい、風を感じ、路地に花の咲く立石(まち)が、僕は大好きです。息吹
のある町が、住みやすいように思うんですよね。
なんてセンチな感傷はこの日の日差しの中で感じる余裕もなく、飲兵衛は薄暗が
りを求めてロータリーを渡ります。お、あったあった、今日の待ち合わせ場所、日暮
里いづみや。情報では埼玉方面にもチェーン展開する大衆食堂…考えてみるとす
ごいな(笑)、是非がんばってほしいものです。
店内は細いコの字カウンターに対面20席は取れるでしょう。奥の小上がりに四人
がけが三卓。カウンターの奥が厨房につながっています。照明はこの日の天候と
の落差激しい抑え目で、一瞬中に入ると目がしょぼしょぼします。
さて、今日の昼酒探検隊員は…あら、いないのね。まあ、あくまで0次会だし、い
ずれ人が来るかしら。とりあえず、チューハイお願いします。
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待つこと瞬間、こちらのチューハイはサーバーからジョッキに直そそがれる形式の
ようで、注文からほどなく出てきます。それとおつまみは…壁に下がる黒札の数々
は300円から、そしてほとんどが300円台。では、肉豆腐を御願いします。うむ、ま
だ来ないから失礼しておトイレに…。
と帰ってくると入り口付近に白い上っ張りの旦那が一人。いらっしゃい、黒さん。
もともと環状山手立飲紀行、発案は黒さんなわけでこの日もゼロ次会から僕がお
邪魔したというのが正確なところです。
で、黒さんのオーダーは緑茶ハイに松前漬。さすが渋いとこ行きますねえ。では、
揃ったところでかんぱ~い。
このお店のチューハイは、大ジョッキに並々。印象的なのは照明の具合もあるので
しょうが、その色合い。素由来とは思うのですが、それほど味わいきつくないのに、
色が濃茶色なんですね。かたや炭酸のキックバックは強くなく、味わいとあいまって
のみやすく仕上がっています。
「おぬし、チューハイ専門だな」と脇でつぶやく方と、「もともと弱いんで、でもって、
チューハイが好きなので」なんて答えを返しながら、だらりと歓談の一時です。店内
の薄暗さの影響か、この日は扉が開け放してあって外の陽射しと雑踏がのれんの
隙間から垣間見えます。それがまた気持ちいいんだなぁ。こういうゆるい一時って、
大好きです。
話題は先日黒さんの行かれた居酒屋さんの話から始まって…お、来ましたね、肉
豆腐。三枚肉に豆腐は半丁ほどが二つ切り。ややさらりとした甘みの和風出汁に
豚の脂が溶け出して、おいしいですね。体にはわるいけど、スープも飲みたくなる
一品でした。
さて、話題を戻して、市場出の板前さんとスーパー出身の板前さん、それぞれの積
み重ねてきた仕事で、お店のスタイルが変わるのって面白いよねという話に花が咲
きました。もちろん某jiromalのマスターのようにそれがすべでではないですが、市場
でさく取りをされてた方はやはり豪快に、スーパーの鮮魚コーナーでお母さん方に鍛
えられた方は細やかに、となるのは自然の流れのように感じます。
さて、ポテトサラダが来ましたね。このポテサラ、家庭系のおいもがしっかり残って
いてほくほくした「いも食ってるぞ!」という味わいが舌に快いです。ちなみにそれ
ぞれお飲み物ももう一つずつ、同じのおかわりして、さて上野集合15分前です。
ぼちぼち、出ましょうか。二人で1890円のお会計。ごちそうさまでした。